2025年01月20日 [動物のこと]
茶トラ三毛猫
お疲れ様です。院長です。
1月20日の月曜日でございます。
本日は「大寒」でございます。
寒いですよねぇ…。
では元気にネタいきましょう。
茶トラ猫のオレンジ色の毛並み、三毛猫の毛並み、サビ猫の風合い、独特のものがあります。
ですが、その色が60年以上科学者を悩ませてきたと言ったら驚くでしょうか?
彼らの毛皮を彩るオレンジ風の茶色はどのように作られるのか、これはネコ遺伝学における長年の謎だったそうなんです。
その色を作り出していると思われる遺伝子が見つからなかったんです。
ですがこのほど、日本と米国の研究チームがそれぞれ独自にその答えに辿り着いたそうなんです。
それによると、茶トラの猫には、とある重要な遺伝子のそばに欠損が見られるそうなんです。
それは毛色だけでなく性別にも関係しているらしいです。
三毛猫やサビ猫は、猫好きだけでなく、科学者たちをも魅了してきました。
このタイプの猫は黒猫と茶色(オレンジ)猫から生まれてきます。
ですが、そんな子が生まれてきたら性別は一目でわかります。
ほとんどがメスなんですね。
それはいったいなぜなんでしょう?
その秘密は、毛を茶色や黒色にする遺伝子変異が「X染色体」にあることと関係します。
オスはX染色体を両親の片方からしか受け継ぎません。
ですから性染色体はXYで、X染色体にある毛色の遺伝子を1つしか持たないわけです。
ゆえに黒猫と茶色猫の両親から生まれるオスは単色になります。
一方、メスは両親それぞれからX染色体を受け継ぎます。
性染色体はXXで、毛色の遺伝子を2つ持つわけです。
ですが、その両方が働く必要はないので、細胞はどちらかの染色体をランダムに選び、そのスイッチを切ってしまいます。
これを「X染色体不活性化」というそうです。
その結果、生まれてくる子猫の毛色は、皮膚の各部分でどちらの染色体が選ばれたかによって変わるわけです。
ですから、黒と茶色が混ざったサビ猫になり、そこに白が混ざる三毛猫の場合、このプロセスにまた別の遺伝子が関与しているわけです。
人間をはじめ、ほとんどの哺乳類において、赤毛は「Mc1r」という細胞の表面にあるタンパク質の変異に起因しています。
このタンパク質の働き次第で、色素を作る「色素細胞(メラノサイト)」が暗い色素を作るか、それとも明るい赤黄色の色素を作るか決まります。
もし遺伝子の変異によってMc1rタンパク質の働きが弱まれば、色素細胞は明るい色素ばかり作り赤毛になります。
ところが、このMc1rタンパク質で猫の茶色を説明することができないんです。
なぜなら、このタンパク質の情報を持つ遺伝子がX染色体にないうえに、ほとんどの茶トラ猫にMc1rタンパク質の変異が見当たらないからです。
では猫の茶色はどこから来たのでしょう?
これが猫の遺伝学における長年の謎でした。
ですがこの謎もこのほどついに解決されました。
しかも2つの研究チームが独自にほぼ同じ答えに辿り着いています。
1つは、スタンフォード大学の遺伝学者グレッグ・バーシュ氏らでした。
彼らは茶色とそれ以外の色の猫の胎児から皮膚のサンプルを集め、色素細胞が作り出すRNAの量を測定。
この量をもとに、個々の皮膚細胞でどの遺伝子のスイッチが入っているのか確かめてみました。
その結果、茶トラ猫では「Arhgap36遺伝子」が13倍ものRNAを作っていることがわかったそうです。
この遺伝子はX染色体にあります。
それゆえに、この遺伝子こそ茶色の素であると考えられました。
意外なことに、茶トラ猫のArhgap36遺伝子の配列を調べてみても、特に変わったところは見当たりませんでした。
ですがその代わり、その近くのDNAの一部が欠けていたそうなんです。
どうもこの欠損は、Arhgap36遺伝子から作られるタンパク質のアミノ酸には影響しませんが、細胞がどれだけそれを作るのか左右しているようなんです。
この発見を確認するために、バーシュ氏らが猫ゲノムのデータベースを参照したところ、茶トラ・三毛・サビいずれの猫にもまったく同じ欠損が見つかったそうです。
もう1つの研究は、九州大学の遺伝学者、佐々木裕之氏らによるものでした。
こちらの研究は、日本で集められた野良・ペットの猫24匹ならびに世界で集めれらた猫258匹のゲノムを調べたもので、先ほどと同じ遺伝子の欠失が確認されています。
さらに三毛猫の茶色の部分にArhgap36 RNAがたくさん存在すること、Arhgap36遺伝子がX染色体不活性化されること、色素細胞内のArhgap36を増やすとMC1rタンパク質に関わらず赤色色素を作るための分子経路が活性化することなどが明らかなっています。
こうしたことはいずれも、Arhgap36遺伝子のそばにあったDNAの欠損が猫のオレンジ風の茶色を作り出していることを示しています。
ちなみにArhgap36遺伝子は、胚が発生するうえで重要な役割を果たしています。
そのため、ここに大きな変異が発生すれば、全身の機能に影響し、おそらくその動物は生きられないと考えられるそうです。
ところがどんな奇跡が起きたのか、猫に生じた欠損は、色素細胞内にあるArhgap36遺伝子だけにしか影響しません。
おかげでこの変異がある猫は、健康でいられるようなんです。
これも遺伝子の不思議ですね。
三毛猫のオスが見つかったら高値で売れるとか、都市伝説的に聞いたことありましたが、こういうことだったのね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
1月20日の月曜日でございます。
本日は「大寒」でございます。
寒いですよねぇ…。
では元気にネタいきましょう。
茶トラ猫のオレンジ色の毛並み、三毛猫の毛並み、サビ猫の風合い、独特のものがあります。
ですが、その色が60年以上科学者を悩ませてきたと言ったら驚くでしょうか?
