(405)サンデーイルネス(仮)有毒植物による食中毒について3話
2024年12月01日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
12月1日のサンデーイルネスでございます。
ついに12月に入りました。
さすがに冬ですね。
そして、今日を境に世の中はクリスマスムードに染まっていきます。
クリスマス…。
いいねぇ(笑)
最近の若者は、クリスマスよりハロウィンを楽しむそうですが、我々世代は永遠の一大イベントですよね。
ま、何するわけでもないですけどね。
てことで、本題に入りましょう。
今日は、「有毒植物による食中毒」のだい3話でございます。
肝臓機能障害を起こす植物毒
このタイプの毒物は少ないのですが、ほかの項目のもので肝機能を障害するものは少なくありません。
キク科キオン属(セネシオ)やマメ科のタヌキマメ属、ムラサキ科のヘリオトロープ属植物の葉を飲用する習慣のあるところでは、肝機能障害、肝硬変(かんこうへん)が多いことが知られていました。
Senecio jacobaea(ヤコブボロギク)では、アルカロイドのセネシオニン、セネシンがその毒性の本体です。
また、フキノトウのフキノトキシンやツワブキのセンキルキンなどもこの型の毒物に入り、発がん性も指摘されています。
消化器(しょうかき)・腎臓障害(じんぞうしょうがい)を起(お)こす植物毒(しょくぶつどく)
サトイモ科の植物やタデ科のダイオウの葉、ギシギシ、スイバ、またホウレンソウなどは、十分に湯通しをしないと胃腸障害を起こし、腎臓にシュウ酸カルシウムが沈着して腎機能を障害します。
マメ科のトウアズキは、誤食により有害蛋白質のアブリンによる胃腸障害を生じ、腹痛、嘔吐を引き起こします。
また、トウダイグサ科のトウゴマ(ヒマ)の種子は、下剤として使われるヒマシ油の原料になりますが、有害蛋白質のリシンを含んでいます。
発がん性および抗がん性を有する植物毒(しょくぶつどく)
発がん性物質の代表として、TPAという有名な化合物があげられます。
(1)巴豆(はず)
トウダイグサ科植物の種子で、クロトン油(巴豆油(はずゆ))の原料にされます。
クロトン油は発がん性のジテルペンエステルであるTPAを含み、皮膚の発がんを促進します。
クロトン油は最も激烈な下剤で、1滴内服しただけで口腔や胃の粘膜に灼熱感(しゃくねつかん)や嘔吐を起こし、やがて激しい腹痛を伴って下痢を起こします。
クロトン油を外用すると皮膚刺激作用で発赤を起こし、膿疱(のうほう)、壊死(えし)に至ります。
工芸品などの制作にクロトン油を常用しているところでは、皮膚がんが多く発生しています。
トウダイグサ科の植物は粘液が多く、そのなかに発がん性のジテルペン系化合物を含んでいることがあります。
ナツトウダイ、ヒロハタイゲキなども毒性が強い植物です。
(2)ソテツ
ソテツ科のこの植物に含まれるアゾキシ配糖体サイカシンは、β(ベータ)‐グルコシダーゼによって加水分解されてジアゾメタンを生じ、このジアゾメタンがアルキル化剤として作用し、発がんさせます。
(3)ワラビ
ウラボシ科のワラビは、湯通しをしないで食べると中毒を起こします。
ノルセスキテルペン配糖体のブタキロシドが毒性本体であり、発がん性を示します。
(4)毒性が強く抗がん薬が開発された植物
すでに臨床で用いられているニチニチソウのビンカアルカロイドが有名です。
インドール系のビンクリスチンやビンブラスチンを含み、白血病性のがん(血液のがん)に有効です。
ポドフィルム根に含まれるポドフィロトキシンはリグナンの一種で、抗がん活性も強いのですが、副作用も強く出ます。
また、イチイの成分であるタキソールおよびタキソテレはジテルペン系の化合物で、卵巣がんに有効とのことですでに臨床に用いられています。
