(21)サンデーイルネス(仮)アルツハイマーについて
2017年07月23日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
夏真っ盛り、7月23日のサンデーイルネス(仮)です。
毎日々暑いですけど、お元気ですか?
イルネス辞典(仮)も21回目となり、ますますみなさんのお役に立ててるかと存じます(笑)
まぁ、読んで下さってる方から「文言が難しすぎる」とか「専門用語が多すぎる」なんてクレームがチョイチョイ寄せられておりますので、さらに分かりやすく解説していければなぁと思っておりますのことよ。
では、今日は「アルツハイマー」について解説していきたいと思います。
何日か前のブログでも、睡眠障害とアルツハイマーの関連性のお話とかもでてきたことですので、今日はキッチリお勉強いたしましょう。
まず、アルツハイマー病とは、1907年、55歳で亡くなられた女性患者さんに関するアルツハイマー博士の論文にちなんで名づけられました。
それ以後、アルツハイマー病は65歳未満の人に起こる病気とされ、高齢者にみられる認知機能障害とは区別されていました。
しかし30年ほど前から、65歳未満の若年期のものと高齢者に起こるものが脳内の病変に共通点の多いことから、両者をアルツハイマー病とまとめて呼ぶようになりました。
ただ、介護などの面では若年者と高齢者とは対応が異なるため、最近では若年期をわけて「若年性アルツハイマー」と呼びこともあります。
記憶などの認知機能の障害が症状の中心ですが、それ以外にも徘徊などの異常な行動や、物を盗られたという妄想などがみられます。
CTやMRIなどの画像により検査すると、脳の萎縮が認められ、神経伝達物質(アセチルコリン)が減少していることも分かっています。
ですが、この病気の原因は完全には明らかになっていません。
βアミロイド蛋白、タウ蛋白が関係して、神経細胞が障害されるということは分かってきてるようなんですが、最大の原因は老化という時間的な因子ですが、どのように関係するかは不明です。
症状の現れ方としましては、初めに新しいことが覚えられないと訴える人がいちばん多いようです。
そのため今までできていたことが困難になり、自信をなくし、やる気を失い、抑鬱状態に陥ることもあります。
また、肩や腰の痛みを不治の病と思い込むような心気症や、理屈に合わない考えに凝り固まるパラノイアという妄想が出ることもあるようです。
その後、「今日は何月何日か」がわからないなど、時間が認識できない見当識の障害が現れます。
物の名前が出てこない、臭いや味がわからないとか、約束どおりに物事を実行できなくなるので、日常生活を送るうえで困ることが増えてくるわけです。
大体、この辺で家族などが「ボケだした」と言いだすことが多いのですが、アルツハイマーの場合、「認知症」を発症するには少し早い年齢という事もあり、気付かれることも多いようです。
さらに症状が進むと、新しいことだけではなく古いことも忘れてしまいます。
言葉の理解ができず、道具がうまく使えないとか、着衣ができないこと(着衣失行)もでてきます。
また、道順がわからなくなり、家に帰れなくなります(徘徊)。
実は、介護をする人が困るのは先に述べた高次脳機能障害よりも、行動や心理的な異常だといわれています。
暴力や暴言、あるいは大便を壁に塗る(弄便(ろうべん))などの異常な行動がみられるようになるのも特徴のひとつです。
いちばん多いのは「物を盗られた」とか「夫が浮気をしている」など、ありもしない事柄を妄想する心理的な異常です。
感情的にも不適切な反応があり、興奮する、不安になる、無関心で何もしない(無為)、また逆に楽しそうである(多幸)人もみられます。
少しのことで動揺する(易(い)刺激性)、抑制が効かなくなることもあります。
日常生活では電話に出ることや、外出して買物の支払いができなくなったりします。
薬の服用ができなくなり、入浴や食事、排泄も一人では難しく、介護を拒否することもあります。
