2024年05月21日 [動物のこと]
犬用がんワクチン
お疲れ様です。院長です。
5月21日の火曜日でございます。
では今日もネタにいきましょう。
今日は愛犬家に朗報、犬用がんワクチンのお話しです。
なんでも、犬用のがんワクチン、臨床試験の結果、生存率がほぼ2倍になったことが確認されたんだそうです。
愛犬と共に暮らす時間はあまりにも短い。
特に大型犬となればなおさらです。
できることなら健康寿命を伸ばしたいというのが飼い主の願いでしょう。
アメリカイェール大学が開発した犬用のがんワクチンは、既存の人間用がん治療薬を改良したものです。
8年間で300匹の犬に協力してもらい、臨床試験を続けたところ、骨肉腫なら従来の治療法に比べて1年後の生存率がほぼ2倍にもなることが確認されたそうです。
まず、人間と同じように、犬もがんを患います。
ですが、がんと戦う手段がどんどん増えている人間に対して、犬の場合あまり選択肢がないのが現実です。
放射線療法や化学療法もあるんですが、その効果はまちまちで、飼い主にかかる医療費の負担もかなり重いです。
ですから治る可能性のある犬でも、泣く泣く諦めざるを得ないことも多いんです。
そんな状況を改善しようと、イェール大学の研究チームはすでにある人間のがんワクチンを改良し、犬にも効くようにしました。
なおこのワクチンはペプチドワクチンで、予防でなく治療目的で接種するものです。
その治療法とは、「モノクローナル抗体」を利用したものです。
私たちの体はウイルスやがん細胞のような異物を見つけると、「抗体」という誘導ミサイルのようなタンパク質を作り出します。
抗体は、異物が持つ標的(抗原)にくっつくようにできています。
ですから免疫系は、異物にくっついた抗体を目印に、体に悪さをする邪魔者を攻撃することができるわけです。
“モノ”クローナル抗体とは、たった1種類の標的にくっつく抗体のことです。
ほとんどのがんには、健康な細胞にはない標的があります。
モノクロナール抗体は、それにだけくっつくように作られているわけです。
ですから、これを使うことで、健康な細胞を攻撃することなく、がん細胞だけを狙い撃ちすることができるって寸法です。
たとえば、大腸がんや乳がんなどでは、2つのタンパク質(「EGFR」と「HER2」)が過剰に現れるんですが、イェール大学の研究チームが応用したモノクロナール抗体はこのタンパク質だけに結合します。
ですが弱点がないわけではありません。
従来のものは、使い続けるうちに患者の体に耐性ができ、だんだんと効かなくなってしまいます。
それを克服するため開発されたのが、「ポリクローナル抗体」というものです。
これは”ポリ”という名称が示すように、EGFR・HER2の複数の部分にくっつくことができるため効果が弱まりにくいそうなんです。
過去8年間でマウスや300匹の犬を対象に行われた臨床試験では、ポリクローナル抗体ががん細胞に結合すると、それを成長させる経路を混乱させることが確認されているそうです。
これをがんを患った犬に使用すると、がんによっては12ヵ月間の生存率がほぼ2倍にもなったといいます。
たとえば骨肉腫の場合、従来の治療法では診断から1年後にも犬が生きている確率が35%だったのに対し、ポリクローナル抗体では60%でした。
その生き証人とも言えるのが、11歳のゴールデンレトリバー「ハンターくん」です。
救助犬として活躍していたハンターくんは、2022年左前足に骨肉腫があることが発覚し、残念ながら足は切断することになってしまいました。
ですが、化学療法と今回のがんワクチンを使用した甲斐もあり、発見から2年経った今も元気に暮らしているそうです。
研究チームは今後、このがんワクチンが健康な犬用の予防薬として使えるのかどうか調べる予定であるとのことです。
この薬を使ったからと言って、犬の寿命が2倍にもなるわけではありませんが、それでも、元気で一緒にいられる時間が少しでも長くなるのなら、飼い主さんにとってこんなに嬉しいことはないでしょう。
なお、今回のもの以外にもオランダでも、犬用のがんワクチンは開発されています。
こうやって、犬の寿命もドンドン延びていくんでしょう。
ま、人間の寿命も延びてますから、ちょうどいいよね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
