2017年11月12日 [からだのこと]
(37)サンデーイルネス(仮)膠原病について
お疲れ様です。院長です。
11月12日のサンデーイルネスでございます。
何だかんだで11月も1/3が終了したよぉ。
今年も後1月と2/3ですぜ。つまり、後40数日ってことですわ。
40日とか書くと焦ります(笑)
書いてビックリしました。
このイルネス辞典も、数えれば今年も後7回で終了ですからね〜。
しかも、今年最後は31日大晦日(笑)
もちろん、大晦日も元旦も更新は止まりませんよ〜。
ってことで、今日のイルネス辞典ですが、先週の「レイノー病」をうけての今日は「膠原病」について解説していきたいと思います。
先週も最後に少しお話しましたが、膠原病は、病理学者ポール・クレンペラーが1942年に提唱した「病気の考え方」といわれています。
これまた、ピンと来ないかと思いますが、長い間、病気は特定の臓器が損なわれて起こるとする「臓器病理学」の考えが主流で、病気の診断は臓器の病変に基づいて行われていました。
つまり、肝臓なら肝臓病ですし、心臓なら心臓病ってわけですわ。
しかし、クレンペラーは「全身性エリテマトーデス」のようにいくつもの臓器が同時に損なわれ、どの臓器が病変の中心であるのかを特定することができない病気があることに気づきました。
そして、綿密な病理組織学的検査によって、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する蛋白質である膠原繊維(コラーゲン)が全身的に障害・炎症を生じ、全身の結合組織が病変の場所となる疾患のことを「膠原病」と命名しました。
つまり、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する膠原繊維自体、全身にあるわけですから、そのどこがどうなるか分からないってわけですね。
つまり、症状はある程度特定出来ますが、部位だの臓器だのは、どこで起こるか分からない病気って捉えて貰えればいいかと思います。
そして、こういった疾患の総称として「膠原病(collagen-vascular disease )」と名付けたと…。
クレンペラーが膠原病として最初に選んだ6つの疾患「全身性エリテマトーデス」「リウマチ熱」「全身性硬化症(強皮症)」「皮膚筋炎および多発性筋炎」「結節性動脈周囲炎」「関節リウマチ」は古典的膠原病とも呼ばれます。
現在ではこれらに加えて「シェーグレン症候群」「混合性結合組織病」「アレルギー性肉芽腫性(にくげしゅせい)血管炎」「ウェゲナー肉芽腫症」「高安(たかやす)動脈炎」「側頭動脈炎」「好酸球性筋膜炎」「成人スティル病」「ベーチェット病」などの原因不明の全身性疾患も膠原病の一種とされています。
これらの疾患に共通する症状は、関節の腫れやこわばり、痛みが挙げられます。
また病気が進行すると臓器にも障害が現れるようになります。
とはいえ、膠原病は臓器そのものに異常を生じる病気ではありません。
細胞と細胞の間にある結合組織に異常が現れるのです。細胞同士を結び付けているものを膠原繊維(コラーゲン)といい、これが膠原病の名のもとになっているのです。
結合組織は全身に存在していますので関節や臓器など、どこでも症状が現れる可能性があるわけです。
では、なぜ膠原病が発症するのかという事ですが、その原因は免疫機能の異常にあります。
人体には異物である細菌やウイルスを排除する「免疫」という機能が備わっていますが、膠原病ではこの機能に異常が起こって自分の身体を異物として認識してしまい、それを排除しようと攻撃するのです。
これを「自己免疫反応」と言いい、こういった一連の傷病を「自己免疫疾患」とも呼ぶようになりました。
膠原病の考え方は、とりわけ臨床医には広く受け入れられました。
しかし、クレンペラーは「膠原病」が「診断名」としてあまりにも安易に使われすぎることを懸念し、この名称は臨床的および病理学的に理解が困難な症例に対する“原因不明病”として用いられるべきではないと警告しました。
クレンペラーの意図したことは疾患の概念(成り立ち)の提唱であり、決して疾患名や診断名を提供することではなかったわけです。
このような経緯から、現在では欧米で「膠原病」の名称が用いられることはあまりなく、「結合組織疾患」や「リウマチ性疾患」が用いられています。
一方、日本では「膠原病」の名称は、ともすると病名としても誤用されるきらいがあるものの、現在でも広く定着しています。
