2020年10月04日 [からだのこと]
(188)サンデーイルネス(仮)薬剤性肺炎について
お疲れ様です。院長です。
10月4日のサンデーイルネスでございます。
10月最初のイルネス辞典って事ですが、まぁいつもと変わりなく(笑)
ですが、この連載は週1ですので、今年も日曜日は後12回ってことになります。
そう考えると、あっと言う間ですなぁ…。
まだまだと思ってると、アッちゅう間に年末がきますんで、心構えだけはキッチリしとかないとね。
そんな秋本番、今日も元気にいってみましょう
今日のイルネス辞典は「薬剤性肺炎」について解説していきたいと思います。
まずは、どんな病気かという事ですが、薬剤性肺炎は大きく分けて、抗がん薬などで発症する細胞傷害性のものと免疫学的機序(アレルギー)で発症する場合のものがあります。2003年現在に市販されている176品目の抗菌薬の添付文書を調べると、薬剤性肺炎に関連すると思われる薬剤肺傷害の記載が85品目(48%)に、また抗腫瘍薬では約54%にあります。
免疫学的機序(きじょ)による薬剤性肺炎は、抗原抗体反応による過敏性(かびんせい)肺炎の様相が強いものです。
しかし、最近では直接免疫反応に作用するもの、アミオダロンのような脂質の代謝に影響する薬剤や、インターフェロン、サイトカイン療法、さらに、分子標的治療薬であるゲフィチニブによる薬剤性肺障害なども報告されているそうです。
薬剤性肺炎はひとつの薬剤だけで起こるわけではなく、時には複数の薬剤の相互作用によって発症しやすくなることがわかってきました。
ですが現在、確実な診断法はないので、臨床経過、身体所見、画像、検査データなどから総合して診断することになります。
補助診断として薬剤リンパ球刺激テスト(DLST)が行われることがあります。
DLSTは生体外で、原因薬剤と本症を発症した患者さんのリンパ球とを反応させ、その度合いをみる検査で、本症の診断法のひとつです。
しかし、絶対的なものではなく、薬剤性肺炎でなくても陽性になったり、逆に、薬剤性肺炎でも陰性になることもあります。
胸部X線像では末梢性優位(肺の末梢に、より強く陰影がみられる)で、移動・出没する陰影がみられることがありますが、絶対的なものではなく、疑いをもつ指標と考えます。
末梢血好酸球(こうさんきゅう)の増加などを伴うこともあります。また、間質性肺炎のマーカーであるKL‐6が高値になることがあるので、補助診断になります。
鑑別診断にあたっては、本症は臨床診断として抗菌薬無効の感染性肺炎として認識される場合も多く、感染症の否定は本症を診断するうえで最も重要なポイントのひとつです。
とくに、頻度が高い細菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、さらにウイルス肺炎、真菌性肺炎などの日和見(ひよりみ)感染症(何らかの原因により体に免疫の低下が起こり、通常では病原性をもたないような弱毒微生物による感染症をいう)が区別すべき疾患として重要です。
また、肺線維症(はいせんいしょう)、放射線肺炎(ほうしゃせんはいえん)も区別すべき疾患にあがります。
そのほか、急性呼吸窮迫(きゅうはく)症候群(ARDS)や間質性肺炎と表現されているもののなかに、薬剤性肺炎が含まれていることもあります。
これらの感染症の診断には血清抗体価検査、培養検査、抗原検索を行います。血清抗体価の推移で診断する場合は、ある程度以上の抗体価の上昇があり、急性期と回復期(ペア血清)で抗体価が4倍以上高値になると陽性と判断します。しかし、発症早期では抗体が上昇していないことが多いため、治療を行う場合の判断材料としては使えないことが多く、本疾患の診断を難しくしています。
早期に診断できる検査がいくつか開発されています。
たとえば、マイコプラズマ肺炎の診断、インフルエンザウイルスの診断、アデノウイルスの診断、RSウイルスの診断、サイトメガロウイルス性肺炎の診断、真菌感染症の診断などです。
基本的には、まず原因と考えられる薬剤を中止します。
しかし、必要性があり投与されている薬剤を、薬剤性肺炎が疑われるというだけで中止できるかどうかが非常に判断が難しいです。
原因薬剤が特定できれば、中止しなければなりません。
治療としては、多くはステロイド薬(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)の投与を行います。
また、免疫抑制薬が投与されることもあります。
そのほか、呼吸不全に対する治療、補液などを使う基本的な治療も併行して行われます。
アレルギー機序の薬剤性肺炎は、比較的予後がよいとされています。
抗がん薬などで発症する細胞傷害性のものでは、治療しているにもかかわらず進行することが決して少なくありません。
健康食品や漢方薬でも発症することがあるので、服薬しているものをすべて主治医に報告しておきます。
服薬したあとに症状が増悪する場合や、疑われる症状がある場合は必ず伝えてください。
今までに薬剤アレルギーがあった場合には、患者さんと医師がともにその薬剤の名称と系統を知っておく必要があります。
薬剤を服用する場合には、主治医に過去の薬剤アレルギーについて報告してください。
基本的に、必要な薬剤を投与しているわけですから、その疾患と肺炎をダブルで考えないといけないので、慎重な治療計画が必要となります。
いかがでしたか。
