2020年03月19日 [からだのこと]
膀胱醸造酒
お疲れ様です。院長です。
3月19日の木曜日でございます。
このブログ、毎日書くもんですからそりゃこの書き出しも、何にも思い浮かばない日もありますよ。
特に昨今の、新型コロナ騒動。
もう、連日この話題ばっかですもん。
そして、これくらい生活に密着してる騒動も少ないですから、会う人会う人とこの話になります。
わたくしなんぞ、日々数十人の患者さんと接しますが、最近の話題はこればかり。
朝から晩まで、新型コロナの情報交換に終始しています(笑)
その中でもやはり、オリンピック大丈夫なんかとか、プロ野球どうなんねんとか、まだ言うてもどこか他人事的な要素が強いです。
ま、そういうわたくし院長もまさか自分が罹るとはこれっぽっちも思ってないんですが、まだまだ収束には遠いようですね。
テレビでもこの話題ばっかですしねぇ…。
ってことで、毎日同じような書き出しで申し訳おまへんが、今日の元気にネタにいきましょう。
今日のネタも医療ネタですが、世界初ともいえる、不思議な身体を持った女性のお話です。
その女性は一切お酒を飲まないそうなんです。
にもかかわらず尿検査ではいつもアルコール陽性反応がでており、アルコール中毒を疑われていたとのことなんですが、実はそうではなかったようで…
この61歳の女性は、世にも奇妙な「膀胱発酵症」だったことが判明したそうなんです。
つまり、膀胱でアルコールを含む尿をつくってしまうっていう珍しい症状なわけです。
これまで、腸内細菌が原因で腸内にイースト菌がたまってしまい、糖やでんぷんをアルコールに変換する「自動醸造症候群」という稀な疾患があることはこのブログでもお伝えしたことがありました。
ですが、膀胱でアルコールが醸造されていたのは初めてのケースといえるでしょう。
61歳のこの女性は、肝硬変と糖尿病を患っており、肝臓移植の待機者リストに登録を希望していました。
しかし、どこの病院に行ってもいつも同じ壁にぶつかっていたそうなんです。
それは、尿検査をすると必ずアルコール陽性反応が出てしまうんだそうです。
これは、薬物中毒と同じ症状のため、医師からアルコール中毒だと判断され、肝臓移植待機者リストへの登録を断られていたわけです。
しかし、この女性は一切お酒を飲んでいないと主張します。
まぁ、強度のアルコール依存症患者に時々ある事の様なんで、医師はアルコール依存の治療を勧めるわけですよ。
簡単に言うと、アルコール依存からの虚言であると医師は判断してしまうわけですね。
ですがこの女性からすると、自分は一切飲んでいないにも関わらず、アル中扱いされるわけですから納得できるはずもありません。
で、この女性は色々な医療機関をはしごし、ついにピッツバーグ大学医療センターで、本当の原因を突き止めたそうなんです。
ここでの尿検査の結果、アルコール分解時に生成されるエチルグルクロニドと硫酸エチルが陰性であることがわかりました。
さらに血液検査でも、エタノールは検出されませんでした。
これはつまり、血中にアルコールはない事を示し、当然ながら本人も酔ってもいないわけです。
それならば、尿中のアルコールはどこからきたのかってことになりますわな。
そしてよくよく調べた結果、この女性の膀胱内には、アルコールを醸造するときに使われる酵母カンジダ・グラブラータという菌がいることがわかったそうなんです。
つまり、この女性の膀胱は、アルコールを発酵させる微生物がいる醸造所のような働きをしていたということなんです。
女性の膀胱からこの酵母菌のサンプルを採って培養してみると、ちゃんとアルコールができたそうですから、まさしく「天然醸造」やん(笑)
ですが、アルコールを醸造するには、いくつかの要素が必要です。
それは、水、糖、酵母、無酸素状態ってのがその条件です。
ですがこの女性は糖尿病だったこともあって、そこにこの酵母が加わることで、たまたま膀胱内がこの条件に合うアルコール生成に理想的な環境になってしまっていたという事の様なんですねぇ…
このように、膀胱でアルコールが醸造されたのは世界初のケースで、この条件を生み出した最大の理由は、患者が糖尿病の治療を怠っていたことだと考えられそうです。
