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2017年05月28日 [からだのこと]

(13)サンデーイルネス(仮)肺炎について

お疲れ様です。院長です。

5月28日の日曜日でございます。

気付けば5月も最後の日曜日で、来週辺り梅雨入りしてんじゃないの…

という事で、今は年間通じて一番湿度の高くなる時期ですので、身体のケアは十分にしとかないとね。

てことで、今週もイルネス辞典(仮)に突入するわけですが、今日のネタは「肺炎」でございます。

肺炎というと、まぁ肺に炎症が起こる病気だねぇってのは割と誰にでも分かると思うんですが、これがなかなか奥が深い(笑)

そして、日本人の死亡疾病ランキングでも、全体で4位、高齢者になればさらに順位が上がりますし、90歳以上では1位の死亡率となっております。

ということは、当然高齢者に多い疾患といえますが、この肺炎、原因の種類がメチャクチャ多いんですよね。

ですから、肺炎=高齢者という図式も、必ずしも正解とは言えないわけです。

では、そのメチャクチャ多い種類ってのを簡単に解説していきましょう。

まず、大きくわけて「細菌性肺炎」・「ウィルス性肺炎」・「非定型肺炎」に分類することができます。(この分け方も諸説あったりしますんで、他の文献に違う表記があるかもしれませんが…)

これはまぁ、原因物質ってことで、細菌に感染して肺に炎症が起こるのか、ウィルスに感染して起こるのかってことで、最後の非定型肺炎というのは、菌の中でもちょっと特殊なものをさしています。

では、ざっと原因物質を並べてみましょう。

まずは細菌性でいうと


・肺炎球菌
・インフルエンザ菌
・緑膿菌
・クレブシエラ菌(肺炎桿菌)
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MARS)
・黄色ブドウ球菌
・モラクセラ
・大腸菌
・レジオネラ菌
・嫌気性菌

なんかがあります。こういった細菌群が、肺に入り炎症を起こすわけですね。

では次に、ウィルス性を見てみましょう。


・インフルエンザウイルス
・パラインフルエンザウイルス
・Sウイルス
・アデノウイルス
・ARSウイルス(重症急性呼吸器症候群)

などがあります。

そして最後の非定型肺炎は

・マイコプラズマ
・クラミジア
・ニューモシスチス
・サイトメガロ
・真菌

などが分類されます。

で、これら一つ一つの原因物質によって、多少治療方法や完治までの時間その他違ってくるんですが、これを一つずつ説明していくことも大変なんで、まぁ頭の片隅にでも置いておいて下さい。

