2022年03月28日 [からだのこと]
ユニバ臓器
お疲れ様です。院長です。
3月28日の月曜日でございます。
さぁ、3月最後の月曜日です。
春ですなぁ。
やはり春は気持ちいい季節です。
短いですが楽しみましょう。
では今日のネタですが、みなさんは、血液型って当然ご存知ですよね。
一般的に使われるのは、「ABO式血液型」ってヤツですが、実は色々種類があるんですよね。
Rh式血液型、MNSs式血液型、ルセラン (Lutheran) 式血液型、などなど種類だけだとまだまだあります。
で、今日はそんな血液型が非常に重要な臓器移植についてのお話しでもしようかなと思います。
世界中に、移植用の臓器を待っている患者さんがいます。
そもそもドナーが限られていることに加え、人によって適合する臓器としない臓器があるために、移植用臓器はどうしても不足しがちです。
ですが、このほどカナダの研究グループが、拒絶反応の原因になる「血液型」を変えることで、どんな患者にも移植できる肺を作ることに成功したそうなんです。
つまり、あらゆる血液型の患者に適応可能なユニバーサル(共通)肺なわけで、更に肺以外でも、拒絶反応のない臓器を作り出せる可能性があるというスゴイお話しです。
臓器が提供されると、まずチェックされるのは患者と臓器のサイズが合うかどうか、そして血液が適合するかどうか調べます。
せっかく提供された肺であっても、血液型が適合しないとどうにもなりません。
で、そもそも血液型とは何の型かと言うと、「赤血球」や「血管」の表面にある「糖分子(抗原)」の種類のことです。
たとえば、A型の血液に含まれる赤血球や血管はA抗原を持ち、B型ならB抗原があるわけです。
AB型は両方の抗原を持っているということなんですが、O型にだけはそうした抗原がありません。
一方、同じく血液を構成する「血漿」は、そうした抗原に反応する「抗体」を持っています。
A型には「抗B抗体」が含まれており、B型の血液が混ざるとこれを異物とみなして、免疫系が攻撃を開始する仕組みです。
抗原がないO型ではありますが、抗体なら抗A抗体も抗B抗体もどちらも持っているんです。
ですからO型の人は、A型の人の肺も、B型の人の肺も、どちらも受け付けられません。
ところが逆はOKなんですね。
O型には抗原がないので、A型とB型の人にO型の人の肺を移植しても特に問題ないわけです。
つまりO型の人の臓器は需要がある一方で、O型の患者はO型のドナーからしか臓器をもらえないわけです。
これは、まぁ輸血でも同じ事ですね。
ですからO型の人は適合する臓器が見つかるまで、それだけ時間がかかることになるわけです。
2019年の報告によると、O型の肺移植希望患者は、待機中に死亡するリスクが20%高いのだそうです。
こうした需給のミスマッチを解消し、移植を受けられずに死んでしまう患者を救うため、カナダ、トロント総合病院研究所とブリティッシュコロンビア大学の研究グループが考案したのが、臓器移植を阻んでいる「抗原を除去する方法」です。
同グループはすでに2018年に、人間の腸から抽出した酵素を利用することで、これを効率的に行うことに成功していました。
今回の最新の研究では、2種類の酵素(「FpGalNAc deacetylase」と「FpGalactosaminidase」)で肺を処理したところ、どんな血液型であっても免疫による攻撃を受けなかったと報告しています。
実験では、人間の肺を体外灌流装置につないで温度や栄養を維持しつつ、酵素で4時間処理します。
これによって、A抗原の97%が除去されることが確認されたそうです。
さらにO型血漿で不適合臓器の移植をシミュレートしたところ、未処理の肺では「超急性拒絶反応」が現れた一方、処理済みの肺ではそのような兆候が現れないことも確認されたらしいです。
この結果を受けて、研究グループは、1年半以内に人間の患者で酵素処理肺の臨床試験を行う予定であるとのことです。
臨床試験では、普通の実験ではわからないことも解明されるだろうと期待されています。
大きな謎の1つが、臓器の「順応」と呼ばれる現象です。
せっかく除去した抗原であるが、移植された肺の細胞が新しくなるために、おそらく抗原もまた新たに作り出されます。
ところが、それによって移植臓器の拒絶反応が起きるかというと、そうはならない可能性が濃厚なんだそうです。
研究グループのマルセロ・サイペル博士によれば、臓器を移植してから数日間、超急性拒絶反応が起きなければ、順応して移植患者の免疫系に対する耐性を身につけたと考えられるのだとか…。
この現象は腎臓移植では確認されています。
たとえ不適合な腎臓であっても、移植直前に抗体を処理してしまえば、問題なく移植できます。
抗体は移植後しばらくすれば元に戻るようですが、それでも免疫によって腎臓が破壊されるようなことはありません。
なんですが、なぜそうなるのか詳しいメカニズムはよくわかっていないってのも事実らしいです。
サイペル博士らは、こうした点を含め、酵素処理された肺の安全性について、臨床試験で確認する予定であるといいます。
とはいえ、この方法の仕組みから考えれば大きな問題にはならないと考えられるそうですが…。
また今回の酵素処理法は、肺だけでなく、さまざまな移植用臓器や輸血に応用できる可能性があるとのことですから、研究の価値は十分あるでしょうね。
まぁ、一部、血液型が合致していても、拒絶反応が出る場合も稀にあるらしいので、完璧と言う事はないでしょうけど、この技術が確立されれば、かなりの患者が助かるでしょう。
ぜひ、頑張って下さい。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
