弘泉堂鍼灸接骨院
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(17)サンデーイルネス(仮)乳がんについて
2017年06月25日 [日々のこと]
お疲れ様です。院長です。

6月25日のサンデーイルネス(仮)です。

本当は、この回のイルネス辞典(仮)は統合失調症を予定していたんですが、今日は急遽「乳がん」について解説していこうかと思ってます。

みなさんご存知の通り、先日小林麻央さんが34歳っていう若さで亡くなられました。

特別ファンだったとかではないんですが、みなさんも乳がんの怖さについて感じておられるでしょうから、このタイミングで登場させました。

では、さっそくいってみましょう。

まず、乳がんとは、どんな病気か…

専門的過ぎると分かりにくいんで、簡単に言いますと胸の乳汁を分泌する乳腺の小葉もしくは乳管、このどちらかの上皮の腫瘍が悪性化したものです。

近年の日本人女性の悪性腫瘍のなかでは最も頻度の高いものとなっています。

その中で乳がんは、乳腺部分の小葉由来の小葉がんと乳管由来の乳管がんとに大別されます。

乳管内、あるいは小葉内にとどまっていて血管やリンパ管に浸潤していないものを、非浸潤(ひしんじゅん)がんといいます。

非浸潤性「乳管がん」は比較的少数です。欧米では非浸潤性「小葉がん」は悪性疾患としては扱われず、経過観察が原則になっています。

つまり、非浸潤の小葉がんはがんとはいえ、良性腫瘍と変わらない扱いってことですね。要するに治るって考えても問題ないです。

あ、ここで、ちょっとがん(癌)と腫瘍について簡単に解説しておくと…

まず腫瘍というものは基本的に、いわゆる「できもの」です。

ですから、イボや脂肪の塊なんかも腫瘍と呼べます。

で、この腫瘍な中で、悪性のものだけを「がん」とよぶわけです。

ですから、良性のものは「がん」とは呼ばず○○腫という呼び方をします。

例えば有名なのであれば、「子宮筋腫」なども当てはまります。

これは、子宮の筋組織に出来てしまった良性の「腫瘍」ってことですね。

一方、この腫瘍が「悪性」となると、○○腫という呼び方ではなく、○○がん、もしくは○○肉腫などとよぶわけです。

ですから、がんと名がつけば、基本的に良性のモノはないわけですね。

そして「がん」になるとなぜこわいか…

言いだすとたくさんあるんですが、一番分かりよい説明として、無限に増殖するって事なんですよね。

がん細胞が…

こうなると、その器官の機能を削いでしまい、やがて機能不全から死に至るというわけです。

まぁ、イメージとして、バイキンが身体の中で増え続けていくって思ってもらえれば、大体合ってます。

そして、そのバイキンが血管にのって、他にも転移するんですから、タチが悪いですわ(^^ゞ


と話を戻して、ですから非浸潤性の小葉がんは、この良性腫瘍扱いってことなわけですね。

では、この浸潤(しんじゅん)ですが、まぁ読んで字の如く厳密に言うと少し違うんですが、転移すると考えて貰えば分かりやすいです。

つまり、浸潤性のがんは、血管やリンパ管から全身の血流にのり、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などに転移するわけです。

特殊な乳がんとして乳頭や乳輪の湿疹状のただれを症状とするパジェット病がありますが、予後は非浸潤がんと同様に良好です。


では、乳がんの原因は何か…


乳がんの原因は単一ではありません。乳がんを発症する危険因子としては、近親者に乳がんにかかった人がいること、過去に乳頭腫(乳頭に出来る良性腫瘍)などのリスク病変にかかったことなどが最も重要視されます。

これらは遺伝的要因によるものです。そのほかにも出産を経験していないこと、授乳をあまりしていないことなどもリスクとなるようです。

これらは乳がんの発生の母地となる乳腺が、萎縮せずに長期間存在することを意味します。

また卵胞ホルモンであるエストロゲンの関与が発がんや増殖、転移に関係していることも知られており、経口のホルモン薬も長期にわたって服用すると発がんのリスクを上げるといわれています。