つまり、ブドウ糖の濃度が高い膀胱の環境が、酵母の増殖と活動にとって絶好の条件となったようなんです。
さらに、糖尿病はそれ自体が免疫不全の原因になることがありますから、今回のケースでは、それも酵母菌が膀胱で活発に繁殖する助けになったと考えられるそうなんです。
ま、糖尿ですから糖は豊富にありますし、免疫力が落ちてるから酵母菌の繁殖を抑えられなかったってのも、話の筋は通りますよねぇ…。
先ほども書いた通り、胃など消化器官では、腸内細菌の働きで、酵母や糖が結合して、アルコールができてしまう自発的発酵の症状がみられることは稀にあります。
「自動醸造症候群」と呼ばれるもので、この場合は、場所が胃などの消化器官のため、糖を食べただけで、酔っぱらったようになってしまうことがあるようですが、この女性のケースのように膀胱でのアルコール醸造は世界初ともいえるそうです。
ですから、まだ正式な名称はないそうなんですが、「膀胱発酵症」とか、「尿の自発的醸造症」と呼ばれているんだとか。
とりあえずこの酵母菌を取り除くために、女性は経口抗真菌薬を処方されたそうで、酵母菌さえなくなれば症状は治まるでしょう。
なかなか面白い症状ですよねぇ〜。
消化器官での醸造の場合、血中にもアルコールが流れますし、当然呼気からも反応が出るのでいわゆる飲酒検問なんかでも発覚してしまいます。
ですが、この女性の場合、膀胱内ですから、尿にしか反応が出ません。
ので、女性は酔ってもないですし、血中にもアルコールは流れませんし、当然飲酒検問も突破できます(笑)
まぁ、さすがに尿内から出たアルコールですから、飲んでみたいとは思いませんが、そのお酒がどんな味なんだろうと興味はありますねぇ。
昨日も偶然、糖尿病のお話を書きましたが、今日も結局は糖尿故の神秘的なアクシデントでした。
ってことで、まずは自己管理ですな。
糖尿病は、生活習慣を改善することでかなり治癒率が上がりますし、手遅れになる前に生活を改めましょうね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
3月19日の木曜日でございます。
このブログ、毎日書くもんですからそりゃこの書き出しも、何にも思い浮かばない日もありますよ。
特に昨今の、新型コロナ騒動。
もう、連日この話題ばっかですもん。
そして、これくらい生活に密着してる騒動も少ないですから、会う人会う人とこの話になります。
わたくしなんぞ、日々数十人の患者さんと接しますが、最近の話題はこればかり。
朝から晩まで、新型コロナの情報交換に終始しています(笑)
その中でもやはり、オリンピック大丈夫なんかとか、プロ野球どうなんねんとか、まだ言うてもどこか他人事的な要素が強いです。
ま、そういうわたくし院長もまさか自分が罹るとはこれっぽっちも思ってないんですが、まだまだ収束には遠いようですね。
テレビでもこの話題ばっかですしねぇ…。
ってことで、毎日同じような書き出しで申し訳おまへんが、今日の元気にネタにいきましょう。
今日のネタも医療ネタですが、世界初ともいえる、不思議な身体を持った女性のお話です。
その女性は一切お酒を飲まないそうなんです。
にもかかわらず尿検査ではいつもアルコール陽性反応がでており、アルコール中毒を疑われていたとのことなんですが、実はそうではなかったようで…
この61歳の女性は、世にも奇妙な「膀胱発酵症」だったことが判明したそうなんです。
つまり、膀胱でアルコールを含む尿をつくってしまうっていう珍しい症状なわけです。
これまで、腸内細菌が原因で腸内にイースト菌がたまってしまい、糖やでんぷんをアルコールに変換する「自動醸造症候群」という稀な疾患があることはこのブログでもお伝えしたことがありました。
ですが、膀胱でアルコールが醸造されていたのは初めてのケースといえるでしょう。
61歳のこの女性は、肝硬変と糖尿病を患っており、肝臓移植の待機者リストに登録を希望していました。
しかし、どこの病院に行ってもいつも同じ壁にぶつかっていたそうなんです。
それは、尿検査をすると必ずアルコール陽性反応が出てしまうんだそうです。