3月28日の月曜日でございます。
さぁ、3月最後の月曜日です。
春ですなぁ。
やはり春は気持ちいい季節です。
短いですが楽しみましょう。
では今日のネタですが、みなさんは、血液型って当然ご存知ですよね。
一般的に使われるのは、「ABO式血液型」ってヤツですが、実は色々種類があるんですよね。
Rh式血液型、MNSs式血液型、ルセラン (Lutheran) 式血液型、などなど種類だけだとまだまだあります。
で、今日はそんな血液型が非常に重要な臓器移植についてのお話しでもしようかなと思います。
世界中に、移植用の臓器を待っている患者さんがいます。
そもそもドナーが限られていることに加え、人によって適合する臓器としない臓器があるために、移植用臓器はどうしても不足しがちです。
ですが、このほどカナダの研究グループが、拒絶反応の原因になる「血液型」を変えることで、どんな患者にも移植できる肺を作ることに成功したそうなんです。
つまり、あらゆる血液型の患者に適応可能なユニバーサル(共通)肺なわけで、更に肺以外でも、拒絶反応のない臓器を作り出せる可能性があるというスゴイお話しです。
臓器が提供されると、まずチェックされるのは患者と臓器のサイズが合うかどうか、そして血液が適合するかどうか調べます。
せっかく提供された肺であっても、血液型が適合しないとどうにもなりません。
で、そもそも血液型とは何の型かと言うと、「赤血球」や「血管」の表面にある「糖分子(抗原)」の種類のことです。
たとえば、A型の血液に含まれる赤血球や血管はA抗原を持ち、B型ならB抗原があるわけです。
AB型は両方の抗原を持っているということなんですが、O型にだけはそうした抗原がありません。
一方、同じく血液を構成する「血漿」は、そうした抗原に反応する「抗体」を持っています。
A型には「抗B抗体」が含まれており、B型の血液が混ざるとこれを異物とみなして、免疫系が攻撃を開始する仕組みです。
抗原がないO型ではありますが、抗体なら抗A抗体も抗B抗体もどちらも持っているんです。
ですからO型の人は、A型の人の肺も、B型の人の肺も、どちらも受け付けられません。
ところが逆はOKなんですね。
O型には抗原がないので、A型とB型の人にO型の人の肺を移植しても特に問題ないわけです。
つまりO型の人の臓器は需要がある一方で、O型の患者はO型のドナーからしか臓器をもらえないわけです。
これは、まぁ輸血でも同じ事ですね。
ですからO型の人は適合する臓器が見つかるまで、それだけ時間がかかることになるわけです。
2019年の報告によると、O型の肺移植希望患者は、待機中に死亡するリスクが20%高いのだそうです。
こうした需給のミスマッチを解消し、移植を受けられずに死んでしまう患者を救うため、カナダ、トロント総合病院研究所とブリティッシュコロンビア大学の研究グループが考案したのが、臓器移植を阻んでいる「抗原を除去する方法」です。
同グループはすでに2018年に、人間の腸から抽出した酵素を利用することで、これを効率的に行うことに成功していました。
今回の最新の研究では、2種類の酵素(「FpGalNAc deacetylase」と「FpGalactosaminidase」)で肺を処理したところ、どんな血液型であっても免疫による攻撃を受けなかったと報告しています。
実験では、人間の肺を体外灌流装置につないで温度や栄養を維持しつつ、酵素で4時間処理します。
これによって、A抗原の97%が除去されることが確認されたそうです。
さらにO型血漿で不適合臓器の移植をシミュレートしたところ、未処理の肺では「超急性拒絶反応」が現れた一方、処理済みの肺ではそのような兆候が現れないことも確認されたらしいです。
この結果を受けて、研究グループは、1年半以内に人間の患者で酵素処理肺の臨床試験を行う予定であるとのことです。
臨床試験では、普通の実験ではわからないことも解明されるだろうと期待されています。
大きな謎の1つが、臓器の「順応」と呼ばれる現象です。
せっかく除去した抗原であるが、移植された肺の細胞が新しくなるために、おそらく抗原もまた新たに作り出されます。
ところが、それによって移植臓器の拒絶反応が起きるかというと、そうはならない可能性が濃厚なんだそうです。
研究グループのマルセロ・サイペル博士によれば、臓器を移植してから数日間、超急性拒絶反応が起きなければ、順応して移植患者の免疫系に対する耐性を身につけたと考えられるのだとか…。
この現象は腎臓移植では確認されています。
たとえ不適合な腎臓であっても、移植直前に抗体を処理してしまえば、問題なく移植できます。
抗体は移植後しばらくすれば元に戻るようですが、それでも免疫によって腎臓が破壊されるようなことはありません。
なんですが、なぜそうなるのか詳しいメカニズムはよくわかっていないってのも事実らしいです。
サイペル博士らは、こうした点を含め、酵素処理された肺の安全性について、臨床試験で確認する予定であるといいます。
とはいえ、この方法の仕組みから考えれば大きな問題にはならないと考えられるそうですが…。
また今回の酵素処理法は、肺だけでなく、さまざまな移植用臓器や輸血に応用できる可能性があるとのことですから、研究の価値は十分あるでしょうね。
まぁ、一部、血液型が合致していても、拒絶反応が出る場合も稀にあるらしいので、完璧と言う事はないでしょうけど、この技術が確立されれば、かなりの患者が助かるでしょう。
ぜひ、頑張って下さい。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院