2017年12月10日 [からだのこと]
(41)サンデーイルネス(仮)ヘリコバクター・ピロリ菌について
お疲れ様です。院長です。
12月10日のサンデーイルネスでございます。
はい。
12月も約1/3が終了いたしました。
今年も残すところ後3週間…。
3週間後は大晦日ですけん、こりゃちょっと焦るねぇ…。
やる事が多すぎて、何から始めていいか分からない人もいるかと思いますが、そういう時こそ落ち着いていきましょう。
慌てると大体、良いことありません。
そして、消化できていかないことがストレスとなり、胃が痛くなると…
今日は、そんな「胃」に関するイルネス辞典。
ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)について解説していきたいと思います。
みなさんも名前位は聞いたことあるでしょう。
ピロリ菌。
何となくかわいらしい名前ですが、どういった菌なんでしょう。
胃の中には少量の塩酸が存在するため、口から胃内へ入ってきた細菌は塩酸により殺菌されてしまいます。
このように、胃の内部は細菌の生育には適さない環境がつくりあげられていることから、胃には細菌は生息できないと長い間考えられてきました。
このような概念を根本からくつがえしたのは、オーストラリアの若い消化器病医で、1982年に初めてヒトの胃粘膜から、らせん状の細菌が分離培養されました。
ピロリ菌がヒトに胃炎を引き起こすことは、発見者が自ら、ピロリ菌を経口的に摂取し、自分の胃に胃炎を生じさせたことから明らかになりました。
もう、医者の鑑ですわ(^^ゞ
まだ、研究段階の細菌を、自分の胃の中に入れて証明するなんて、まぁスゴイ情熱だと思いますが、摂取後、1週間でピロリ菌は彼の胃粘膜に証明され、内視鏡的に胃炎の所見がみられました。
上腹部痛が2日目より生じ、5〜6日目にピークを迎えましたが、以後は急速に減っていき、2週後にはピロリ菌が持続陽性であるのにもかかわらず、胃部の痛みは完全に消えました。
このように発見者は自ら被験者となって、ピロリ菌がヒトに胃炎を起こすことを証明したのです。
ピロリ菌が、胃酸の存在する胃のなかで生きていけるのは、菌のなかにウレアーゼという酵素をたくさんもっており、この酵素が尿素からアンモニアを生成させ、アンモニアによって胃酸を中和させるからなのです。
ピロリ菌が、どのように胃の粘膜を障害していくのかについてはまだ十分わかっていません。
ひとつには、ピロリ菌によって生じたアンモニアが胃の粘膜を障害することが明らかになっています。
また、この菌がもっている蛋白分解酵素が粘液を分解し、胃の防御機構を低下させることによって酸の障害性を増強する機序も考えられています。
ピロリ菌は、感染すると白血球やリンパ球などの炎症細胞浸潤を胃粘膜に引き起こしますが、呼び出されてきた白血球などから活性酸素や種々の細胞障害物質が放出されて、細胞障害を起こすともいわれています。
健康な人におけるピロリ菌の感染率は、年齢が増すとともに上昇することが明らかになっていますが、国や地域で大きな差が認められます。
一般に、衛生環境のよくない開発途上国では、若い年齢層から感染率が高く、年代別変化がほとんど認められないといわれています。
欧米諸国では、若い年齢層ではピロリ菌の感染はほとんど認められず、年齢をへるごとに増加していく傾向を示します。
日本の場合は、欧米諸国と開発途上国の中間のパターンを示していることが明らかになってきました。
日本の20歳までの若い人たちのピロリ菌の感染率は低く、20%以下の低い値を示しています。
これに対して50歳以上の世代では、感染率が80%と極めて高い状態を示しています。
わたくし院長も、49歳と9ヶ月…
そろそろピロリンおるんじゃないの?(;'∀')
では、このピロリンが、一体どんな病気と関係があるのかって事なんですが、日本人では、萎縮性胃炎の原因の90%以上をピロリ菌が占めると考えられています。
ピロリ菌の除菌により、胃・十二指腸潰瘍の再発が維持療法なしでも抑制されることが明らかになりました。
日本では、十二指腸潰瘍の95%、胃潰瘍の90%以上がピロリ菌陽性です。
保険が適応されていなかったため、除菌治療ができない時代が続いていましたが、2000年11月から、ようやく日本でも胃・十二指腸潰瘍に限って除菌治療を保険で行うことができるようになりました。
そして今、大きな注目を集めているのは、ピロリ菌感染と胃がんの関わりです。
疫学的にはほぼ証明され、1994年に世界保健機関(WHO)は、ピロリ菌を確実な発がん物質に指定しています。