これは、薬物中毒と同じ症状のため、医師からアルコール中毒だと判断され、肝臓移植待機者リストへの登録を断られていたわけです。
しかし、この女性は一切お酒を飲んでいないと主張します。
まぁ、強度のアルコール依存症患者に時々ある事の様なんで、医師はアルコール依存の治療を勧めるわけですよ。
簡単に言うと、アルコール依存からの虚言であると医師は判断してしまうわけですね。
ですがこの女性からすると、自分は一切飲んでいないにも関わらず、アル中扱いされるわけですから納得できるはずもありません。
で、この女性は色々な医療機関をはしごし、ついにピッツバーグ大学医療センターで、本当の原因を突き止めたそうなんです。
ここでの尿検査の結果、アルコール分解時に生成されるエチルグルクロニドと硫酸エチルが陰性であることがわかりました。
さらに血液検査でも、エタノールは検出されませんでした。
これはつまり、血中にアルコールはない事を示し、当然ながら本人も酔ってもいないわけです。
それならば、尿中のアルコールはどこからきたのかってことになりますわな。
そしてよくよく調べた結果、この女性の膀胱内には、アルコールを醸造するときに使われる酵母カンジダ・グラブラータという菌がいることがわかったそうなんです。
つまり、この女性の膀胱は、アルコールを発酵させる微生物がいる醸造所のような働きをしていたということなんです。
女性の膀胱からこの酵母菌のサンプルを採って培養してみると、ちゃんとアルコールができたそうですから、まさしく「天然醸造」やん(笑)
ですが、アルコールを醸造するには、いくつかの要素が必要です。
それは、水、糖、酵母、無酸素状態ってのがその条件です。
ですがこの女性は糖尿病だったこともあって、そこにこの酵母が加わることで、たまたま膀胱内がこの条件に合うアルコール生成に理想的な環境になってしまっていたという事の様なんですねぇ…
このように、膀胱でアルコールが醸造されたのは世界初のケースで、この条件を生み出した最大の理由は、患者が糖尿病の治療を怠っていたことだと考えられそうです。
つまり、ブドウ糖の濃度が高い膀胱の環境が、酵母の増殖と活動にとって絶好の条件となったようなんです。
さらに、糖尿病はそれ自体が免疫不全の原因になることがありますから、今回のケースでは、それも酵母菌が膀胱で活発に繁殖する助けになったと考えられるそうなんです。
ま、糖尿ですから糖は豊富にありますし、免疫力が落ちてるから酵母菌の繁殖を抑えられなかったってのも、話の筋は通りますよねぇ…。
先ほども書いた通り、胃など消化器官では、腸内細菌の働きで、酵母や糖が結合して、アルコールができてしまう自発的発酵の症状がみられることは稀にあります。
「自動醸造症候群」と呼ばれるもので、この場合は、場所が胃などの消化器官のため、糖を食べただけで、酔っぱらったようになってしまうことがあるようですが、この女性のケースのように膀胱でのアルコール醸造は世界初ともいえるそうです。
ですから、まだ正式な名称はないそうなんですが、「膀胱発酵症」とか、「尿の自発的醸造症」と呼ばれているんだとか。
とりあえずこの酵母菌を取り除くために、女性は経口抗真菌薬を処方されたそうで、酵母菌さえなくなれば症状は治まるでしょう。
なかなか面白い症状ですよねぇ〜。
消化器官での醸造の場合、血中にもアルコールが流れますし、当然呼気からも反応が出るのでいわゆる飲酒検問なんかでも発覚してしまいます。
ですが、この女性の場合、膀胱内ですから、尿にしか反応が出ません。
ので、女性は酔ってもないですし、血中にもアルコールは流れませんし、当然飲酒検問も突破できます(笑)
まぁ、さすがに尿内から出たアルコールですから、飲んでみたいとは思いませんが、そのお酒がどんな味なんだろうと興味はありますねぇ。
昨日も偶然、糖尿病のお話を書きましたが、今日も結局は糖尿故の神秘的なアクシデントでした。
ってことで、まずは自己管理ですな。
糖尿病は、生活習慣を改善することでかなり治癒率が上がりますし、手遅れになる前に生活を改めましょうね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院