2022年02月18日 [からだのこと]
海洋水銀
お疲れ様です。院長です。
2月18日の金曜日でございます。
まだまだ寒いですなぁ。
ここんとこ、非常に登場頻度が多かった、海洋プラスチック問題ですが、今日はまた別の海洋汚染問題について、新たな研究が発表されたようなんで、ご紹介しとこうかと思います。
その海洋問題とは「水銀」です。
日本人なら、水銀の海洋問題を知らない人はいないでしょう。
いわゆる「水俣病」で、大きな問題になりました。
この水俣病の原因にもなった水銀ですが、もともと自然界に存在するものなんですが、人間の活動によっても排出されます。
それらは様々な経路を経て川や湖、海に流れ込み、魚の体に入り込みます。
更に生態系での食物連鎖を通じて、より上位の捕食者の体内に濃縮されていくんですね。
これが「生物濃縮」と呼ばれるもので、その為マグロやメカジキ、サケやノーザンパイクなど、大型魚類ほど水銀が蓄積されることとなるわけです。
厚生労働省でも、特に水銀含有量の高い魚介類を偏って多量に食べることを避けるよう促しているんですが、魚たちの体は思ったより適応力があるようなんですね。
カナダ、クイーンズ大学や米地質調査局などの研究グループは、湖に水銀を垂れ流すと魚の水銀汚染が急速に進みますが、それを止めれば同じ速度で回復することを発見したそうなんです。
そもそも魚たちには、水銀がそれほどの「毒」となっていないのかもしれません。
水銀は、体内に入ると排出されにくく、蓄積していきます。
この為、人間の場合、体内に蓄積されやがて中毒性中枢神経系疾患を引き起こしてしまうわけです。
ではまず、魚が水銀で汚染されてしまう原因は、2つあります。
1つは自然由来の水銀ですね。
水銀はもともと自然環境の中に存在しており、火山活動やプレート境界の土壌などから流れ出ます。
もう1つは人間に由来する水銀で、こちらは、たとえば金の採掘や化石燃料の燃焼、あるいは非鉄金属の生産などによって流出します。
そうした水銀が、さまざまな経路を経て海に流れ込み、それが生物の口に入り、その体内に蓄積されるていきます。
さらに、それを上位捕食者が食べることで、より水銀が濃縮されるわけです。
マグロのような大型魚の汚染レベルが高いのは、このように「生体濃縮」が行われるせいです。
カナダ、オンタリオ州にある「IISD実験湖沼区域」では、そうした水銀の循環を調べるために、15年もの長期にわたって研究が行われていました。
ここは人間の活動が湖などに与える影響を調べるために、人為的な「操作」が許されている世界でも数少ない場所なんだそうです。
クイーンズ大学や地質調査局をはじめとする研究グループは、最初の7年間だけ「メチル水銀」を湖に流し、その後の8年かけて生態系がどのように回復するのか観察しました。
メチル水銀は水銀の中でも特に毒性が高く、特に胎児の神経の発達に悪影響を与えるとされている。
その結果、水銀の投入を止めると、汚染の進行と同じ割合でキレイになることが明らかになったそうなんです。
水銀の投入停止から3年で、湖水の水銀濃度が81%低下し、さらに実験の最終年までには、魚の汚染が最大76%減少していることがわかったそうなんです。
ただし、個々の魚のレベルでは、汚染はそれほど変わらなかったようですが、一方で魚全体で見てみると、かなり急速に水銀が消えていったそうです。
このことは、若い魚を中心に回復が進んだことを示唆しているといいます。
たとえば、体長1メートルを超える淡水の大型魚、カワカマス属の「ノーザンパイク」の回復は、同じく大型魚であるサケ科の「レイクホワイトフィッシュ」の2倍も早かったんだとか…。
その理由はノーザンパイクの繁殖速度が早く、また寿命も短いことが関係していると考えられています。
湖の汚染レベルが低下してから生まれたノーザンパイクの場合、体にそれほど水銀が蓄積しなかったということになりますね。
まぁ、それはもっともな実験結果でしょう。
今回の研究では、メチル水銀の投入を止めてさえしまえば、汚染が進んだ速度と同じ割合で、水銀が消えていくことが確認されたわけです。
これはきちんとした水銀汚染防止策を実施すれば、食卓でお馴染みの魚たちが速やかにキレイになるだろうことを示唆しているわけです。
今、世界中で水銀汚染を防ぐための取り組みが行われていますが、今回の結果はその有効性の裏付けであるとのことです。
ちなみに日本の場合、厚生労働省の調査によると、平均的な日本人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではないという話しです。
ですが、水銀含有量の高い魚介類を偏って多量に食べることを避けて水銀摂取量を減らすよう促しています。
日本人は、魚を消費する民族だとは思いますが、意外にも世界規模で見るとそうでもないんですね。
魚介類の消費量でいうと、日本は世界6位で、7位の韓国と大差ありません。
ちなみに、世界で一番魚介類を消費しているのは、「モルディブ」だそうです。
まぁ、魚を食べる食べないは別として、水銀問題も速やかに対処していかなければいけませんよね。
今とめれば、数年後、数十年後には汚染はなくなるわけですからね。
世界一丸となって、キレイな海を守りましょう。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