麻薬性の植物毒
この項目に入る植物は、しばしば社会問題となる幻覚(げんかく)・麻酔を起こす成分を含んでいるので、一般の使用は法律で禁止されています。
(1)ケシ
ケシ科に属し、この項目に入る最も有名な植物のひとつで、アヘンアルカロイドを含みます。
ケシの未熟果実の乳液を固めたものがアヘンと呼ばれます。
その主成分はモルヒネで、そのほかにテバイン、コデインなどを含みます。
モルヒネは、鎮痛・麻酔性の医薬品として重要ですが、習慣性も強くモルヒネ中毒を起こします。
そのジアセチル誘導体はヘロインと呼ばれ、鎮痛・麻酔性も習慣性も高まり、ヘロイン中毒は最も治療の難しい麻薬中毒といわれています。
(2)インド大麻
クワ科の植物で雌雄異株(しゆういしゅ)です。
受精後の雌株(めかぶ)に麻酔成分を含む樹脂が分泌され、この樹脂をインドではハシッシュ、欧米ではマリファナと呼んでいます。
通常は、この未熟の果穂を含む枝先および葉が混在したものをタイマと呼んでいます。
麻酔性の成分はTHCA(テトラヒドロカンナビノール)であり、幻覚性、習慣性をもっています。
(3)コカ
コカノキ科の植物で、その葉に局所麻酔性のコカインを含みます。
南米のペルーでは、その葉は飲用として認可されています。
(4)ウバタマ
サボテンの一種でペヨーテとも呼ばれ 、幻覚症状を起こすメスカリンを含んでいます。したがって、ウバタマの栽培は禁止されています。
しかし、子吹ウバタマにはメスカリンが含まれていないので、栽培は認可されています。
その他の植物毒(しょくぶつどく)
(1)イヌサフラン
ユリ科の植物で、その成分はアルカロイドのコルヒチンです。
末梢性血管麻痺作用があり、痛風(つうふう)による激痛を特異的に鎮める作用があるので、痛風の治療薬として用いられています。
また、植物の倍数体を作るため、植物の品種改良などにも利用されます。ただし、毒性が強いので一般には使えません。
(2)ウルシ
ウルシ科の植物で、フェノール性のウルシオールを含んでいます。
この化合物はラッカーゼによって酸素と結合し、黒色樹脂状となり急性皮膚炎を起こします。
ウルシオールは大量投与により、脳中枢神経系の原線維を傷める作用があります。
(3)ヤマゴボウ
ヤマゴボウ科の植物で、果実と根に有毒成分のフィトラクシンを含み、食べると嘔吐・下痢を起こし、次いで延髄(えんずい)に作用し、けいれんを起こして死亡します。
いかがでしたか。
では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
12月1日のサンデーイルネスでございます。
ついに12月に入りました。
さすがに冬ですね。
そして、今日を境に世の中はクリスマスムードに染まっていきます。
クリスマス…。
いいねぇ(笑)
最近の若者は、クリスマスよりハロウィンを楽しむそうですが、我々世代は永遠の一大イベントですよね。
ま、何するわけでもないですけどね。
てことで、本題に入りましょう。
今日は、「有毒植物による食中毒」のだい3話でございます。
肝臓機能障害を起こす植物毒
このタイプの毒物は少ないのですが、ほかの項目のもので肝機能を障害するものは少なくありません。
キク科キオン属(セネシオ)やマメ科のタヌキマメ属、ムラサキ科のヘリオトロープ属植物の葉を飲用する習慣のあるところでは、肝機能障害、肝硬変(かんこうへん)が多いことが知られていました。
Senecio jacobaea(ヤコブボロギク)では、アルカロイドのセネシオニン、セネシンがその毒性の本体です。
また、フキノトウのフキノトキシンやツワブキのセンキルキンなどもこの型の毒物に入り、発がん性も指摘されています。
消化器(しょうかき)・腎臓障害(じんぞうしょうがい)を起(お)こす植物毒(しょくぶつどく)
