2024年07月10日 [からだのこと]
恐怖の恐怖スイッチ
お疲れ様です。院長です。
7月10日の水曜日でございます。
7月も1/3が過ぎ、ボチボチ梅雨明け間近ですな。
では今日も元気にネタいきましょう。
なんでも、科学者が脳内にある「恐怖スイッチ」を発見したそうです。
さらにはオフにする方法も明らかになったんだとか…。
不安が増長し、苦痛にも似た不快な感情が押し寄せてくることが誰にでもあると思います。
振り払おうとしてもとらわれてしまい、なかなかその感情から抜け出すことができない…。
それが恐怖というものです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経生物学者ホイ=クアン・リー氏らは、この恐怖のメカニズムを解明するために、特別に改変されたマウスの脳を覗き込み、何が起きているのかを調査しました。
その結果、恐怖を引き起こしているスイッチのようなものを発見し、それをオン・オフと切り替えられることが明らかになったそうなんです。
恐怖はきわめて不快な感情ですが、私たちが生きるために必要なものでもあるわけです。
それは危険に対する本能的な反応であり、本当にやばい状況に遭遇したときの生存確率を高めてくれるでしょう。
全く恐怖がなければそりゃ危険ですよね。
とはいえ、それにも限度があります。
本来怯える必要などないはずなのに、ちょっとしたことに恐怖を感じ、不安が払しょくできなければ、普段の社会生活すら困難なものになります。
何かがきっかけで一度そうした恐怖を覚えてしまうと、似たような状況で恐怖を感じてしまうことがあります。
これを心理学では「汎化(はんか)」といい、不安障害やストレス障害、PTSDなどを患う人たちの状態でもあるわけです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経生物学者ホイ=クアン・リー氏らは、恐怖とその汎化メカニズムをより深く理解するために、恐怖したマウスの脳で何が起きているのか調べてみました。
研究チームのニコラス・スピッツァー氏は、「この結果は、恐怖の汎化の裏にあるメカニズムについて重要な洞察を与えてくれます」と語っています。
実験に使用されたマウスは、脳内の変化を追跡できるように遺伝子が改変され、脳内の重要な神経伝達物質である「グルタミン酸専用の輸送体」(グルタミン酸を運ぶタンパク質)と「脳細胞の蛍光タンパク質」が発現するようにされていました。
研究チームはこうしたマウスに電気ショックを与え、2週間後にその酷い目にあった場所に戻してみました。
すると、マウスが恐怖で身をすくませることが観察されました。
より強い電気ショックを受けたマウスは、その場所以外のところでも身をすくませることがあり、これは恐怖の汎化が起きたわけです。
新たな研究で、恐怖体験を引き起こす脳生化学と神経回路が明らかになりました。
こうしたマウスの脳を観察すると、その恐怖は脳幹にある「背側縫線核」という領域が原因となっていることが明らかになったそうなんです。
ここは気分や不安の調整を司っており、前脳に大量のセロトニン(神経伝達物質の1つ)を供給します。
重要なのは、背側縫線核が恐怖の学習にも大切な役割を果たしていることでした。
そしてもう1つ明らかになったのは、強い恐怖によって神経細胞の”スイッチ"が切り替わることでした。
神経細胞のコミュニケーション手段が、神経細胞を興奮させる「グルタミン酸」から、抑制する「GABA」へと変化するようなんです。
その結果として、本来であれば消えるはずの恐怖反応が維持され、不安障害のような症状が続くようになると…。
このことは人間の脳でも裏付けられていて、死亡したPTSDの患者の脳を調べたところ、こちらでもグルタミン酸からGABAへの切り替えが起きていたそうなんです。
今回の研究では、こうした発見から恐怖の汎化を予防する方法が考案されています。
1つは「アデノ随伴ウイルス」(人間などに感染するが、病原性が弱く、”運び屋”として遺伝子治療に利用される)を注射して、GABAを作る遺伝子を抑制することです。
これを施されたマウスは、先ほどの恐怖を与える実験を行っても、過剰な恐怖心を抱くようなことはなかったそうです。
ただし、この予防法は、恐怖を生み出すストレスを事前に知っておく必要がありますが…。
もう1つの方法は、恐怖を感じた後でも汎化を防いでくれる、一般的な抗うつ薬である「フルオキセチン」を恐怖を感じた直後に投与すると、神経伝達物質のスイッチが切り替わらず、過剰な恐怖反応が出なくなります。
ただし、フルオキセチンは恐怖を感じたらすぐに投与しなければならないそうです。
恐怖スイッチが切り替わってからでは遅いわけで、このことは、しばしばPTSD患者に抗うつ薬が効かない理由を説明するかもしれないという話です。
まぁ、どちらの方法もまだ弱点があり、今のところ治療とまでは言えないかもしれません。
ですが、その開発へ向けた幸先の良いスタートではあると思われますね。
ストレス誘発性恐怖が起こるメカニズムの核心と、それによる恐怖を発動させる回路をつかんだ今、ターゲットの絞った具体的な対策を行えるでしょう(スピッツァー氏)
これら「脳内」の神経および働きがもっと具体的に解明されていけば、少なくとも精神疾患は相当減るでしょう。
なんとか頑張って研究してください。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
