(64)サンデーイルネス(仮)大動脈瘤について
2018年05月20日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
5月20日のサンデーイルネスでございます。
5月も残り1/3となりましたよ。
とともに梅雨もやってきますしねぇ…。
梅雨に入っちゃったら、もう早いとこ梅雨明けするのを待つわけですが、梅雨が明けたら夏ですもんね。
もう、あっちゅうまにやってきます。
これから梅雨〜夏は体調的にも、なかなかしんどい時期なんで、お身体には気をつけて下さいよ。
てことで、今日のイルネス辞典に突入ですが、今日は「大動脈瘤」について解説していきます。
大動脈瘤は、胸部大動脈あるいは腹部大動脈の径が拡大し、瘤(こぶ)状になってきたものです。
多くの大動脈瘤は、徐々に径の拡大が進行するために、初めはほとんど症状がありません。
とくに、胸部大動脈は胸のなかにあるため胸部大動脈瘤の自覚症状は乏しく、胸部X線写真で異常な影を指摘されて、初めて気づくことがまれではありません。
腹部大動脈瘤は、へそのあたりにどきどきと拍動するこぶを触れることにより発見されることが多いのですが、痛みを伴うことはまれなため見過ごされることも珍しくありません。
こぶが大きな場合は、おなかを触ると拍動する腫瘤(しゅりゅう)が触れるはずです。
大きな拍動性腫瘤をおなかに触れれば、腹部大動脈瘤の可能性が高いと考えられます。
大動脈瘤が怖いのは、破裂することがあるためです。
大動脈瘤が破裂すると大量に出血するため、破裂した動脈を人工血管に取り替えないかぎり助かりません。
破裂した場合の致死率は、かなり高いですので、破裂する前に動脈瘤の部分を人工血管に取り替えるなど処置を施したいものです。
破裂のしやすさは、大動脈瘤の径の大きさによります。つまり、直径が大きければ大きいほど、破裂しやすいというわけですね。
正常な胸部大動脈の径は2.5pほどなので、径が拡大して正常径の2倍を超えた5〜6pになると破裂の危険性が出てきます。
胸部大動脈瘤の径が6pを超える場合は、破裂防止のために手術治療が考えられます。
一方、腹部大動脈瘤の場合は、正常な腹部大動脈の径が1.5〜2.0pほどなので、その2倍の径4pを超えると破裂の危険性が出てきます。
腹部大動脈瘤の場合は、こぶの径が5pになれば手術が必要です。
てな大動脈瘤ですが、原因は不明です。
ただし、大動脈瘤は高血圧の人や家族に大動脈瘤の人がいるとできやすいといわれ、家族的、遺伝的傾向が認められていますのでこちらは注意が必要ですね。
そして、大動脈には常に血圧のストレスがかかっているため、高血圧の人は動脈の拡大が起こりやすくなります。
これも当たり前の事で、血圧が高い分、血管にかかる負担も大きいわけで、動脈拡大に繋がります。
動脈の径の拡大が認められる人は、定期的な健診が必要ですし、破裂防止のためには、高血圧の治療が重要となってきます。
では、そんな大動脈瘤の症状の現れ方ですが、胸部大動脈瘤の場合は、先ほど述べたように無症状のことが多く、健診で胸部X線検査を行い、初めて指摘されることがあります。
胸部大動脈瘤が大きくなると、周囲を圧迫してさまざまな症状を引き起こすことがあります。
声帯を支配している神経(反回神経)を圧迫すると、左側の声帯のはたらきが悪くなって、しわがれ声(嗄声(させい))が出てきます。
そのため、初めに耳鼻科で診てもらってから心臓血管外科に紹介されてくる人もいます。
気管を圧迫すると呼吸困難になり、食道を圧迫すると食べ物をのみ込むことが困難になります。
こうした症状が出てきた場合は、動脈瘤がかなり大きくなっていると考えられます。
胸部大動脈瘤が破裂した場合は、胸の痛みが出てきて、呼吸困難になります。
胸部X線検査では、血液が胸部大動脈から周囲に出血している写真が得られることが多く、その場合はすぐに手術ができる病院に搬送する必要があります。
腹部大動脈瘤の場合は、前述したようにおなかに拍動性腫瘤を触れることが典型的な症状です。
しかし、動脈瘤が小さかったり、肥満でおなかに脂肪がたまっていたりする場合は、触ってもわからないことがあります。
腹部の超音波検査や、CT検査で初めて発見されることがまれではありません。
腹部大動脈瘤が破裂した場合は、激烈な腹痛や腰痛が出てきます。
腹部大動脈からの出血は、腹部から後方の腰の部分に広がることが多いためです。
