2020年02月14日 [動物のこと]
性別自由なブルーヘッドラス
お疲れ様です。院長です。
2月14日の金曜日でございます。
2月もはや、折り返しに来ましたねぇ。
今年はうるう年ですが、それでも2月は短いですからねぇ。
寒い毎日、いつまで続きますやら…
春よ来い。
早く来い。
寒いのはもう飽きましたよ。
やっぱ、寒い冬ならまだ暑い夏の方がマシですね。
寒いと心が折れますよ。
起きるのも嫌になるし、身体も動かないし…
ってなマイナス発言が出るのも、冬独特ですもんねぇ。
ってことで、今日もネタにいくわけですが、今日のネタも魚ネタ。
昨日は、海洋生物の酸性化について、社会に一石を投じるお話でしたが、今日は変わった生態を持つ魚のお話でございます。
ニシキベラ属のブルーヘッドラス(Thalassoma bifasciatum)は、カリブ海のサンゴ礁の中で小さな群れを作って暮らしています。
頭が青いのはオスで、その青は黄色い模様のメスのハレム(ハーレム)に対する支配力を表しているんだそうです。
そんなオスが群れからいなくなると不思議なことが起きます。
なんと、群れの中で一番体の大きなメスがオスになってしまうんだそうです。
まず、ものの数分で行動が変わり、10日で卵巣が精巣に変わり、21日が経過する頃には、どこからどう見ても立派なオスになるってなほんまかいなってお話です。
では一体全体どうやって性転換をしているんでしょう?
そもそもこのようなメカニズムにどうやって進化していったのでしょうか?
ブルーヘッドラスの性転換のスイッチは群れの中にあると言われています。
オスが群れからいなくなると、最大のメスはすぐさまそれを察知し、その日のうちにオスの繁殖行動を示すようになるんだとか…。
分子レベルでのメカニズムはちょっとした謎だそうですが、おそらくストレスが関係しているのではと言われています。
他の魚や爬虫類において、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が体温に基づく性別決定システムに関連しているそうで、コルチゾールが性ホルモン濃度を左右し、それを通じて生殖機能を変えてしまうのだそうです。
よって、ストレスが環境からの情報を性転換発動につなげる統合的メカニズムである可能性が考えられています。
オスへ性転換する最中のブルーヘッドラスのメスの遺伝子を調べた研究では、雌(女)性ホルモン(エストロゲン)を作る遺伝子がピタッと停止し、かわりに雄(男)性ホルモン(アンドロゲン)のスイッチが入ることが確認されたそうです。
またメスであるために必要な他の数百の遺伝子(卵のパーツを作る遺伝子など)は徐々に停止し、一方でオス向けの遺伝子(精子のパーツを作る遺伝子)のスイッチが入ることも分かったんだって。
まぁ、人間でも男性にも女性ホルモンが、女性にも男性ホルモンは存在しますし、人によりそのバランスはマチマチと言えますから、このホルモンチェンジはなんとなく、理解の範疇にはありますが…
その他の器官を変化させるってのは、もうこれは頭では理解しがたい話ですなぁ。
性別の決定における役割は不明ですが、発達に関連する遺伝子も変化していたそうです。
そうした中には、他の遺伝子の活動を後成的(エピジェネティクス)に調整するものも含まれていたようです。
エピジェネティクスとは、「遺伝子を超えた」制御のことで、たとえば、魚類や爬虫類の中には、卵の周囲の気温といった環境からの刺激によって胚の性別が決まる種がいます。
つまり遺伝子によってオスかメスか決められているのではなく、環境が遺伝子の活動を左右して性別が決まるってわけです。
こうしたメカニズムは、社会的なサインを受けて分子レベルの活動に変化が生じるブルーヘッドラスの性転換プロセスにも重要な役割を果たしている可能性があると考えられています。
にしても、生まれるときに環境が性別を決めるのは分かりますよ。
ですが、それと性転換とは話が同じには思えないんですがねぇ…。