7月10日の水曜日でございます。
7月も1/3が過ぎ、ボチボチ梅雨明け間近ですな。
では今日も元気にネタいきましょう。
なんでも、科学者が脳内にある「恐怖スイッチ」を発見したそうです。
さらにはオフにする方法も明らかになったんだとか…。
不安が増長し、苦痛にも似た不快な感情が押し寄せてくることが誰にでもあると思います。
振り払おうとしてもとらわれてしまい、なかなかその感情から抜け出すことができない…。
それが恐怖というものです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経生物学者ホイ=クアン・リー氏らは、この恐怖のメカニズムを解明するために、特別に改変されたマウスの脳を覗き込み、何が起きているのかを調査しました。
その結果、恐怖を引き起こしているスイッチのようなものを発見し、それをオン・オフと切り替えられることが明らかになったそうなんです。
恐怖はきわめて不快な感情ですが、私たちが生きるために必要なものでもあるわけです。
それは危険に対する本能的な反応であり、本当にやばい状況に遭遇したときの生存確率を高めてくれるでしょう。
全く恐怖がなければそりゃ危険ですよね。
とはいえ、それにも限度があります。
本来怯える必要などないはずなのに、ちょっとしたことに恐怖を感じ、不安が払しょくできなければ、普段の社会生活すら困難なものになります。
何かがきっかけで一度そうした恐怖を覚えてしまうと、似たような状況で恐怖を感じてしまうことがあります。
これを心理学では「汎化(はんか)」といい、不安障害やストレス障害、PTSDなどを患う人たちの状態でもあるわけです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経生物学者ホイ=クアン・リー氏らは、恐怖とその汎化メカニズムをより深く理解するために、恐怖したマウスの脳で何が起きているのか調べてみました。
研究チームのニコラス・スピッツァー氏は、「この結果は、恐怖の汎化の裏にあるメカニズムについて重要な洞察を与えてくれます」と語っています。
実験に使用されたマウスは、脳内の変化を追跡できるように遺伝子が改変され、脳内の重要な神経伝達物質である「グルタミン酸専用の輸送体」(グルタミン酸を運ぶタンパク質)と「脳細胞の蛍光タンパク質」が発現するようにされていました。
研究チームはこうしたマウスに電気ショックを与え、2週間後にその酷い目にあった場所に戻してみました。
すると、マウスが恐怖で身をすくませることが観察されました。
より強い電気ショックを受けたマウスは、その場所以外のところでも身をすくませることがあり、これは恐怖の汎化が起きたわけです。
新たな研究で、恐怖体験を引き起こす脳生化学と神経回路が明らかになりました。
こうしたマウスの脳を観察すると、その恐怖は脳幹にある「背側縫線核」という領域が原因となっていることが明らかになったそうなんです。
ここは気分や不安の調整を司っており、前脳に大量のセロトニン(神経伝達物質の1つ)を供給します。
重要なのは、背側縫線核が恐怖の学習にも大切な役割を果たしていることでした。
そしてもう1つ明らかになったのは、強い恐怖によって神経細胞の”スイッチ"が切り替わることでした。
神経細胞のコミュニケーション手段が、神経細胞を興奮させる「グルタミン酸」から、抑制する「GABA」へと変化するようなんです。
その結果として、本来であれば消えるはずの恐怖反応が維持され、不安障害のような症状が続くようになると…。
このことは人間の脳でも裏付けられていて、死亡したPTSDの患者の脳を調べたところ、こちらでもグルタミン酸からGABAへの切り替えが起きていたそうなんです。
今回の研究では、こうした発見から恐怖の汎化を予防する方法が考案されています。
1つは「アデノ随伴ウイルス」(人間などに感染するが、病原性が弱く、”運び屋”として遺伝子治療に利用される)を注射して、GABAを作る遺伝子を抑制することです。
これを施されたマウスは、先ほどの恐怖を与える実験を行っても、過剰な恐怖心を抱くようなことはなかったそうです。
ただし、この予防法は、恐怖を生み出すストレスを事前に知っておく必要がありますが…。
もう1つの方法は、恐怖を感じた後でも汎化を防いでくれる、一般的な抗うつ薬である「フルオキセチン」を恐怖を感じた直後に投与すると、神経伝達物質のスイッチが切り替わらず、過剰な恐怖反応が出なくなります。
ただし、フルオキセチンは恐怖を感じたらすぐに投与しなければならないそうです。
恐怖スイッチが切り替わってからでは遅いわけで、このことは、しばしばPTSD患者に抗うつ薬が効かない理由を説明するかもしれないという話です。
まぁ、どちらの方法もまだ弱点があり、今のところ治療とまでは言えないかもしれません。
ですが、その開発へ向けた幸先の良いスタートではあると思われますね。
ストレス誘発性恐怖が起こるメカニズムの核心と、それによる恐怖を発動させる回路をつかんだ今、ターゲットの絞った具体的な対策を行えるでしょう(スピッツァー氏)
これら「脳内」の神経および働きがもっと具体的に解明されていけば、少なくとも精神疾患は相当減るでしょう。
なんとか頑張って研究してください。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院