という事で、今日一番お伝えしたいのは、高齢者の肺炎についてちょっと詳しく解説していきたいなぁと思っております。


ご存知の通り、日本は高齢化社会を迎えていますので、肺炎の重要性がさらに増してきているわけです。

で、高齢者肺炎のほとんどは、誤嚥による肺炎で、高齢者の肺炎の70%を超えています。

肺炎による死亡は60代では10万例あたり5人程度ですが、80代では、10万例あたり約70〜160人で10倍以上になります。

85歳以上では、10万人あたり年間2000人以上が肺炎で死亡し、毎日200人以上が肺炎で治療されていると推定されます。

なかなかの数ですなぁ…

で、この中で7割を超えるわけですから、まぁかなり多いと言っても過言ではないでしょう。

誤嚥性肺炎は、嚥下機能障害のために、咽頭、副鼻腔、歯周、口腔に常在する病原体が、唾液などの分泌物とともに気道に入り込み、肺炎を発症したものです。

この場合は食事の誤嚥ではなく、夜間寝ている間に知らず知らずのうちに飲み込まれる不顕性(ふけんせい)誤嚥が原因になることが多いようです。

不顕性誤嚥は、特別な現象ではありません。元気な高齢者であっても、夜間は嚥下機能が低下するため、容易に誤嚥してしまいます。

とくに、鎮静薬、向精神薬などの薬を服用している場合は、嚥下反射が抑えられ、不顕性誤嚥を起こしやすいものです。

加齢とともに、のどぼとけの位置は下がり、嚥下の時にのどをふさぐのに時間がかかるようになるからです。

しかし、不顕性誤嚥のすべてが肺炎を発症するわけではなく、軽度の炎症であれば、そのまま治癒します。

しかし、体位変換ができない場合や重症肺気腫などでは、容易に気道閉塞が生じて肺炎発症を助長します。

つまり、不顕性誤嚥が肺炎に結びつくのは、宿主の免疫能や肺機能の低下、体位変換能力の低下などが背景としてあり、深く関わっているといえるわけですな。

まぁ、これは不顕性誤嚥に限らず、どんな菌やウィルスに曝露されようと免疫が高かったら防げますし、ここは常に注意すべき部分だと思います。はい。

誤嚥性肺炎は、適切な抗生物質の投与で治ることが多いのですが、肺炎の原因である不顕性誤嚥が減らなければ、いったん改善した肺炎がまた悪化してしまいます。

そこで、誤嚥を減らす予防策が重要となるわけです。

あお向けに寝かして放置していると誤嚥が悪化するので、頭部や上半身をベッドで高くしたり、口腔ケアが必要となるわけです。

口腔ケアは、肺炎の原因となる口腔内の病原微生物を減らし、その結果として肺炎を減らすのに有効です。

たとえ歯がなくともブラッシングをしたり、就寝前にポピヨンヨード(イソジン的な)でうがいをすることも有効な方法だといわれています。

栄養状態の低下、筋力の低下、意識レベルの低下が誤嚥を増やすため、日ごろよりこれらに対処しておくとなお良いんですがねぇ…。

また、嚥下を改善する物質もありますす。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬は、高血圧の薬ですが、嚥下反射物質濃度を上昇させます。

結果的に、誤嚥が減り肺炎を予防するというわけ。唐辛子に含まれるカプサイシンにも、同様の作用が認められています。

カプサイシンの入った辛いものを食べて嚥下反射あるいは咳反射を高めておくことは、誤嚥予防、肺炎予防に役立ちます。

また、脳梗塞予防薬である抗血小板薬も、嚥下反射を高めて肺炎を予防することがわかってきました。

加齢とともに増える不顕性誤嚥を完全になくすことは困難ですが、誤嚥を防ぐ対策は無数にありますので、自分に合った予防策を立てましょう。


細菌性肺炎では、誤嚥だけでなく、まれに血液の循環を介して肺胞に到達し、肺炎を起こす場合もあるので、さらに注意が必要と言えるでしょう。

そしてこの誤嚥による肺炎の症状としては、発熱、咳、膿性の痰がみられ、それに加えて胸痛がみられることもあり、この場合は胸膜への炎症の広がりを示唆します。

身体所見では、呼吸数や脈拍の増加がみられます。重症例では呼吸困難、チアノーゼ、意識障害がみられ、緊急に治療を開始する必要があります。

咳と痰という症状の共通する気管支炎に比べ、高い発熱や胸痛、呼吸困難などは肺炎を疑わせる症状です。

肺炎の最も有用な検査は胸部X線です。

ですが、X線像に影がある場合でも、それが肺炎であるのか、それ以外の肺がんや薬剤に対するアレルギー反応であるのかどうかは、症状や診察所見、喀痰の検査などから判断します。

区別すべき最も重要な肺炎として、結核があります。X線検査で結核が疑われる場合には、必ず喀痰の結核菌の検査を行います。

そして、不幸にも肺炎に感染していることが分かれば、速やかに治療していくわけですが、軽症で通院が可能であれば経口薬で治療していけます。

ですが、中症度以上で入院が適切だと思われた場合は注射による治療が選択されます。

入院でも重症度が高度の場合、集中治療室への入院がすすめられたりして、患者をビビらせます(笑)

また、基礎疾患があったり高齢者の場合は、軽症でも入院して治療し、軽快する傾向を確認したうえで外来治療にするほうが安全だと考えられています。

このように、特に高齢者の肺炎に関しては、甘く見ない事が大切だと思われます。

細菌性肺炎では、原因になっている細菌に合わせた適切な抗菌薬を選択することが治療の基本です。

死亡原因として高いのですが、あくまで高齢者の場合であり、そうでない場合は適切な投薬で、ほぼ完治しますし予後も良好と言えます。

やはり問題は高齢者の肺炎です。

まぁ、どんな疾病でも高齢になり、免疫力や体力が低下することにより死亡率は上がってしまいます。

ですが、この肺炎に関しては、高齢になればなるほど罹患率、死亡率が右肩上がりに上がりますので、特に高齢者が近親におられる方、ご近所におられる方はご注意を!

てことで、本日のイルネス辞典いかがでした?

高齢化社会が進むにつれ、これから肺炎の罹患率、死亡率はさらに上昇すると思われます。

それだけ身近に存在する疾病になっていくわけで、当然知識も理解も必要になってきますからね。

では、来週のイルネスをお楽しみに〜

みなさん、素敵な日曜日をお過ごし下さい。




haien




京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院


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