彼らの毛皮を彩るオレンジ風の茶色はどのように作られるのか、これはネコ遺伝学における長年の謎だったそうなんです。
その色を作り出していると思われる遺伝子が見つからなかったんです。
ですがこのほど、日本と米国の研究チームがそれぞれ独自にその答えに辿り着いたそうなんです。
それによると、茶トラの猫には、とある重要な遺伝子のそばに欠損が見られるそうなんです。
それは毛色だけでなく性別にも関係しているらしいです。
三毛猫やサビ猫は、猫好きだけでなく、科学者たちをも魅了してきました。
このタイプの猫は黒猫と茶色(オレンジ)猫から生まれてきます。
ですが、そんな子が生まれてきたら性別は一目でわかります。
ほとんどがメスなんですね。
それはいったいなぜなんでしょう?
その秘密は、毛を茶色や黒色にする遺伝子変異が「X染色体」にあることと関係します。
オスはX染色体を両親の片方からしか受け継ぎません。
ですから性染色体はXYで、X染色体にある毛色の遺伝子を1つしか持たないわけです。
ゆえに黒猫と茶色猫の両親から生まれるオスは単色になります。
一方、メスは両親それぞれからX染色体を受け継ぎます。
性染色体はXXで、毛色の遺伝子を2つ持つわけです。
ですが、その両方が働く必要はないので、細胞はどちらかの染色体をランダムに選び、そのスイッチを切ってしまいます。
これを「X染色体不活性化」というそうです。
その結果、生まれてくる子猫の毛色は、皮膚の各部分でどちらの染色体が選ばれたかによって変わるわけです。
ですから、黒と茶色が混ざったサビ猫になり、そこに白が混ざる三毛猫の場合、このプロセスにまた別の遺伝子が関与しているわけです。
人間をはじめ、ほとんどの哺乳類において、赤毛は「Mc1r」という細胞の表面にあるタンパク質の変異に起因しています。
このタンパク質の働き次第で、色素を作る「色素細胞(メラノサイト)」が暗い色素を作るか、それとも明るい赤黄色の色素を作るか決まります。
もし遺伝子の変異によってMc1rタンパク質の働きが弱まれば、色素細胞は明るい色素ばかり作り赤毛になります。
ところが、このMc1rタンパク質で猫の茶色を説明することができないんです。
なぜなら、このタンパク質の情報を持つ遺伝子がX染色体にないうえに、ほとんどの茶トラ猫にMc1rタンパク質の変異が見当たらないからです。
では猫の茶色はどこから来たのでしょう?
これが猫の遺伝学における長年の謎でした。
ですがこの謎もこのほどついに解決されました。
しかも2つの研究チームが独自にほぼ同じ答えに辿り着いています。
1つは、スタンフォード大学の遺伝学者グレッグ・バーシュ氏らでした。
彼らは茶色とそれ以外の色の猫の胎児から皮膚のサンプルを集め、色素細胞が作り出すRNAの量を測定。
この量をもとに、個々の皮膚細胞でどの遺伝子のスイッチが入っているのか確かめてみました。
その結果、茶トラ猫では「Arhgap36遺伝子」が13倍ものRNAを作っていることがわかったそうです。
この遺伝子はX染色体にあります。
それゆえに、この遺伝子こそ茶色の素であると考えられました。
意外なことに、茶トラ猫のArhgap36遺伝子の配列を調べてみても、特に変わったところは見当たりませんでした。
ですがその代わり、その近くのDNAの一部が欠けていたそうなんです。
どうもこの欠損は、Arhgap36遺伝子から作られるタンパク質のアミノ酸には影響しませんが、細胞がどれだけそれを作るのか左右しているようなんです。
この発見を確認するために、バーシュ氏らが猫ゲノムのデータベースを参照したところ、茶トラ・三毛・サビいずれの猫にもまったく同じ欠損が見つかったそうです。
もう1つの研究は、九州大学の遺伝学者、佐々木裕之氏らによるものでした。
こちらの研究は、日本で集められた野良・ペットの猫24匹ならびに世界で集めれらた猫258匹のゲノムを調べたもので、先ほどと同じ遺伝子の欠失が確認されています。
さらに三毛猫の茶色の部分にArhgap36 RNAがたくさん存在すること、Arhgap36遺伝子がX染色体不活性化されること、色素細胞内のArhgap36を増やすとMC1rタンパク質に関わらず赤色色素を作るための分子経路が活性化することなどが明らかなっています。
こうしたことはいずれも、Arhgap36遺伝子のそばにあったDNAの欠損が猫のオレンジ風の茶色を作り出していることを示しています。
ちなみにArhgap36遺伝子は、胚が発生するうえで重要な役割を果たしています。
そのため、ここに大きな変異が発生すれば、全身の機能に影響し、おそらくその動物は生きられないと考えられるそうです。
ところがどんな奇跡が起きたのか、猫に生じた欠損は、色素細胞内にあるArhgap36遺伝子だけにしか影響しません。
おかげでこの変異がある猫は、健康でいられるようなんです。
これも遺伝子の不思議ですね。
三毛猫のオスが見つかったら高値で売れるとか、都市伝説的に聞いたことありましたが、こういうことだったのね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院