そして、膠原病は原因が不明で治療法のない「難病」というイメージがありました。
事実、日本では膠原病とその近縁疾患の多くは、厚生労働省によって特定疾患(いわゆる難病)に指定され、公費補助対象疾患とされています。
しかし、近年の医学の進歩によって、膠原病の生命予後は大きく改善しました。
膠原病の代表的疾患である全身性エリテマトーデスでは、ステロイド治療が導入される以前の、3年生存率は50%以下でしたが、1960〜70年代には5年生存率75%、1980年代以降の5年生存率は90%以上と、劇的な生命予後の改善がみられています。
このような生命予後の改善傾向は他の膠原病についても確認されています。
とは言え、治療の中心は薬物療法で、関節や臓器の障害を防ぐ目的で行われます。つまり根治療法ではありません。
薬で炎症を軽減させたり自己免疫反応を抑えたりします。いずれにしても早期から治療を始めるのが大切です。
また、薬の服用と同時に日常生活でも気をつけたいことがあります。
@疲労を溜めないこと。特に十分な睡眠時間を確保するのが大切
A病状が安定しているときは、なるべく身体を動かしたり運動療法としての体操をしたりして、筋肉や関節の機能を維持するようにする
B身体、特に関節を冷やさないことも大切です。衣服や室温をこまめに調節し、入浴などで身体の保温を心掛ける
C治療中は感染症に罹りやすくなるため、うがいや手洗いを励行し身体に傷が出来ないように気を付けることも必要です。
膠原病の初期症状はカゼなど他の病気と似ている点が多いので、症状だけで病気を診断できません。
気になる症状があれば医師に相談して血液検査などの検査を受けましょう。
膠原病は、難病と呼ばれていますが、早期に発見できれば良い状態を保ってこれまで通りの生活が可能ですから…。
いかがでしたか?
ちょっと難しかったかもしれませんが、いつも言ってる通り、まず「知る」ことが大事です。
こんな病気もあるんやなぁ〜位でも、頭の片隅にあれば、早い対処も可能ですからね。
では来週と再来週は、この「膠原病」の代表的疾患である「全身性エリテマトーデス」と「関節リウマチ」を解説していきたいと思います。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
11月12日のサンデーイルネスでございます。
何だかんだで11月も1/3が終了したよぉ。
今年も後1月と2/3ですぜ。つまり、後40数日ってことですわ。
40日とか書くと焦ります(笑)
書いてビックリしました。
このイルネス辞典も、数えれば今年も後7回で終了ですからね〜。
しかも、今年最後は31日大晦日(笑)
もちろん、大晦日も元旦も更新は止まりませんよ〜。
ってことで、今日のイルネス辞典ですが、先週の「レイノー病」をうけての今日は「膠原病」について解説していきたいと思います。
先週も最後に少しお話しましたが、膠原病は、病理学者ポール・クレンペラーが1942年に提唱した「病気の考え方」といわれています。
これまた、ピンと来ないかと思いますが、長い間、病気は特定の臓器が損なわれて起こるとする「臓器病理学」の考えが主流で、病気の診断は臓器の病変に基づいて行われていました。
つまり、肝臓なら肝臓病ですし、心臓なら心臓病ってわけですわ。
しかし、クレンペラーは「全身性エリテマトーデス」のようにいくつもの臓器が同時に損なわれ、どの臓器が病変の中心であるのかを特定することができない病気があることに気づきました。
そして、綿密な病理組織学的検査によって、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する蛋白質である膠原繊維(コラーゲン)が全身的に障害・炎症を生じ、全身の結合組織が病変の場所となる疾患のことを「膠原病」と命名しました。
つまり、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する膠原繊維自体、全身にあるわけですから、そのどこがどうなるか分からないってわけですね。
つまり、症状はある程度特定出来ますが、部位だの臓器だのは、どこで起こるか分からない病気って捉えて貰えればいいかと思います。
そして、こういった疾患の総称として「膠原病(collagen-vascular disease )」と名付けたと…。