しかし、近年の日本における乳がんの急増は、これだけでは説明しきれません。未知の要因が多く関係しているものと思われます。


乳がんの症状の現れ方なんですが、90%以上は痛みを伴わない乳房腫瘤です。よく言うシコリってやつですね。

患者さんは自分でこの腫瘤を触れることができます。また一部の乳がんでは乳頭からの分泌物を症状とすることもあります。

乳がんによる乳頭分泌物は血液が混じったものが多い傾向にありますので、乳頭や乳輪の湿疹様のただれなどと合わせて注意が必要です。

骨や肺に転移して手術不能の状態になって初めて病院を受診する例もあります。

症状があった場合に、専門医の診察を受けるかどうかで患者さんの運命は大きく変わるわけですね。


では、乳がんの検査と診断ですが、視触診が基本となります。

しかし、これらの理学的診察法は担当医の経験や患者さんの体型により、大いに精度が左右されてしまいます。

そのための補助的画像診断としては乳房X線撮影(マンモグラフィ)、超音波検査を行います。

X線撮影で腫瘍の陰影や石灰化など典型的な所見があれば、乳がんが強く疑われます。

超音波検査では、特徴のある不整形の腫瘤像が認められれば乳がんが疑われますが、典型的な所見を示さない乳がんもあるので、理学的診断や画像診断のみに頼るのは危険があります。

乳がんの疑いが濃厚であれば、細胞診、針生検などの顕微鏡的検査を行います。細胞診は腫瘤を注射針で刺して細胞を注射針内に吸引したり、乳頭分泌物を顕微鏡で観察して良性か悪性かを推定する診断法です。

比較的容易に検査ができるので乳がんの診断に広く用いられていますが、正確な診断にはかなりの熟練を要し、誤判定がありえると…

針生検では特殊な針を用いて腫瘤から組織を一部採取し、病理組織診断を行います。

細胞診よりは正確さで勝りますが、太い針を用いるために正確に腫瘤を穿刺しないと組織が得られません。

そのため、乳頭腫のような良性と悪性との境界病変、非浸潤がんか浸潤がんかの区別がつかないものがあります。

また、良性か悪性かの診断がついても、病変の広がりはわかりません。

乳がんが乳腺内にどのくらい広がっているか、あるいはリンパ節、肺、肝臓などへの転移があるかどうかを調べるには、造影CTが用いられています。

MRIを用いた広がり検査もありますが、一方の乳腺しか検査できなかったり、偽陽性(ぎようせい)の所見がかなりあることから、診断には経験を必要とします。

そのほか乳管内視鏡検査なども行われていますが、消化管の内視鏡検査ほどの有用な情報は得られません。腫瘍マーカー、骨シンチグラムなどの全身転移を検査する方法もありますが、以前ほどは重視されなくなりました。

これらの検査が陽性であれば、すでに全身転移が起こっていることを意味します。

以上の検査により乳がんの臨床病期(ステージ)が決まります。このステージにより、治療方針や予後が異なってくるわけですね。


では、乳がんの治療の方法をみていきましょう。

ステージ2までの乳がんであれば、乳房の温存療法も可能です。乳房の部分切除、腋窩(えきか)リンパ節の郭清(かくせい)(きれいに取り除くこと)、放射線照射、薬物治療(抗がん薬、内分泌療法薬)を組み合わせた集学的治療です。

乳がん組織のホルモン受容体が陽性なら、内分泌療法をメインにします。

受容体が陰性の場合やリンパ節転移がある場合、腫瘍の組織学的悪性度(グレード)が高い場合は、抗がん薬治療を考慮します。

閉経前の患者さんは受容体陰性でグレードが高いことが多いので、抗がん薬治療が行われることが多い傾向にあります。

閉経後の患者さんでは内分泌療法が有効であることが多いようですが、日本の多くの施設ではグレードについて検査をしていませんし、それほど重要視していないようです。

多発腫瘤(たはつしゅりゅう)や、乳腺内に広汎に広がった乳がんの場合は、非定型的乳房切断術を行います。

ステージ3以後の乳がんであれば、まず薬物治療を行い、有効な症例については手術を行うことがあります。残念ながら、ステージ4以降は根治的治療の対象とはならないと考えられています。

乳がんは術後5年以上経過してからの再発もめずらしくないので、治療成績は10年生存率で計算されます。


このように書くと、非常に恐ろしい病気だと思うでしょうし、実際怖い疾病なんですが、当然早期に発見出来れば、完治させることも可能です。

ですから、少しでも気になる事や、シコリなどを見つけたら、乳腺の専門医がいる総合病院を受診しましょう。

それと京都市の場合、30歳以上の方は、2年に1回の検診を実施しています。

せめてこれだけでも毎回(2年に1回)受診されれば相当違うと思いますので、対象者は必ず受けること!!


いかがでしたか?


今日は特別に「乳がん」を解説していきましたが、乳がんに限らず、どんな病気でもそうですが、特にがんは、早期発見することが大事です。

そして大体のがんは早期発見出来れば、治る可能性があるわけですから…

少なくとも、なんらか調子がわるいなぁ〜とか感じていることがあるなら、即!病院へ。

まずこの習慣をつけられるかどうかが、分かれ目だと思います。


では、来週は予定通り、精神疾患に戻り、「統合失調症」をお送りしま〜す。




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