また、動物にピロリ菌を長期感染させて、胃がんを発生させることに成功した報告が日本から発表されています。
さらに研究が進んで、どの段階で除菌治療を行えば胃がんの発症を食い止められるかが明らかになることを期待しています。
では、ほうっておくと厄介なピロリ菌、どうやって治療していくかという事ですが、胃粘膜表層や粘液中にすみついているので、単独の抗生剤での駆除が難しい細菌です。
そのため、いくつかの薬剤を併用する方法が行われています。抗潰瘍薬と合成ペニシリン系抗生剤、マクロライド系抗生剤の3種併用療法が日本で保険適応となっており、1週間で90%前後の高い除菌率が報告されています。
つまり、発見しちゃえば薬で簡単に治るって事ですよ。
ですが、なかなか検査とまではいかないのが現状で、ピロリ菌の感染者は、日本の総人口の約半数(6000万人)くらいと考えられています。
1993年のデータでは、このうち2〜3%前後が胃・十二指腸潰瘍を発症し、0.4%が胃がんを発症したといわれていますから、やはり放っておくのは危険です。
では、どんな検査があるかってことですが、ピロリ菌感染の診断法は、内視鏡検査を必要とするものと、しないものに分けることができます。
内視鏡検査を必要とする診断法は、内視鏡を挿入し胃粘膜を観察しながら、生検鉗子(せいけんかんし)を用いて組織を得る方法です。
患者さんにとっては、内視鏡をのむという苦しみを伴うので、侵襲的(しんしゅうてき)診断法とも呼ばれます。
内視鏡を必要としない検査法としては、血清抗体を測定する方法や、呼気中の二酸化炭素を分析する尿素呼気試験などが行われています。
この検査法だったら、苦痛がなく、感度もよくなってきているのですが、困ったことにピロリ菌除去の保険適応には、内視鏡での検査が必要なようなので、最近盛んに行われているようです。
いかがでしたか?
感染者が2人に1人とまで言われているピロリ菌ですから、あなたもわたしも持ってて不思議はないでしょう。
そして、コイツがすみついてると、潰瘍〜がんってコースもあるわけで、出来たらこんな菌は排除しておきたいところです。
最近では、まず尿素呼気試験などで、問題があった場合内視鏡検査って感じですので、まずは胃痛があるなぁ〜って人は、調べてみた方がいいですよ。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
12月10日のサンデーイルネスでございます。
はい。
12月も約1/3が終了いたしました。
今年も残すところ後3週間…。
3週間後は大晦日ですけん、こりゃちょっと焦るねぇ…。
やる事が多すぎて、何から始めていいか分からない人もいるかと思いますが、そういう時こそ落ち着いていきましょう。
慌てると大体、良いことありません。
そして、消化できていかないことがストレスとなり、胃が痛くなると…
今日は、そんな「胃」に関するイルネス辞典。
ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)について解説していきたいと思います。
みなさんも名前位は聞いたことあるでしょう。
ピロリ菌。
何となくかわいらしい名前ですが、どういった菌なんでしょう。
胃の中には少量の塩酸が存在するため、口から胃内へ入ってきた細菌は塩酸により殺菌されてしまいます。
このように、胃の内部は細菌の生育には適さない環境がつくりあげられていることから、胃には細菌は生息できないと長い間考えられてきました。
このような概念を根本からくつがえしたのは、オーストラリアの若い消化器病医で、1982年に初めてヒトの胃粘膜から、らせん状の細菌が分離培養されました。
ピロリ菌がヒトに胃炎を引き起こすことは、発見者が自ら、ピロリ菌を経口的に摂取し、自分の胃に胃炎を生じさせたことから明らかになりました。
もう、医者の鑑ですわ(^^ゞ
まだ、研究段階の細菌を、自分の胃の中に入れて証明するなんて、まぁスゴイ情熱だと思いますが、摂取後、1週間でピロリ菌は彼の胃粘膜に証明され、内視鏡的に胃炎の所見がみられました。
上腹部痛が2日目より生じ、5〜6日目にピークを迎えましたが、以後は急速に減っていき、2週後にはピロリ菌が持続陽性であるのにもかかわらず、胃部の痛みは完全に消えました。
このように発見者は自ら被験者となって、ピロリ菌がヒトに胃炎を起こすことを証明したのです。
ピロリ菌が、胃酸の存在する胃のなかで生きていけるのは、菌のなかにウレアーゼという酵素をたくさんもっており、この酵素が尿素からアンモニアを生成させ、アンモニアによって胃酸を中和させるからなのです。