出血が一時的に止まって、腹痛や腰痛の症状が初めは軽いことがあります。しかし、その後に大出血して意識不明になることも多く、腹部大動脈瘤の破裂が疑われた場合には、ただちに手術が可能な病院に搬送する必要があります。
というような、一つ間違えば大変な事になる大動脈瘤ですが、治療の方法としましては、大動脈の拡大が軽度であれば手術は行わず、高血圧があれば血圧を上げないように薬による治療を行います。
しかし、動脈瘤を治す薬はありません。
大動脈瘤が大きくなれば手術が必要になります。大動脈瘤に対する手術の基本は、人工血管による大動脈の置換術(ちかんじゅつ)です。
動脈瘤が大きい場合は、全身麻酔による胸部の開胸術、あるいは腹部の開腹術が必要になります。
最近は、足の付け根からカテーテルという管を大動脈内に挿入して、人工血管を大動脈の内側から固定する方法が実用化されています。
この特殊な人工血管は「ステントグラフト」と呼ばれ、全身麻酔による胸や腹の手術(オープン手術)に代わる方法になっています。
ただし「オープン手術」がよいか、「ステントグラフト治療」がよいかはその人の状態によります。現在のところは「オープン手術」が基本です。
では、胸部大動脈瘤あるいは腹部大動脈瘤があることが疑われた場合、CT検査によって、大動脈の正確な径を把握し、その後の治療方針を決めることになります。
CT検査で大動脈の径の拡大があり、本来の径の2倍を超えるようであれば、破裂の危険性が出てきます。
その際には、心臓血管専門医との慎重な検討が必要です。
というように、症状が悪化すればかなり大掛かりな手術が必要ですし、そうなる前に対処する必要があるわけです。
つまり、キチンと検査して症状を把握しておくことが、大事なわけです。
自分に動脈瘤があると分かっていれば、色々と改善出来ることはありますし、何より瘤を大きくしないことを考えられます。
例え動脈瘤が出来てしまっても、血圧をコントロールし、定期的な検診で注意深く観察していたら、急に破裂する危険はかなり避けられますから…
まずは検診。
これにつきます。
いかがでしたか?
この病気も、知識さえあればうまく向きあえますから、まずは知識をもちましょう。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
5月20日のサンデーイルネスでございます。
5月も残り1/3となりましたよ。
とともに梅雨もやってきますしねぇ…。
梅雨に入っちゃったら、もう早いとこ梅雨明けするのを待つわけですが、梅雨が明けたら夏ですもんね。
もう、あっちゅうまにやってきます。
これから梅雨〜夏は体調的にも、なかなかしんどい時期なんで、お身体には気をつけて下さいよ。
てことで、今日のイルネス辞典に突入ですが、今日は「大動脈瘤」について解説していきます。
大動脈瘤は、胸部大動脈あるいは腹部大動脈の径が拡大し、瘤(こぶ)状になってきたものです。
多くの大動脈瘤は、徐々に径の拡大が進行するために、初めはほとんど症状がありません。
とくに、胸部大動脈は胸のなかにあるため胸部大動脈瘤の自覚症状は乏しく、胸部X線写真で異常な影を指摘されて、初めて気づくことがまれではありません。
腹部大動脈瘤は、へそのあたりにどきどきと拍動するこぶを触れることにより発見されることが多いのですが、痛みを伴うことはまれなため見過ごされることも珍しくありません。
こぶが大きな場合は、おなかを触ると拍動する腫瘤(しゅりゅう)が触れるはずです。
大きな拍動性腫瘤をおなかに触れれば、腹部大動脈瘤の可能性が高いと考えられます。
大動脈瘤が怖いのは、破裂することがあるためです。
大動脈瘤が破裂すると大量に出血するため、破裂した動脈を人工血管に取り替えないかぎり助かりません。
破裂した場合の致死率は、かなり高いですので、破裂する前に動脈瘤の部分を人工血管に取り替えるなど処置を施したいものです。
破裂のしやすさは、大動脈瘤の径の大きさによります。つまり、直径が大きければ大きいほど、破裂しやすいというわけですね。
正常な胸部大動脈の径は2.5pほどなので、径が拡大して正常径の2倍を超えた5〜6pになると破裂の危険性が出てきます。
胸部大動脈瘤の径が6pを超える場合は、破裂防止のために手術治療が考えられます。
一方、腹部大動脈瘤の場合は、正常な腹部大動脈の径が1.5〜2.0pほどなので、その2倍の径4pを超えると破裂の危険性が出てきます。
