2021年08月15日 [からだのこと]
(233)サンデーイルネス(仮)原発性(先天性)免疫不全症2について
お疲れ様です。院長です。
8月15日のサンデーイルネスでございます。
お盆でございますね。
当院は、今日までお休みですから、今日はもう、どんよりなテンションでございます。
次は、年末まで頑張るぞっと…。
てことで、今日のイルネス辞典は、前回の続きで「原発性(先天性)免疫不全症について」解説していきたいと思います。
前回のおさらいをしておきますと、先天的に免疫系のどこかに異常が存在する場合を原発性(先天性)免疫不全症といいます。
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などにかかりやすく(易感染性(いかんせんせい))、感染症を繰り返したり、日和見感染(ひよりみかんせん)を起こしたり、重症な感染症に陥ったりします。
現在は以下の8種類に分類されています。
(1)T細胞およびB細胞免疫不全症
(2)主として抗体不全症
(3)他のよく定義された免疫不全症候群
(4)免疫調整不全の疾患
(5)食細胞(しょくさいぼう)の数・機能・両方の先天性障害
(6)自然免疫系の障害
(7)自己炎症性疾患
(8)補体(ほたい)不全症
ではそのなかでも頻度が高く重要な、いくつかの疾患について解説します。
☆毛細血管拡張性運動失調症(もうさいけっかんかくちょうせいうんどうしっちょうしょう)
どんな病気かと言うと、小脳性運動失調症、錐体外路(すいたいがいろ)症状、毛細血管拡張ならびに気道感染の反復を主症状とする常染色体劣性の遺伝疾患である原発性免疫不全症です。
幼児期に進行性の小脳性運動失調、時に錐体外路症状で発症することが多く、次いで眼球結膜、耳介(じかい)・胸部などの皮膚の毛細血管拡張が生じます。
さらに慢性気管支炎、肺炎、気管支拡張症などの気道を中心とする易(い)感染性(感染しやすい)を示すようになります。
年長児においては呼吸不全と非ホジキンリンパ腫、白血病(はっけつびょう)などの悪性腫瘍の合併が高い頻度で生じ、予後を左右します。
頭部CT、MRIでは小脳虫部(しょうのうちゅうぶ)の著しい萎縮が認められます。
血清α(アルファ)‐フェトプロテインの上昇、線維芽細胞(せんいがさいぼう)とリンパ球の放射線照射によるDNA修復の障害があります。
また末梢血Tリンパ球の減少と機能低下、血清IgA、IgE、時にIgG2、IgG4の欠如が認められます。
IgGサブクラスの欠乏がある症例では、免疫グロブリン置換療法が行われますが、根治的な治療法はまだありません。
早期から継続的な理学療法(運動療法など)と言語療法を行います。
☆原発性補体欠損症(げんぱつせいほたいけっそんしょう)
どんな病気かと言いますと、補体とは、生体に侵入した微生物を排除する生体防御のはたらきをしている一群の蛋白質の総称です。
この補体成分、あるいは補体制御因子が先天的に欠損、あるいは機能異常を示す病気が原発性補体欠損症で、多くの種類が報告されています。
遺伝形式はX連鎖劣性遺伝、常染色体優性遺伝のものもありますが、多くは常染色体劣性遺伝形式を示すものです。
免疫複合体病のようにアレルギー症状を示すものや、易感染性(感染しやすい)を示すものがあります。
治療としては、合併する感染症、膠原病(こうげんびょう)・血管炎(けっかんえん)の治療が中心となります。
肺炎球菌(はいえんきゅうきん)、髄膜炎菌(ずいまくえんきん)ワクチンが感染予防に有用な場合もあります。
補体制御蛋白欠損症(ほたいせいぎょたんぱくけっそんしょう)のなかのC1(補体第1因子)インヒビター欠損症では、発症の予防に男性ホルモン剤(テストステロン、ダナゾール)が有効です。
また、C1(補体第1因子)インヒビター濃縮製剤は日本でも使用できます。
☆X連鎖無γ(エックスれんさむガンマ)‐グロブリン血症(けっしょう)
どんな病気かといますと、γ‐グロブリンの低値または欠如により、1歳過ぎから細菌に対する易(い)感染性(感染しやすい)と重症化が認められるX連鎖劣性遺伝形式の免疫不全症です。
原因となる遺伝子はX染色体にあるチロシンキナーゼで、多様な遺伝子変異が認められています。
感染症は、母親から来るIgG抗体が消える乳児期後半(生後6〜9カ月以降)から認められます。
主として膿皮症(のうひしょう)、気管支炎、肺炎、骨髄炎、髄膜炎、敗血症などの細菌感染がしばしば認められます。
多くの例で慢性進行性の気管支拡張症を生じ、最終的には肺合併症で死亡する危険性が高くなります。
すべての免疫グロブリンのクラスが著しく減ります。
血中IgGは多くの例で200r/dl以下であり、IgA、IgMは欠如します。
末梢血中のBリンパ球が著しく減ります。
診断は血清IgG値が200r/dl以下で、他のIgアイソタイプも欠損すること、末梢血中のB細胞数は1%以下であること、乳幼児期から細菌感染を主とする易感染性が認められること、T細胞は正常であることなどで疑われます。
静注用免疫グロブリンの置換療法が行われます。
1カ月あたり400〜500r/sの投与が行われます。
一般的には血清免疫グロブリン値が谷間値(トラフ値)で少なくとも500r/dl以上を維持するように調節します。
いかがでしたか。