クレンペラーが膠原病として最初に選んだ6つの疾患「全身性エリテマトーデス」「リウマチ熱」「全身性硬化症(強皮症)」「皮膚筋炎および多発性筋炎」「結節性動脈周囲炎」「関節リウマチ」は古典的膠原病とも呼ばれます。
現在ではこれらに加えて「シェーグレン症候群」「混合性結合組織病」「アレルギー性肉芽腫性(にくげしゅせい)血管炎」「ウェゲナー肉芽腫症」「高安(たかやす)動脈炎」「側頭動脈炎」「好酸球性筋膜炎」「成人スティル病」「ベーチェット病」などの原因不明の全身性疾患も膠原病の一種とされています。
これらの疾患に共通する症状は、関節の腫れやこわばり、痛みが挙げられます。
また病気が進行すると臓器にも障害が現れるようになります。
とはいえ、膠原病は臓器そのものに異常を生じる病気ではありません。
細胞と細胞の間にある結合組織に異常が現れるのです。細胞同士を結び付けているものを膠原繊維(コラーゲン)といい、これが膠原病の名のもとになっているのです。
結合組織は全身に存在していますので関節や臓器など、どこでも症状が現れる可能性があるわけです。
では、なぜ膠原病が発症するのかという事ですが、その原因は免疫機能の異常にあります。
人体には異物である細菌やウイルスを排除する「免疫」という機能が備わっていますが、膠原病ではこの機能に異常が起こって自分の身体を異物として認識してしまい、それを排除しようと攻撃するのです。
これを「自己免疫反応」と言いい、こういった一連の傷病を「自己免疫疾患」とも呼ぶようになりました。
膠原病の考え方は、とりわけ臨床医には広く受け入れられました。
しかし、クレンペラーは「膠原病」が「診断名」としてあまりにも安易に使われすぎることを懸念し、この名称は臨床的および病理学的に理解が困難な症例に対する“原因不明病”として用いられるべきではないと警告しました。
クレンペラーの意図したことは疾患の概念(成り立ち)の提唱であり、決して疾患名や診断名を提供することではなかったわけです。
このような経緯から、現在では欧米で「膠原病」の名称が用いられることはあまりなく、「結合組織疾患」や「リウマチ性疾患」が用いられています。
一方、日本では「膠原病」の名称は、ともすると病名としても誤用されるきらいがあるものの、現在でも広く定着しています。
そして、膠原病は原因が不明で治療法のない「難病」というイメージがありました。
事実、日本では膠原病とその近縁疾患の多くは、厚生労働省によって特定疾患(いわゆる難病)に指定され、公費補助対象疾患とされています。
しかし、近年の医学の進歩によって、膠原病の生命予後は大きく改善しました。
膠原病の代表的疾患である全身性エリテマトーデスでは、ステロイド治療が導入される以前の、3年生存率は50%以下でしたが、1960〜70年代には5年生存率75%、1980年代以降の5年生存率は90%以上と、劇的な生命予後の改善がみられています。
このような生命予後の改善傾向は他の膠原病についても確認されています。
とは言え、治療の中心は薬物療法で、関節や臓器の障害を防ぐ目的で行われます。つまり根治療法ではありません。
薬で炎症を軽減させたり自己免疫反応を抑えたりします。いずれにしても早期から治療を始めるのが大切です。
また、薬の服用と同時に日常生活でも気をつけたいことがあります。
@疲労を溜めないこと。特に十分な睡眠時間を確保するのが大切
A病状が安定しているときは、なるべく身体を動かしたり運動療法としての体操をしたりして、筋肉や関節の機能を維持するようにする
B身体、特に関節を冷やさないことも大切です。衣服や室温をこまめに調節し、入浴などで身体の保温を心掛ける
C治療中は感染症に罹りやすくなるため、うがいや手洗いを励行し身体に傷が出来ないように気を付けることも必要です。
膠原病の初期症状はカゼなど他の病気と似ている点が多いので、症状だけで病気を診断できません。
気になる症状があれば医師に相談して血液検査などの検査を受けましょう。
膠原病は、難病と呼ばれていますが、早期に発見できれば良い状態を保ってこれまで通りの生活が可能ですから…。
いかがでしたか?
ちょっと難しかったかもしれませんが、いつも言ってる通り、まず「知る」ことが大事です。
こんな病気もあるんやなぁ〜位でも、頭の片隅にあれば、早い対処も可能ですからね。
では来週と再来週は、この「膠原病」の代表的疾患である「全身性エリテマトーデス」と「関節リウマチ」を解説していきたいと思います。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院