ピロリ菌が、どのように胃の粘膜を障害していくのかについてはまだ十分わかっていません。
ひとつには、ピロリ菌によって生じたアンモニアが胃の粘膜を障害することが明らかになっています。
また、この菌がもっている蛋白分解酵素が粘液を分解し、胃の防御機構を低下させることによって酸の障害性を増強する機序も考えられています。
ピロリ菌は、感染すると白血球やリンパ球などの炎症細胞浸潤を胃粘膜に引き起こしますが、呼び出されてきた白血球などから活性酸素や種々の細胞障害物質が放出されて、細胞障害を起こすともいわれています。
健康な人におけるピロリ菌の感染率は、年齢が増すとともに上昇することが明らかになっていますが、国や地域で大きな差が認められます。
一般に、衛生環境のよくない開発途上国では、若い年齢層から感染率が高く、年代別変化がほとんど認められないといわれています。
欧米諸国では、若い年齢層ではピロリ菌の感染はほとんど認められず、年齢をへるごとに増加していく傾向を示します。
日本の場合は、欧米諸国と開発途上国の中間のパターンを示していることが明らかになってきました。
日本の20歳までの若い人たちのピロリ菌の感染率は低く、20%以下の低い値を示しています。
これに対して50歳以上の世代では、感染率が80%と極めて高い状態を示しています。
わたくし院長も、49歳と9ヶ月…
そろそろピロリンおるんじゃないの?(;'∀')
では、このピロリンが、一体どんな病気と関係があるのかって事なんですが、日本人では、萎縮性胃炎の原因の90%以上をピロリ菌が占めると考えられています。
ピロリ菌の除菌により、胃・十二指腸潰瘍の再発が維持療法なしでも抑制されることが明らかになりました。
日本では、十二指腸潰瘍の95%、胃潰瘍の90%以上がピロリ菌陽性です。
保険が適応されていなかったため、除菌治療ができない時代が続いていましたが、2000年11月から、ようやく日本でも胃・十二指腸潰瘍に限って除菌治療を保険で行うことができるようになりました。
そして今、大きな注目を集めているのは、ピロリ菌感染と胃がんの関わりです。
疫学的にはほぼ証明され、1994年に世界保健機関(WHO)は、ピロリ菌を確実な発がん物質に指定しています。
また、動物にピロリ菌を長期感染させて、胃がんを発生させることに成功した報告が日本から発表されています。
さらに研究が進んで、どの段階で除菌治療を行えば胃がんの発症を食い止められるかが明らかになることを期待しています。
では、ほうっておくと厄介なピロリ菌、どうやって治療していくかという事ですが、胃粘膜表層や粘液中にすみついているので、単独の抗生剤での駆除が難しい細菌です。
そのため、いくつかの薬剤を併用する方法が行われています。抗潰瘍薬と合成ペニシリン系抗生剤、マクロライド系抗生剤の3種併用療法が日本で保険適応となっており、1週間で90%前後の高い除菌率が報告されています。
つまり、発見しちゃえば薬で簡単に治るって事ですよ。
ですが、なかなか検査とまではいかないのが現状で、ピロリ菌の感染者は、日本の総人口の約半数(6000万人)くらいと考えられています。
1993年のデータでは、このうち2〜3%前後が胃・十二指腸潰瘍を発症し、0.4%が胃がんを発症したといわれていますから、やはり放っておくのは危険です。
では、どんな検査があるかってことですが、ピロリ菌感染の診断法は、内視鏡検査を必要とするものと、しないものに分けることができます。
内視鏡検査を必要とする診断法は、内視鏡を挿入し胃粘膜を観察しながら、生検鉗子(せいけんかんし)を用いて組織を得る方法です。
患者さんにとっては、内視鏡をのむという苦しみを伴うので、侵襲的(しんしゅうてき)診断法とも呼ばれます。
内視鏡を必要としない検査法としては、血清抗体を測定する方法や、呼気中の二酸化炭素を分析する尿素呼気試験などが行われています。
この検査法だったら、苦痛がなく、感度もよくなってきているのですが、困ったことにピロリ菌除去の保険適応には、内視鏡での検査が必要なようなので、最近盛んに行われているようです。
いかがでしたか?
感染者が2人に1人とまで言われているピロリ菌ですから、あなたもわたしも持ってて不思議はないでしょう。
そして、コイツがすみついてると、潰瘍〜がんってコースもあるわけで、出来たらこんな菌は排除しておきたいところです。
最近では、まず尿素呼気試験などで、問題があった場合内視鏡検査って感じですので、まずは胃痛があるなぁ〜って人は、調べてみた方がいいですよ。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院