では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
8月15日のサンデーイルネスでございます。
お盆でございますね。
当院は、今日までお休みですから、今日はもう、どんよりなテンションでございます。
次は、年末まで頑張るぞっと…。
てことで、今日のイルネス辞典は、前回の続きで「原発性(先天性)免疫不全症について」解説していきたいと思います。
前回のおさらいをしておきますと、先天的に免疫系のどこかに異常が存在する場合を原発性(先天性)免疫不全症といいます。
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などにかかりやすく(易感染性(いかんせんせい))、感染症を繰り返したり、日和見感染(ひよりみかんせん)を起こしたり、重症な感染症に陥ったりします。
現在は以下の8種類に分類されています。
(1)T細胞およびB細胞免疫不全症
(2)主として抗体不全症
(3)他のよく定義された免疫不全症候群
(4)免疫調整不全の疾患
(5)食細胞(しょくさいぼう)の数・機能・両方の先天性障害
(6)自然免疫系の障害
(7)自己炎症性疾患
(8)補体(ほたい)不全症
ではそのなかでも頻度が高く重要な、いくつかの疾患について解説します。
☆毛細血管拡張性運動失調症(もうさいけっかんかくちょうせいうんどうしっちょうしょう)
どんな病気かと言うと、小脳性運動失調症、錐体外路(すいたいがいろ)症状、毛細血管拡張ならびに気道感染の反復を主症状とする常染色体劣性の遺伝疾患である原発性免疫不全症です。
幼児期に進行性の小脳性運動失調、時に錐体外路症状で発症することが多く、次いで眼球結膜、耳介(じかい)・胸部などの皮膚の毛細血管拡張が生じます。
さらに慢性気管支炎、肺炎、気管支拡張症などの気道を中心とする易(い)感染性(感染しやすい)を示すようになります。
年長児においては呼吸不全と非ホジキンリンパ腫、白血病(はっけつびょう)などの悪性腫瘍の合併が高い頻度で生じ、予後を左右します。
頭部CT、MRIでは小脳虫部(しょうのうちゅうぶ)の著しい萎縮が認められます。
血清α(アルファ)‐フェトプロテインの上昇、線維芽細胞(せんいがさいぼう)とリンパ球の放射線照射によるDNA修復の障害があります。
また末梢血Tリンパ球の減少と機能低下、血清IgA、IgE、時にIgG2、IgG4の欠如が認められます。
IgGサブクラスの欠乏がある症例では、免疫グロブリン置換療法が行われますが、根治的な治療法はまだありません。
早期から継続的な理学療法(運動療法など)と言語療法を行います。
☆原発性補体欠損症(げんぱつせいほたいけっそんしょう)
どんな病気かと言いますと、補体とは、生体に侵入した微生物を排除する生体防御のはたらきをしている一群の蛋白質の総称です。
この補体成分、あるいは補体制御因子が先天的に欠損、あるいは機能異常を示す病気が原発性補体欠損症で、多くの種類が報告されています。
遺伝形式はX連鎖劣性遺伝、常染色体優性遺伝のものもありますが、多くは常染色体劣性遺伝形式を示すものです。
免疫複合体病のようにアレルギー症状を示すものや、易感染性(感染しやすい)を示すものがあります。
治療としては、合併する感染症、膠原病(こうげんびょう)・血管炎(けっかんえん)の治療が中心となります。
肺炎球菌(はいえんきゅうきん)、髄膜炎菌(ずいまくえんきん)ワクチンが感染予防に有用な場合もあります。
補体制御蛋白欠損症(ほたいせいぎょたんぱくけっそんしょう)のなかのC1(補体第1因子)インヒビター欠損症では、発症の予防に男性ホルモン剤(テストステロン、ダナゾール)が有効です。
また、C1(補体第1因子)インヒビター濃縮製剤は日本でも使用できます。
☆X連鎖無γ(エックスれんさむガンマ)‐グロブリン血症(けっしょう)
どんな病気かといますと、γ‐グロブリンの低値または欠如により、1歳過ぎから細菌に対する易(い)感染性(感染しやすい)と重症化が認められるX連鎖劣性遺伝形式の免疫不全症です。
原因となる遺伝子はX染色体にあるチロシンキナーゼで、多様な遺伝子変異が認められています。
感染症は、母親から来るIgG抗体が消える乳児期後半(生後6〜9カ月以降)から認められます。
主として膿皮症(のうひしょう)、気管支炎、肺炎、骨髄炎、髄膜炎、敗血症などの細菌感染がしばしば認められます。
多くの例で慢性進行性の気管支拡張症を生じ、最終的には肺合併症で死亡する危険性が高くなります。
すべての免疫グロブリンのクラスが著しく減ります。
血中IgGは多くの例で200r/dl以下であり、IgA、IgMは欠如します。
末梢血中のBリンパ球が著しく減ります。
診断は血清IgG値が200r/dl以下で、他のIgアイソタイプも欠損すること、末梢血中のB細胞数は1%以下であること、乳幼児期から細菌感染を主とする易感染性が認められること、T細胞は正常であることなどで疑われます。
静注用免疫グロブリンの置換療法が行われます。
1カ月あたり400〜500r/sの投与が行われます。
一般的には血清免疫グロブリン値が谷間値(トラフ値)で少なくとも500r/dl以上を維持するように調節します。
いかがでしたか。
では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院