5月21日の火曜日でございます。
では今日もネタにいきましょう。
今日は愛犬家に朗報、犬用がんワクチンのお話しです。
なんでも、犬用のがんワクチン、臨床試験の結果、生存率がほぼ2倍になったことが確認されたんだそうです。
愛犬と共に暮らす時間はあまりにも短い。
特に大型犬となればなおさらです。
できることなら健康寿命を伸ばしたいというのが飼い主の願いでしょう。
アメリカイェール大学が開発した犬用のがんワクチンは、既存の人間用がん治療薬を改良したものです。
8年間で300匹の犬に協力してもらい、臨床試験を続けたところ、骨肉腫なら従来の治療法に比べて1年後の生存率がほぼ2倍にもなることが確認されたそうです。
まず、人間と同じように、犬もがんを患います。
ですが、がんと戦う手段がどんどん増えている人間に対して、犬の場合あまり選択肢がないのが現実です。
放射線療法や化学療法もあるんですが、その効果はまちまちで、飼い主にかかる医療費の負担もかなり重いです。
ですから治る可能性のある犬でも、泣く泣く諦めざるを得ないことも多いんです。
そんな状況を改善しようと、イェール大学の研究チームはすでにある人間のがんワクチンを改良し、犬にも効くようにしました。
なおこのワクチンはペプチドワクチンで、予防でなく治療目的で接種するものです。
その治療法とは、「モノクローナル抗体」を利用したものです。
私たちの体はウイルスやがん細胞のような異物を見つけると、「抗体」という誘導ミサイルのようなタンパク質を作り出します。
抗体は、異物が持つ標的(抗原)にくっつくようにできています。
ですから免疫系は、異物にくっついた抗体を目印に、体に悪さをする邪魔者を攻撃することができるわけです。
“モノ”クローナル抗体とは、たった1種類の標的にくっつく抗体のことです。
ほとんどのがんには、健康な細胞にはない標的があります。
モノクロナール抗体は、それにだけくっつくように作られているわけです。
ですから、これを使うことで、健康な細胞を攻撃することなく、がん細胞だけを狙い撃ちすることができるって寸法です。
たとえば、大腸がんや乳がんなどでは、2つのタンパク質(「EGFR」と「HER2」)が過剰に現れるんですが、イェール大学の研究チームが応用したモノクロナール抗体はこのタンパク質だけに結合します。
ですが弱点がないわけではありません。
従来のものは、使い続けるうちに患者の体に耐性ができ、だんだんと効かなくなってしまいます。
それを克服するため開発されたのが、「ポリクローナル抗体」というものです。
これは”ポリ”という名称が示すように、EGFR・HER2の複数の部分にくっつくことができるため効果が弱まりにくいそうなんです。
過去8年間でマウスや300匹の犬を対象に行われた臨床試験では、ポリクローナル抗体ががん細胞に結合すると、それを成長させる経路を混乱させることが確認されているそうです。
これをがんを患った犬に使用すると、がんによっては12ヵ月間の生存率がほぼ2倍にもなったといいます。
たとえば骨肉腫の場合、従来の治療法では診断から1年後にも犬が生きている確率が35%だったのに対し、ポリクローナル抗体では60%でした。
その生き証人とも言えるのが、11歳のゴールデンレトリバー「ハンターくん」です。
救助犬として活躍していたハンターくんは、2022年左前足に骨肉腫があることが発覚し、残念ながら足は切断することになってしまいました。
ですが、化学療法と今回のがんワクチンを使用した甲斐もあり、発見から2年経った今も元気に暮らしているそうです。
研究チームは今後、このがんワクチンが健康な犬用の予防薬として使えるのかどうか調べる予定であるとのことです。
この薬を使ったからと言って、犬の寿命が2倍にもなるわけではありませんが、それでも、元気で一緒にいられる時間が少しでも長くなるのなら、飼い主さんにとってこんなに嬉しいことはないでしょう。
なお、今回のもの以外にもオランダでも、犬用のがんワクチンは開発されています。
こうやって、犬の寿命もドンドン延びていくんでしょう。
ま、人間の寿命も延びてますから、ちょうどいいよね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院