もうこのへんで、自動車運転が危険になりますので注意が必要です。
夜間の睡眠が十分にとれず、夜中に泥棒が入ったなど、ありもしないことを信じて(妄想)、家族を起こしてまわることもあります。
そして、誰も相手にしないと自分が見捨てられたと思い、それを他人にふれまわったりします。
高度のアルツハイマー病では無為・無動が著しくなり、命令や刺激に対する反応性が悪くなり、寝たきりになることもしばしばあります。
ただ、反応が少ない人でも、感情は豊かに保たれていて、見守る側が驚くこともあるそうです。
以上のように、認知行動(ボケ)とも取れる行動があるのでいくつかの検査を経て診断されます。
さて、こういった難しい症状の病気ですが、治療の方法としては、基本的には薬物療法がメインとなります。
しかし、アルツハイマー病の治療薬として認可され、現在市販されている薬は塩酸ドネペジルという薬のみです。
塩酸ドネペジルはすぐ脳に入りますが、時に消化器の副作用が現れます。吐き気がある、嘔吐する、唾液が出る、脈が遅くなる、汗が出るなどと訴える人もあります。
ですが、薬の効果には限界があるので、ケアなども含めた非薬物療法が行われています。
非薬物療法は薬と違って、ケアする人のやり方によって差が出ますので、また、環境の整備も症状の改善には大切です。
上手なやり方としては
(1)その人らしさを大切にする
(2)楽しく笑顔が出るようにする
(3)本人の能力を発揮させる
(4)安全に行う
(5)慣れ親しんだ生活を継続させる
というような事があげられます。
どのようなケアが効果が上がるか、個人差が激しいのでチェックしながらすすめます。
認知症の人の状態はケアの方法の良否を写す鏡であるといわれ、よいケアをすると笑顔が見られます。効果があると思われる非薬物療法を次に掲げます。
バリデーションセラピー
認知症の人の混乱した行動の裏には必ず理由があると考え、その異常を受け入れ、共感をもって対応します。会話の終わりの言葉を繰返すとコミュニケーションがとりやすくなります。
リアリティーオリエンテーション
時間や場所がわからないで不安に思っている人にそれらを教えると、安心感がもどることがあります。
回想法
昔の話や昔なじんだ作業をすると感情的な安らぎを得て自信がもどり、生き生きするようになります。
音楽療法やアートセラピー
音楽を聴いて楽しむ、楽しく歌うとか、絵や彫刻、粘土細工を楽しむと症状が改善します。
認知刺激
初期の認知症の人にはトランプ、オセロ、計算などの知的な刺激が認知機能を高めます。
運動療法
運動を続けると、認知機能が高まり、認知症の予防にも有用という報告があります。
他にも、マッサージや香りを楽しむアロマセラピーもよく行われています。
これらの治療法を決して無理強いすることなく、失敗しても叱らないことが大切です。間違いを指摘したり、叱ったりすると症状が悪くなります。
物忘れは高齢者で誰にもみられますが、それにより本人や周囲の人に迷惑がかかるようですと認知症の恐れがあります。
しかし、意識障害などの可能性もありますので、医師に相談して正確に診断してもらうことが大事です。
アルツハイマー病ならば非薬物療法により、まず改善をはかるのが良いと言われています。
公的支援を利用して、介護保険やデイサービスなども利用するのも良いと思われます。
というように、薬物療法も100%の効果が期待できるわけではありません。
介護を含めたケアにより、少しでも症状を和らげることができれば、薬物療法との相乗効果が期待できますが、ケアがうまくいかない場合は、薬物療法も副作用のみが目立ってしまう場合もおおいようです。
まず、この病気は確実な原因と、発症へのプロセスが分かっていません。
それだけに、治療法も確実でないと言わざるをえないでしょう。
ここ何週か特集していた「こころの病」全般にいえることですが、周りのケアひとつでかなり治療成績ががわってきます。
そこを踏まえて、患者さんと接することが大事になるでしょう。
いかがでしたか?