驚いたことに、胚や幹細胞で活発な遺伝子のいくつかにもスイッチが入っていたそうで、そうした遺伝子は、細胞をさまざまな組織の元になるES細胞のような状態に維持するものです。
さらにすでに分化した細胞をES細胞状態に戻すこともできるとか…。
このことは、ブルーヘッドラスの卵巣から精巣への転換には、細胞分化を逆転させるプロセスが含まれているらしいことを示唆しています。
クマノミはオスとして生まれて、やがてメスになります。
コブダイはその逆で、ハゼのように両性を行き来するものもいます。
性転換が有利になるのは、小さいときには一方の性別の方が生殖する上でメリットがありますが、大きく成長したら別の性別で生殖した方がいいような場合です。
仮にメスは身体が大きい方がたくさん子供を残せるとしましょう。
で、その種はオスの方が、大きく成長するとしたならば、大きく成長するまでオスでいて、産卵前にメスに転換する方が効率的と言えばそうかもしれません。
ですがブルーヘッドラスのオスのように、群れを外敵から守り、できるだけたくさんのメスと交尾した方が子孫を残す上で有利だというのなら、メスがオスになるってこれも謎ですなぁ。
また乱獲で減った個体数を回復する上でもメリットがあるかもしれないと専門家は考えています。
というのも、漁業で狙われるのは大きい個体で、その結果として残された個体の性別に偏りが生じてしまいます。
ブルーヘッドラスのオスとメスとでは、大きさ・行動・色といった違いがありますが、これらは見た目の違いだけであり、なにより大きな違いは生殖器――すなわち精巣と卵巣の違いです。
そして大胆にも、彼らの性転換では、卵を作る卵巣が精子を作る精巣に完全に再形成されるとこですな。
この点は性転換をする他の魚と違うところで、他の魚の場合、その性腺にはオスとメス両方の組織が備わっており、性転換をすると一方が大きく成長するという仕組みになっています。
つまり、もともと両性具有で、オスになるならオスの生殖器が成長し、メスの部分は退化するって寸法なわけですね。
とにかく、このブルーヘッドラスは、まだまだ謎に満ちていて、これからの研究が楽しみな魚です。
ひょっとすると、こういった性転換システムも、今地球で起こってる温暖化、酸性化を代表する変化に対応する術なのかもしれません。
我々が汚してしまった地球に適応出来るように、彼らはすでに準備してるのかも…
この柔軟さが種を守るカギなのかもしれません。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
2月14日の金曜日でございます。
2月もはや、折り返しに来ましたねぇ。
今年はうるう年ですが、それでも2月は短いですからねぇ。
寒い毎日、いつまで続きますやら…
春よ来い。
早く来い。
寒いのはもう飽きましたよ。
やっぱ、寒い冬ならまだ暑い夏の方がマシですね。
寒いと心が折れますよ。
起きるのも嫌になるし、身体も動かないし…
ってなマイナス発言が出るのも、冬独特ですもんねぇ。
ってことで、今日もネタにいくわけですが、今日のネタも魚ネタ。
昨日は、海洋生物の酸性化について、社会に一石を投じるお話でしたが、今日は変わった生態を持つ魚のお話でございます。
ニシキベラ属のブルーヘッドラス(Thalassoma bifasciatum)は、カリブ海のサンゴ礁の中で小さな群れを作って暮らしています。
頭が青いのはオスで、その青は黄色い模様のメスのハレム(ハーレム)に対する支配力を表しているんだそうです。
そんなオスが群れからいなくなると不思議なことが起きます。
なんと、群れの中で一番体の大きなメスがオスになってしまうんだそうです。
まず、ものの数分で行動が変わり、10日で卵巣が精巣に変わり、21日が経過する頃には、どこからどう見ても立派なオスになるってなほんまかいなってお話です。
では一体全体どうやって性転換をしているんでしょう?
そもそもこのようなメカニズムにどうやって進化していったのでしょうか?
