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2020年03月31日 [からだのこと]

伝染がん

お疲れ様です。院長です。

3月31日の火曜日でございます。

3月もついに終了ってことで、明日からいよいよ4月です。

4月と言えば新学年、新年度と新しい事の始まりですよね。

まだまだコロナ騒ぎで、明るい春爛漫とはいきませんが、ずっと暗い気分でいるってのもねぇ…。

ここ数日間で、確実に感染は拡大し、少しずつ魔の手が忍び寄る感覚に、みな一様に恐れを抱きだしてますし、本当にここで踏ん張らないと取り返しのつかないことになるでしょう。

昨日の志村けんさんの訃報は衝撃的でした。

我々世代は、みな志村けんと共に育ってきたと言っても過言ではない位、とんでもなく影響力のある方だっただけに国民のショックは計りしれません。

ですが、小池さんじゃないですけど、これを教訓にもう一度この感染症と戦う覚悟をみんなが持たないといけないと改めて思いましたね。

とは言え、暗く考えてばかりいても仕方ないので、今出来ることを確実にやりましょう。

ってな3月末日、今日も元気にネタにいってみましょう。

感染症の怖いところは、当然ながら伝染するところですよね。

人にうつり、知らぬ間にそれが拡がっていくってトコが最大の恐怖です。

ですから、その病気そのものの強さもさることながら、感染力の高さってのが一つのカギになります。

で、今日ご紹介するお話しは、病気の強さも最大マックスであり、しかも伝染するっていうもう手のつけようのない恐ろしいお話しなんですよ。

そのお話しとは、ムール貝の仲間であるキタノムラサキイガイって貝が、白血病に似たがんにかかったそうなんです。

貝にもがんがあるんだなぁってことは置いておいて、このたった一つの細胞の変異から始まったがんは、増殖を繰り返し、貝類の血液にあたる血リンパに乗って体中に広がりました。

いわゆる転移ってことですね。

これはがん細胞の特性でもありますし、特に不思議な事ではありません。

ですが、ここで意外なことが起こりました。

どういうわけか、がんが水を伝って他のキタノムラサキイガイに感染したそうなんです。

新たな宿主の中でさらに増殖を繰り返したがん細胞は、次々と他の貝へ感染していきました。

さらに不思議なことに、がんの広がりはキタノムラサキイガイにとどまらなかったんですね。

フランスなどに生息するヨーロッパイガイと、チリやアルゼンチンに生息するチリイガイの2種でも同じがんが発見されたんだそうです。

この2種の生息域は、互いに地球の反対側と言っていいほど遠く離れているそうですから、にわかには伝染したとは考えにくいんですが、どうも伝染したようだということなんです。

この伝染性のがん、貝にのみ起こることではないようでここ数十年で2種の陸生動物で見つかっています。

1つは、オーストラリアの絶滅危惧種タスマニアデビルにまん延する「デビル顔面腫瘍性疾患」というもので、2006年に、これが伝染性のがんだとわかりました。

お互いの顔を噛むという、彼らにとってごく一般的な行動によって感染するそうで、この疾患と、さらに別のよく似た伝染性がんによって、80%以上の個体が亡くなり、深刻な絶滅の危機に直面したんだそうです。

同じく2006年には、イヌがかかる「可移植性性器腫瘍(CTVT)」が、伝染性のがんだと確認されました。

他の伝染性がんと同じように、この疾患のがん細胞はすべてクローンであり、その起源は1万1000年前に生きていた1頭のイヌだといいますからかなり謎ながんですね。

こうした発見は、がんは一個体内の細胞変異だけが原因だという私たちの考えを大きく変えることとなりました。

ヒトパピローマウイルス(HPV)やネコ白血病ウイルスのように、がんにつながるようなウイルスは知られていましたが、がん細胞そのものが伝染するという事実は衝撃的です。

過去10年の間に、二枚貝においてさらに6種の伝染性がんが発見されていますし、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のキタノムラサキイガイ個体群に広がっているがんもその一つです。

調査の結果、フランスのヨーロッパイガイと南米のチリイガイで見つかったがんは同一のものと判明。

しかも、がん細胞にはキタノムラサキイガイの遺伝的特徴が残っており、起源は明らかにキタノムラサキイガイであるということもわかったんだそうです。

しかし、キタノムラサキイガイは北半球の、主に北米およびヨーロッパの沿岸にしか生息していません。

3種のイガイはどれも赤道付近には生息していないので、がんが熱帯海域を越えて南米に伝わるには、船に付着したりバラスト水に含まれたりして運ばれなければならなかったであろうと推測されます。

たった一つのがん細胞のクローンが、大海を越えて広がったというのはすごいことですが…

この広がりは人間の仕業とも言えるわけですから複雑な感じですね。

ある意味、ここでも生態系を壊してしまってると言えなくもないわけです。

今のところ貝に感染するがんは、かかった個体を高確率で死に至らしめることはあっても、個体群にとってそこまで危機的なものではないようで、ヨーロッパイガイとチリイガイで発見されたがんは、個体群のおよそ10%に広がっているそうです。

とはいえこれらのムール貝を、人間や多くの野生動物が食べます。

貝のがんは、人への害はないようですが、他の動物には深刻な影響を及ぼすかもしれません。

しかも、これらのがんは発見され始めたばかりなので、わかっていないことが多いのも気になりますね。。

ですが、がんが海洋生物にとっての新たな脅威になる可能性は十分あり、気候変動によって海水の酸素濃度が低下し、水温が上昇すると、がん細胞が好む環境となって事態が悪化する恐れもあるとのこと。

故意であれ偶然であれ、貝を移動させることは、がんを別の海域に広げ、大きな影響をもたらす可能性がある、と研究チームは言うてます。

一般的にがんは、体内の細胞が変異することで発生し、がん化した細胞を免疫システムが認識できずに破壊しそこねた場合、腫瘍へと成長します。

ですが大抵は、腫瘍が一つできただけで死に至ることはなく、がんは通常、全身のあちこちに転移することで死をもたらします。

しかし、伝染性がんの場合は「個体を越えてがんが転移する」と考えられるようで、研究者はがん細胞が運ばれる時にどのように生き延びているかを知ることで、転移についてもっと詳しく知ることができるかもしれません。

根底にあるメカニズムを研究することで、がん細胞が免疫を逃れる仕組みについての理解を深められる可能性があると…

この恐ろしい、伝染性のがんの移動こそが、がん転移の謎をとくカギとなるかもしれないわけですな。

にしても、がんが伝染するようになったらそれこそ人類は滅亡しますよね。

このがんが、貝にしか罹らないものであることを祈ります。

ではまた〜。



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京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院


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