この病気も、まだまだ謎な部分が多いですし、これからさらに治療法等も開発されることを期待しましょう。
では、来週のサンデーイルネス(仮)をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
夏真っ盛り、7月23日のサンデーイルネス(仮)です。
毎日々暑いですけど、お元気ですか?
イルネス辞典(仮)も21回目となり、ますますみなさんのお役に立ててるかと存じます(笑)
まぁ、読んで下さってる方から「文言が難しすぎる」とか「専門用語が多すぎる」なんてクレームがチョイチョイ寄せられておりますので、さらに分かりやすく解説していければなぁと思っておりますのことよ。
では、今日は「アルツハイマー」について解説していきたいと思います。
何日か前のブログでも、睡眠障害とアルツハイマーの関連性のお話とかもでてきたことですので、今日はキッチリお勉強いたしましょう。
まず、アルツハイマー病とは、1907年、55歳で亡くなられた女性患者さんに関するアルツハイマー博士の論文にちなんで名づけられました。
それ以後、アルツハイマー病は65歳未満の人に起こる病気とされ、高齢者にみられる認知機能障害とは区別されていました。
しかし30年ほど前から、65歳未満の若年期のものと高齢者に起こるものが脳内の病変に共通点の多いことから、両者をアルツハイマー病とまとめて呼ぶようになりました。
ただ、介護などの面では若年者と高齢者とは対応が異なるため、最近では若年期をわけて「若年性アルツハイマー」と呼びこともあります。
記憶などの認知機能の障害が症状の中心ですが、それ以外にも徘徊などの異常な行動や、物を盗られたという妄想などがみられます。
CTやMRIなどの画像により検査すると、脳の萎縮が認められ、神経伝達物質(アセチルコリン)が減少していることも分かっています。
ですが、この病気の原因は完全には明らかになっていません。
βアミロイド蛋白、タウ蛋白が関係して、神経細胞が障害されるということは分かってきてるようなんですが、最大の原因は老化という時間的な因子ですが、どのように関係するかは不明です。
症状の現れ方としましては、初めに新しいことが覚えられないと訴える人がいちばん多いようです。
そのため今までできていたことが困難になり、自信をなくし、やる気を失い、抑鬱状態に陥ることもあります。
また、肩や腰の痛みを不治の病と思い込むような心気症や、理屈に合わない考えに凝り固まるパラノイアという妄想が出ることもあるようです。
その後、「今日は何月何日か」がわからないなど、時間が認識できない見当識の障害が現れます。
物の名前が出てこない、臭いや味がわからないとか、約束どおりに物事を実行できなくなるので、日常生活を送るうえで困ることが増えてくるわけです。
大体、この辺で家族などが「ボケだした」と言いだすことが多いのですが、アルツハイマーの場合、「認知症」を発症するには少し早い年齢という事もあり、気付かれることも多いようです。
さらに症状が進むと、新しいことだけではなく古いことも忘れてしまいます。
言葉の理解ができず、道具がうまく使えないとか、着衣ができないこと(着衣失行)もでてきます。
また、道順がわからなくなり、家に帰れなくなります(徘徊)。
実は、介護をする人が困るのは先に述べた高次脳機能障害よりも、行動や心理的な異常だといわれています。
暴力や暴言、あるいは大便を壁に塗る(弄便(ろうべん))などの異常な行動がみられるようになるのも特徴のひとつです。
いちばん多いのは「物を盗られた」とか「夫が浮気をしている」など、ありもしない事柄を妄想する心理的な異常です。
感情的にも不適切な反応があり、興奮する、不安になる、無関心で何もしない(無為)、また逆に楽しそうである(多幸)人もみられます。
少しのことで動揺する(易(い)刺激性)、抑制が効かなくなることもあります。
日常生活では電話に出ることや、外出して買物の支払いができなくなったりします。
薬の服用ができなくなり、入浴や食事、排泄も一人では難しく、介護を拒否することもあります。
もうこのへんで、自動車運転が危険になりますので注意が必要です。