では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
10月4日のサンデーイルネスでございます。
10月最初のイルネス辞典って事ですが、まぁいつもと変わりなく(笑)
ですが、この連載は週1ですので、今年も日曜日は後12回ってことになります。
そう考えると、あっと言う間ですなぁ…。
まだまだと思ってると、アッちゅう間に年末がきますんで、心構えだけはキッチリしとかないとね。
そんな秋本番、今日も元気にいってみましょう
今日のイルネス辞典は「薬剤性肺炎」について解説していきたいと思います。
まずは、どんな病気かという事ですが、薬剤性肺炎は大きく分けて、抗がん薬などで発症する細胞傷害性のものと免疫学的機序(アレルギー)で発症する場合のものがあります。2003年現在に市販されている176品目の抗菌薬の添付文書を調べると、薬剤性肺炎に関連すると思われる薬剤肺傷害の記載が85品目(48%)に、また抗腫瘍薬では約54%にあります。
免疫学的機序(きじょ)による薬剤性肺炎は、抗原抗体反応による過敏性(かびんせい)肺炎の様相が強いものです。
しかし、最近では直接免疫反応に作用するもの、アミオダロンのような脂質の代謝に影響する薬剤や、インターフェロン、サイトカイン療法、さらに、分子標的治療薬であるゲフィチニブによる薬剤性肺障害なども報告されているそうです。
薬剤性肺炎はひとつの薬剤だけで起こるわけではなく、時には複数の薬剤の相互作用によって発症しやすくなることがわかってきました。
ですが現在、確実な診断法はないので、臨床経過、身体所見、画像、検査データなどから総合して診断することになります。
補助診断として薬剤リンパ球刺激テスト(DLST)が行われることがあります。
DLSTは生体外で、原因薬剤と本症を発症した患者さんのリンパ球とを反応させ、その度合いをみる検査で、本症の診断法のひとつです。
しかし、絶対的なものではなく、薬剤性肺炎でなくても陽性になったり、逆に、薬剤性肺炎でも陰性になることもあります。
胸部X線像では末梢性優位(肺の末梢に、より強く陰影がみられる)で、移動・出没する陰影がみられることがありますが、絶対的なものではなく、疑いをもつ指標と考えます。
末梢血好酸球(こうさんきゅう)の増加などを伴うこともあります。また、間質性肺炎のマーカーであるKL‐6が高値になることがあるので、補助診断になります。
鑑別診断にあたっては、本症は臨床診断として抗菌薬無効の感染性肺炎として認識される場合も多く、感染症の否定は本症を診断するうえで最も重要なポイントのひとつです。
とくに、頻度が高い細菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、さらにウイルス肺炎、真菌性肺炎などの日和見(ひよりみ)感染症(何らかの原因により体に免疫の低下が起こり、通常では病原性をもたないような弱毒微生物による感染症をいう)が区別すべき疾患として重要です。
また、肺線維症(はいせんいしょう)、放射線肺炎(ほうしゃせんはいえん)も区別すべき疾患にあがります。
そのほか、急性呼吸窮迫(きゅうはく)症候群(ARDS)や間質性肺炎と表現されているもののなかに、薬剤性肺炎が含まれていることもあります。
これらの感染症の診断には血清抗体価検査、培養検査、抗原検索を行います。血清抗体価の推移で診断する場合は、ある程度以上の抗体価の上昇があり、急性期と回復期(ペア血清)で抗体価が4倍以上高値になると陽性と判断します。しかし、発症早期では抗体が上昇していないことが多いため、治療を行う場合の判断材料としては使えないことが多く、本疾患の診断を難しくしています。
早期に診断できる検査がいくつか開発されています。
たとえば、マイコプラズマ肺炎の診断、インフルエンザウイルスの診断、アデノウイルスの診断、RSウイルスの診断、サイトメガロウイルス性肺炎の診断、真菌感染症の診断などです。
基本的には、まず原因と考えられる薬剤を中止します。
しかし、必要性があり投与されている薬剤を、薬剤性肺炎が疑われるというだけで中止できるかどうかが非常に判断が難しいです。
原因薬剤が特定できれば、中止しなければなりません。
治療としては、多くはステロイド薬(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)の投与を行います。
また、免疫抑制薬が投与されることもあります。
そのほか、呼吸不全に対する治療、補液などを使う基本的な治療も併行して行われます。
アレルギー機序の薬剤性肺炎は、比較的予後がよいとされています。
抗がん薬などで発症する細胞傷害性のものでは、治療しているにもかかわらず進行することが決して少なくありません。
健康食品や漢方薬でも発症することがあるので、服薬しているものをすべて主治医に報告しておきます。
服薬したあとに症状が増悪する場合や、疑われる症状がある場合は必ず伝えてください。
今までに薬剤アレルギーがあった場合には、患者さんと医師がともにその薬剤の名称と系統を知っておく必要があります。
薬剤を服用する場合には、主治医に過去の薬剤アレルギーについて報告してください。
基本的に、必要な薬剤を投与しているわけですから、その疾患と肺炎をダブルで考えないといけないので、慎重な治療計画が必要となります。
いかがでしたか。
では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院