ブルーヘッドラスの性転換のスイッチは群れの中にあると言われています。
オスが群れからいなくなると、最大のメスはすぐさまそれを察知し、その日のうちにオスの繁殖行動を示すようになるんだとか…。
分子レベルでのメカニズムはちょっとした謎だそうですが、おそらくストレスが関係しているのではと言われています。
他の魚や爬虫類において、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が体温に基づく性別決定システムに関連しているそうで、コルチゾールが性ホルモン濃度を左右し、それを通じて生殖機能を変えてしまうのだそうです。
よって、ストレスが環境からの情報を性転換発動につなげる統合的メカニズムである可能性が考えられています。
オスへ性転換する最中のブルーヘッドラスのメスの遺伝子を調べた研究では、雌(女)性ホルモン(エストロゲン)を作る遺伝子がピタッと停止し、かわりに雄(男)性ホルモン(アンドロゲン)のスイッチが入ることが確認されたそうです。
またメスであるために必要な他の数百の遺伝子(卵のパーツを作る遺伝子など)は徐々に停止し、一方でオス向けの遺伝子(精子のパーツを作る遺伝子)のスイッチが入ることも分かったんだって。
まぁ、人間でも男性にも女性ホルモンが、女性にも男性ホルモンは存在しますし、人によりそのバランスはマチマチと言えますから、このホルモンチェンジはなんとなく、理解の範疇にはありますが…
その他の器官を変化させるってのは、もうこれは頭では理解しがたい話ですなぁ。
性別の決定における役割は不明ですが、発達に関連する遺伝子も変化していたそうです。
そうした中には、他の遺伝子の活動を後成的(エピジェネティクス)に調整するものも含まれていたようです。
エピジェネティクスとは、「遺伝子を超えた」制御のことで、たとえば、魚類や爬虫類の中には、卵の周囲の気温といった環境からの刺激によって胚の性別が決まる種がいます。
つまり遺伝子によってオスかメスか決められているのではなく、環境が遺伝子の活動を左右して性別が決まるってわけです。
こうしたメカニズムは、社会的なサインを受けて分子レベルの活動に変化が生じるブルーヘッドラスの性転換プロセスにも重要な役割を果たしている可能性があると考えられています。
にしても、生まれるときに環境が性別を決めるのは分かりますよ。
ですが、それと性転換とは話が同じには思えないんですがねぇ…。
驚いたことに、胚や幹細胞で活発な遺伝子のいくつかにもスイッチが入っていたそうで、そうした遺伝子は、細胞をさまざまな組織の元になるES細胞のような状態に維持するものです。
さらにすでに分化した細胞をES細胞状態に戻すこともできるとか…。
このことは、ブルーヘッドラスの卵巣から精巣への転換には、細胞分化を逆転させるプロセスが含まれているらしいことを示唆しています。
クマノミはオスとして生まれて、やがてメスになります。
コブダイはその逆で、ハゼのように両性を行き来するものもいます。
性転換が有利になるのは、小さいときには一方の性別の方が生殖する上でメリットがありますが、大きく成長したら別の性別で生殖した方がいいような場合です。
仮にメスは身体が大きい方がたくさん子供を残せるとしましょう。
で、その種はオスの方が、大きく成長するとしたならば、大きく成長するまでオスでいて、産卵前にメスに転換する方が効率的と言えばそうかもしれません。
ですがブルーヘッドラスのオスのように、群れを外敵から守り、できるだけたくさんのメスと交尾した方が子孫を残す上で有利だというのなら、メスがオスになるってこれも謎ですなぁ。
また乱獲で減った個体数を回復する上でもメリットがあるかもしれないと専門家は考えています。
というのも、漁業で狙われるのは大きい個体で、その結果として残された個体の性別に偏りが生じてしまいます。
ブルーヘッドラスのオスとメスとでは、大きさ・行動・色といった違いがありますが、これらは見た目の違いだけであり、なにより大きな違いは生殖器――すなわち精巣と卵巣の違いです。
そして大胆にも、彼らの性転換では、卵を作る卵巣が精子を作る精巣に完全に再形成されるとこですな。
この点は性転換をする他の魚と違うところで、他の魚の場合、その性腺にはオスとメス両方の組織が備わっており、性転換をすると一方が大きく成長するという仕組みになっています。
つまり、もともと両性具有で、オスになるならオスの生殖器が成長し、メスの部分は退化するって寸法なわけですね。
とにかく、このブルーヘッドラスは、まだまだ謎に満ちていて、これからの研究が楽しみな魚です。
ひょっとすると、こういった性転換システムも、今地球で起こってる温暖化、酸性化を代表する変化に対応する術なのかもしれません。
我々が汚してしまった地球に適応出来るように、彼らはすでに準備してるのかも…
この柔軟さが種を守るカギなのかもしれません。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院