夜間の睡眠が十分にとれず、夜中に泥棒が入ったなど、ありもしないことを信じて(妄想)、家族を起こしてまわることもあります。
そして、誰も相手にしないと自分が見捨てられたと思い、それを他人にふれまわったりします。
高度のアルツハイマー病では無為・無動が著しくなり、命令や刺激に対する反応性が悪くなり、寝たきりになることもしばしばあります。
ただ、反応が少ない人でも、感情は豊かに保たれていて、見守る側が驚くこともあるそうです。
以上のように、認知行動(ボケ)とも取れる行動があるのでいくつかの検査を経て診断されます。
さて、こういった難しい症状の病気ですが、治療の方法としては、基本的には薬物療法がメインとなります。
しかし、アルツハイマー病の治療薬として認可され、現在市販されている薬は塩酸ドネペジルという薬のみです。
塩酸ドネペジルはすぐ脳に入りますが、時に消化器の副作用が現れます。吐き気がある、嘔吐する、唾液が出る、脈が遅くなる、汗が出るなどと訴える人もあります。
ですが、薬の効果には限界があるので、ケアなども含めた非薬物療法が行われています。
非薬物療法は薬と違って、ケアする人のやり方によって差が出ますので、また、環境の整備も症状の改善には大切です。
上手なやり方としては
(1)その人らしさを大切にする
(2)楽しく笑顔が出るようにする
(3)本人の能力を発揮させる
(4)安全に行う
(5)慣れ親しんだ生活を継続させる
というような事があげられます。
どのようなケアが効果が上がるか、個人差が激しいのでチェックしながらすすめます。
認知症の人の状態はケアの方法の良否を写す鏡であるといわれ、よいケアをすると笑顔が見られます。効果があると思われる非薬物療法を次に掲げます。
バリデーションセラピー
認知症の人の混乱した行動の裏には必ず理由があると考え、その異常を受け入れ、共感をもって対応します。会話の終わりの言葉を繰返すとコミュニケーションがとりやすくなります。
リアリティーオリエンテーション
時間や場所がわからないで不安に思っている人にそれらを教えると、安心感がもどることがあります。
回想法
昔の話や昔なじんだ作業をすると感情的な安らぎを得て自信がもどり、生き生きするようになります。
音楽療法やアートセラピー
音楽を聴いて楽しむ、楽しく歌うとか、絵や彫刻、粘土細工を楽しむと症状が改善します。
認知刺激
初期の認知症の人にはトランプ、オセロ、計算などの知的な刺激が認知機能を高めます。
運動療法
運動を続けると、認知機能が高まり、認知症の予防にも有用という報告があります。
他にも、マッサージや香りを楽しむアロマセラピーもよく行われています。
これらの治療法を決して無理強いすることなく、失敗しても叱らないことが大切です。間違いを指摘したり、叱ったりすると症状が悪くなります。
物忘れは高齢者で誰にもみられますが、それにより本人や周囲の人に迷惑がかかるようですと認知症の恐れがあります。
しかし、意識障害などの可能性もありますので、医師に相談して正確に診断してもらうことが大事です。
アルツハイマー病ならば非薬物療法により、まず改善をはかるのが良いと言われています。
公的支援を利用して、介護保険やデイサービスなども利用するのも良いと思われます。
というように、薬物療法も100%の効果が期待できるわけではありません。
介護を含めたケアにより、少しでも症状を和らげることができれば、薬物療法との相乗効果が期待できますが、ケアがうまくいかない場合は、薬物療法も副作用のみが目立ってしまう場合もおおいようです。
まず、この病気は確実な原因と、発症へのプロセスが分かっていません。
それだけに、治療法も確実でないと言わざるをえないでしょう。
ここ何週か特集していた「こころの病」全般にいえることですが、周りのケアひとつでかなり治療成績ががわってきます。
そこを踏まえて、患者さんと接することが大事になるでしょう。
いかがでしたか?
この病気も、まだまだ謎な部分が多いですし、これからさらに治療法等も開発されることを期待しましょう。
では、来週のサンデーイルネス(仮)をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院