牡蠣とバグ
2025年02月20日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
2月20日の木曜日でございます。
なんでも今日は「アレルギーの日」なんだそうですよ。
では元気にネタいきましょう。
抗生物質に耐性を持つ強力な細菌は、スーパーバグと呼ばれ、現代医療が直面する大問題です。
世界では毎年500万人が抗菌剤耐性菌の感染症で死亡しており、その数は今後ますます増えると予測されています。
この危機的な状況の救世主は意外なものかもしれないんです。
それは牡蠣(かき)だということです。
オーストラリアの研究チームがカキの血液ともいえる体液(ヘモリンパ)からタンパク質を採取し、その抗菌作用を確かめてみたところ、さまざまな感染症の原因となる細菌を殺菌できることがわかったそうなんです。
しかも既存の抗生物質に混ぜれば、その効果を2〜32倍にまでアップしてくれることも判明したということです。
抗生物質の登場によって、人類は一時は細菌による感染症との戦いに勝利したかに思えました。
ところが、細菌たちもやれてばかりではありませんでした。
過剰に抗生物質が使用されたことで、これに耐性を持つ細菌がますます増えてきています。
こうした薬剤耐性菌(スーパーバグ)の出現は、現代医療が直面する最大の問題の1つとなっていて、薬剤耐性菌は国際宇宙ステーションでも発見されているほどです。
これをさらに厄介な問題にしているのは、細菌が形成するバイオフィルムです。
これはネバネバとくっつく分泌物によって無数の細菌が集まってできる膜のようなものです。
これは細菌にとってバリアのような役目を果たし、その内部では抗生物質への抵抗力が大幅にアップするだけでなく、それ自体が頑丈であることから細菌を物理的に取り除くことも難しくなります。
ほぼあらゆる細菌感染症がバイオフィルムを伴うため、この形成を抑制したり、破壊したりする方法があれば、感染症対策は楽になるはずなんです。
オーストラリア、サザンクロス大学のケイト・サマー氏らの解説によれば、現在使用されている抗生物質の90%以上は天然由来のものであるそうです。
また開発中の抗生物質の65%以上も同様なんだそうです。
その理由は、新たに抗生物質を開発する際、まず生物の免疫を調べ、利用できるものがないか探るのが常套手段だからです。
その点、海で暮らす牡蠣は、普段からさまざまな微生物に大量にさらされています。
そのおかげで、強力な免疫系を進化させることができたと考えられます。
牡蠣の血液ともいえる体液(ヘモリンパ)には、抗菌作用のあるタンパク質やペプチドが含まれており、彼らはこれで感染から身を守っているます。
サマー氏らによれば、牡蠣には実際、漢方として呼吸器の感染症や炎症の治療に使われてきた長い歴史があるそうなんです。
またオーストラリアの先住民たちも治療に牡蠣を利用してきました。
こうした事実が、牡蠣の抗生物質としての有望性を伝えています。
そこで今回サマー氏らは、シドニー岩牡蠣(Saccostrea glomerata)のヘモリンパに含まれる抗菌タンパク質の効果を実際に確かめてみることにしました。
すると肺炎などを引き起こすレンサ球菌をよく殺菌してくれることが判明したそうです。
さらにレンサ球菌のバイオフィルム形成を阻害するだけでなく、すでに形成されたバイオフィルムにまで浸透することがわかりました。
それだけでなく、既存の抗生物質と組み合わせて使うと、ほんの少量でも殺菌効果を2倍〜32倍にアップさせることまで確認されたそうです。
その効果は、レンサ球菌だけでなく、黄色ブドウ球菌や緑膿菌にも有効だったとのことで、それでいて人間の細胞に対する毒性は認められなかったそうです。
このように牡蠣のヘモリンパ・タンパク質は、新しい抗生物質として非常に有望です。
バイオフィルムを破壊し、既存の抗生物質の効果を高め、また人間の細胞を攻撃することもありません。
とは言え、医療の現場で使えるようにするには、動物実験や臨床試験など、まだまだクリアせねばならない関門がたくさんあります。
幸いなことにシドニー岩牡蠣は普通に手に入る食材です。
実験材料に事欠くことはないので、今後は製薬業界と水産業界が協力して、新しい抗生物質の開発に取り組んでいくことでしょう。
カキやりますね。
さぁ、カキ由来の抗生物質、わたくし院長が生きてるうちに完成するでしょうか…。