腹部大動脈瘤の場合は、こぶの径が5pになれば手術が必要です。
てな大動脈瘤ですが、原因は不明です。
ただし、大動脈瘤は高血圧の人や家族に大動脈瘤の人がいるとできやすいといわれ、家族的、遺伝的傾向が認められていますのでこちらは注意が必要ですね。
そして、大動脈には常に血圧のストレスがかかっているため、高血圧の人は動脈の拡大が起こりやすくなります。
これも当たり前の事で、血圧が高い分、血管にかかる負担も大きいわけで、動脈拡大に繋がります。
動脈の径の拡大が認められる人は、定期的な健診が必要ですし、破裂防止のためには、高血圧の治療が重要となってきます。
では、そんな大動脈瘤の症状の現れ方ですが、胸部大動脈瘤の場合は、先ほど述べたように無症状のことが多く、健診で胸部X線検査を行い、初めて指摘されることがあります。
胸部大動脈瘤が大きくなると、周囲を圧迫してさまざまな症状を引き起こすことがあります。
声帯を支配している神経(反回神経)を圧迫すると、左側の声帯のはたらきが悪くなって、しわがれ声(嗄声(させい))が出てきます。
そのため、初めに耳鼻科で診てもらってから心臓血管外科に紹介されてくる人もいます。
気管を圧迫すると呼吸困難になり、食道を圧迫すると食べ物をのみ込むことが困難になります。
こうした症状が出てきた場合は、動脈瘤がかなり大きくなっていると考えられます。
胸部大動脈瘤が破裂した場合は、胸の痛みが出てきて、呼吸困難になります。
胸部X線検査では、血液が胸部大動脈から周囲に出血している写真が得られることが多く、その場合はすぐに手術ができる病院に搬送する必要があります。
腹部大動脈瘤の場合は、前述したようにおなかに拍動性腫瘤を触れることが典型的な症状です。
しかし、動脈瘤が小さかったり、肥満でおなかに脂肪がたまっていたりする場合は、触ってもわからないことがあります。
腹部の超音波検査や、CT検査で初めて発見されることがまれではありません。
腹部大動脈瘤が破裂した場合は、激烈な腹痛や腰痛が出てきます。
腹部大動脈からの出血は、腹部から後方の腰の部分に広がることが多いためです。
出血が一時的に止まって、腹痛や腰痛の症状が初めは軽いことがあります。しかし、その後に大出血して意識不明になることも多く、腹部大動脈瘤の破裂が疑われた場合には、ただちに手術が可能な病院に搬送する必要があります。
というような、一つ間違えば大変な事になる大動脈瘤ですが、治療の方法としましては、大動脈の拡大が軽度であれば手術は行わず、高血圧があれば血圧を上げないように薬による治療を行います。
しかし、動脈瘤を治す薬はありません。
大動脈瘤が大きくなれば手術が必要になります。大動脈瘤に対する手術の基本は、人工血管による大動脈の置換術(ちかんじゅつ)です。
動脈瘤が大きい場合は、全身麻酔による胸部の開胸術、あるいは腹部の開腹術が必要になります。
最近は、足の付け根からカテーテルという管を大動脈内に挿入して、人工血管を大動脈の内側から固定する方法が実用化されています。
この特殊な人工血管は「ステントグラフト」と呼ばれ、全身麻酔による胸や腹の手術(オープン手術)に代わる方法になっています。
ただし「オープン手術」がよいか、「ステントグラフト治療」がよいかはその人の状態によります。現在のところは「オープン手術」が基本です。
では、胸部大動脈瘤あるいは腹部大動脈瘤があることが疑われた場合、CT検査によって、大動脈の正確な径を把握し、その後の治療方針を決めることになります。
CT検査で大動脈の径の拡大があり、本来の径の2倍を超えるようであれば、破裂の危険性が出てきます。
その際には、心臓血管専門医との慎重な検討が必要です。
というように、症状が悪化すればかなり大掛かりな手術が必要ですし、そうなる前に対処する必要があるわけです。
つまり、キチンと検査して症状を把握しておくことが、大事なわけです。
自分に動脈瘤があると分かっていれば、色々と改善出来ることはありますし、何より瘤を大きくしないことを考えられます。
例え動脈瘤が出来てしまっても、血圧をコントロールし、定期的な検診で注意深く観察していたら、急に破裂する危険はかなり避けられますから…
まずは検診。
これにつきます。
いかがでしたか?
この病気も、知識さえあればうまく向きあえますから、まずは知識をもちましょう。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院