2月18日の金曜日でございます。
まだまだ寒いですなぁ。
ここんとこ、非常に登場頻度が多かった、海洋プラスチック問題ですが、今日はまた別の海洋汚染問題について、新たな研究が発表されたようなんで、ご紹介しとこうかと思います。
その海洋問題とは「水銀」です。
日本人なら、水銀の海洋問題を知らない人はいないでしょう。
いわゆる「水俣病」で、大きな問題になりました。
この水俣病の原因にもなった水銀ですが、もともと自然界に存在するものなんですが、人間の活動によっても排出されます。
それらは様々な経路を経て川や湖、海に流れ込み、魚の体に入り込みます。
更に生態系での食物連鎖を通じて、より上位の捕食者の体内に濃縮されていくんですね。
これが「生物濃縮」と呼ばれるもので、その為マグロやメカジキ、サケやノーザンパイクなど、大型魚類ほど水銀が蓄積されることとなるわけです。
厚生労働省でも、特に水銀含有量の高い魚介類を偏って多量に食べることを避けるよう促しているんですが、魚たちの体は思ったより適応力があるようなんですね。
カナダ、クイーンズ大学や米地質調査局などの研究グループは、湖に水銀を垂れ流すと魚の水銀汚染が急速に進みますが、それを止めれば同じ速度で回復することを発見したそうなんです。
そもそも魚たちには、水銀がそれほどの「毒」となっていないのかもしれません。
水銀は、体内に入ると排出されにくく、蓄積していきます。
この為、人間の場合、体内に蓄積されやがて中毒性中枢神経系疾患を引き起こしてしまうわけです。
ではまず、魚が水銀で汚染されてしまう原因は、2つあります。
1つは自然由来の水銀ですね。
水銀はもともと自然環境の中に存在しており、火山活動やプレート境界の土壌などから流れ出ます。
もう1つは人間に由来する水銀で、こちらは、たとえば金の採掘や化石燃料の燃焼、あるいは非鉄金属の生産などによって流出します。
そうした水銀が、さまざまな経路を経て海に流れ込み、それが生物の口に入り、その体内に蓄積されるていきます。
さらに、それを上位捕食者が食べることで、より水銀が濃縮されるわけです。
マグロのような大型魚の汚染レベルが高いのは、このように「生体濃縮」が行われるせいです。
カナダ、オンタリオ州にある「IISD実験湖沼区域」では、そうした水銀の循環を調べるために、15年もの長期にわたって研究が行われていました。
ここは人間の活動が湖などに与える影響を調べるために、人為的な「操作」が許されている世界でも数少ない場所なんだそうです。
クイーンズ大学や地質調査局をはじめとする研究グループは、最初の7年間だけ「メチル水銀」を湖に流し、その後の8年かけて生態系がどのように回復するのか観察しました。
メチル水銀は水銀の中でも特に毒性が高く、特に胎児の神経の発達に悪影響を与えるとされている。
その結果、水銀の投入を止めると、汚染の進行と同じ割合でキレイになることが明らかになったそうなんです。
水銀の投入停止から3年で、湖水の水銀濃度が81%低下し、さらに実験の最終年までには、魚の汚染が最大76%減少していることがわかったそうなんです。
ただし、個々の魚のレベルでは、汚染はそれほど変わらなかったようですが、一方で魚全体で見てみると、かなり急速に水銀が消えていったそうです。
このことは、若い魚を中心に回復が進んだことを示唆しているといいます。
たとえば、体長1メートルを超える淡水の大型魚、カワカマス属の「ノーザンパイク」の回復は、同じく大型魚であるサケ科の「レイクホワイトフィッシュ」の2倍も早かったんだとか…。
その理由はノーザンパイクの繁殖速度が早く、また寿命も短いことが関係していると考えられています。
湖の汚染レベルが低下してから生まれたノーザンパイクの場合、体にそれほど水銀が蓄積しなかったということになりますね。
まぁ、それはもっともな実験結果でしょう。
今回の研究では、メチル水銀の投入を止めてさえしまえば、汚染が進んだ速度と同じ割合で、水銀が消えていくことが確認されたわけです。
これはきちんとした水銀汚染防止策を実施すれば、食卓でお馴染みの魚たちが速やかにキレイになるだろうことを示唆しているわけです。
今、世界中で水銀汚染を防ぐための取り組みが行われていますが、今回の結果はその有効性の裏付けであるとのことです。
ちなみに日本の場合、厚生労働省の調査によると、平均的な日本人の水銀摂取量は健康への影響が懸念されるようなレベルではないという話しです。
ですが、水銀含有量の高い魚介類を偏って多量に食べることを避けて水銀摂取量を減らすよう促しています。
日本人は、魚を消費する民族だとは思いますが、意外にも世界規模で見るとそうでもないんですね。
魚介類の消費量でいうと、日本は世界6位で、7位の韓国と大差ありません。
ちなみに、世界で一番魚介類を消費しているのは、「モルディブ」だそうです。
まぁ、魚を食べる食べないは別として、水銀問題も速やかに対処していかなければいけませんよね。
今とめれば、数年後、数十年後には汚染はなくなるわけですからね。
世界一丸となって、キレイな海を守りましょう。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院