楽しみに待っときます。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
2月20日の木曜日でございます。
なんでも今日は「アレルギーの日」なんだそうですよ。
では元気にネタいきましょう。
抗生物質に耐性を持つ強力な細菌は、スーパーバグと呼ばれ、現代医療が直面する大問題です。
世界では毎年500万人が抗菌剤耐性菌の感染症で死亡しており、その数は今後ますます増えると予測されています。
この危機的な状況の救世主は意外なものかもしれないんです。
それは牡蠣(かき)だということです。
オーストラリアの研究チームがカキの血液ともいえる体液(ヘモリンパ)からタンパク質を採取し、その抗菌作用を確かめてみたところ、さまざまな感染症の原因となる細菌を殺菌できることがわかったそうなんです。
しかも既存の抗生物質に混ぜれば、その効果を2〜32倍にまでアップしてくれることも判明したということです。
抗生物質の登場によって、人類は一時は細菌による感染症との戦いに勝利したかに思えました。
ところが、細菌たちもやれてばかりではありませんでした。
過剰に抗生物質が使用されたことで、これに耐性を持つ細菌がますます増えてきています。
こうした薬剤耐性菌(スーパーバグ)の出現は、現代医療が直面する最大の問題の1つとなっていて、薬剤耐性菌は国際宇宙ステーションでも発見されているほどです。
これをさらに厄介な問題にしているのは、細菌が形成するバイオフィルムです。
これはネバネバとくっつく分泌物によって無数の細菌が集まってできる膜のようなものです。
これは細菌にとってバリアのような役目を果たし、その内部では抗生物質への抵抗力が大幅にアップするだけでなく、それ自体が頑丈であることから細菌を物理的に取り除くことも難しくなります。
ほぼあらゆる細菌感染症がバイオフィルムを伴うため、この形成を抑制したり、破壊したりする方法があれば、感染症対策は楽になるはずなんです。
オーストラリア、サザンクロス大学のケイト・サマー氏らの解説によれば、現在使用されている抗生物質の90%以上は天然由来のものであるそうです。
また開発中の抗生物質の65%以上も同様なんだそうです。
その理由は、新たに抗生物質を開発する際、まず生物の免疫を調べ、利用できるものがないか探るのが常套手段だからです。
その点、海で暮らす牡蠣は、普段からさまざまな微生物に大量にさらされています。
そのおかげで、強力な免疫系を進化させることができたと考えられます。
牡蠣の血液ともいえる体液(ヘモリンパ)には、抗菌作用のあるタンパク質やペプチドが含まれており、彼らはこれで感染から身を守っているます。
サマー氏らによれば、牡蠣には実際、漢方として呼吸器の感染症や炎症の治療に使われてきた長い歴史があるそうなんです。
またオーストラリアの先住民たちも治療に牡蠣を利用してきました。
こうした事実が、牡蠣の抗生物質としての有望性を伝えています。
そこで今回サマー氏らは、シドニー岩牡蠣(Saccostrea glomerata)のヘモリンパに含まれる抗菌タンパク質の効果を実際に確かめてみることにしました。
すると肺炎などを引き起こすレンサ球菌をよく殺菌してくれることが判明したそうです。
さらにレンサ球菌のバイオフィルム形成を阻害するだけでなく、すでに形成されたバイオフィルムにまで浸透することがわかりました。
それだけでなく、既存の抗生物質と組み合わせて使うと、ほんの少量でも殺菌効果を2倍〜32倍にアップさせることまで確認されたそうです。
その効果は、レンサ球菌だけでなく、黄色ブドウ球菌や緑膿菌にも有効だったとのことで、それでいて人間の細胞に対する毒性は認められなかったそうです。
このように牡蠣のヘモリンパ・タンパク質は、新しい抗生物質として非常に有望です。
バイオフィルムを破壊し、既存の抗生物質の効果を高め、また人間の細胞を攻撃することもありません。
とは言え、医療の現場で使えるようにするには、動物実験や臨床試験など、まだまだクリアせねばならない関門がたくさんあります。
幸いなことにシドニー岩牡蠣は普通に手に入る食材です。
実験材料に事欠くことはないので、今後は製薬業界と水産業界が協力して、新しい抗生物質の開発に取り組んでいくことでしょう。
カキやりますね。
さぁ、カキ由来の抗生物質、わたくし院長が生きてるうちに完成するでしょうか…。
楽しみに待っときます。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院