サトイモ科の植物やタデ科のダイオウの葉、ギシギシ、スイバ、またホウレンソウなどは、十分に湯通しをしないと胃腸障害を起こし、腎臓にシュウ酸カルシウムが沈着して腎機能を障害します。
マメ科のトウアズキは、誤食により有害蛋白質のアブリンによる胃腸障害を生じ、腹痛、嘔吐を引き起こします。
また、トウダイグサ科のトウゴマ(ヒマ)の種子は、下剤として使われるヒマシ油の原料になりますが、有害蛋白質のリシンを含んでいます。
発がん性および抗がん性を有する植物毒(しょくぶつどく)
発がん性物質の代表として、TPAという有名な化合物があげられます。
(1)巴豆(はず)
トウダイグサ科植物の種子で、クロトン油(巴豆油(はずゆ))の原料にされます。
クロトン油は発がん性のジテルペンエステルであるTPAを含み、皮膚の発がんを促進します。
クロトン油は最も激烈な下剤で、1滴内服しただけで口腔や胃の粘膜に灼熱感(しゃくねつかん)や嘔吐を起こし、やがて激しい腹痛を伴って下痢を起こします。
クロトン油を外用すると皮膚刺激作用で発赤を起こし、膿疱(のうほう)、壊死(えし)に至ります。
工芸品などの制作にクロトン油を常用しているところでは、皮膚がんが多く発生しています。
トウダイグサ科の植物は粘液が多く、そのなかに発がん性のジテルペン系化合物を含んでいることがあります。
ナツトウダイ、ヒロハタイゲキなども毒性が強い植物です。
(2)ソテツ
ソテツ科のこの植物に含まれるアゾキシ配糖体サイカシンは、β(ベータ)‐グルコシダーゼによって加水分解されてジアゾメタンを生じ、このジアゾメタンがアルキル化剤として作用し、発がんさせます。
(3)ワラビ
ウラボシ科のワラビは、湯通しをしないで食べると中毒を起こします。
ノルセスキテルペン配糖体のブタキロシドが毒性本体であり、発がん性を示します。
(4)毒性が強く抗がん薬が開発された植物
すでに臨床で用いられているニチニチソウのビンカアルカロイドが有名です。
インドール系のビンクリスチンやビンブラスチンを含み、白血病性のがん(血液のがん)に有効です。
ポドフィルム根に含まれるポドフィロトキシンはリグナンの一種で、抗がん活性も強いのですが、副作用も強く出ます。
また、イチイの成分であるタキソールおよびタキソテレはジテルペン系の化合物で、卵巣がんに有効とのことですでに臨床に用いられています。
麻薬性の植物毒
この項目に入る植物は、しばしば社会問題となる幻覚(げんかく)・麻酔を起こす成分を含んでいるので、一般の使用は法律で禁止されています。
(1)ケシ
ケシ科に属し、この項目に入る最も有名な植物のひとつで、アヘンアルカロイドを含みます。
ケシの未熟果実の乳液を固めたものがアヘンと呼ばれます。
その主成分はモルヒネで、そのほかにテバイン、コデインなどを含みます。
モルヒネは、鎮痛・麻酔性の医薬品として重要ですが、習慣性も強くモルヒネ中毒を起こします。
そのジアセチル誘導体はヘロインと呼ばれ、鎮痛・麻酔性も習慣性も高まり、ヘロイン中毒は最も治療の難しい麻薬中毒といわれています。
(2)インド大麻
クワ科の植物で雌雄異株(しゆういしゅ)です。
受精後の雌株(めかぶ)に麻酔成分を含む樹脂が分泌され、この樹脂をインドではハシッシュ、欧米ではマリファナと呼んでいます。
通常は、この未熟の果穂を含む枝先および葉が混在したものをタイマと呼んでいます。
麻酔性の成分はTHCA(テトラヒドロカンナビノール)であり、幻覚性、習慣性をもっています。
(3)コカ
コカノキ科の植物で、その葉に局所麻酔性のコカインを含みます。
南米のペルーでは、その葉は飲用として認可されています。
(4)ウバタマ
サボテンの一種でペヨーテとも呼ばれ 、幻覚症状を起こすメスカリンを含んでいます。したがって、ウバタマの栽培は禁止されています。
しかし、子吹ウバタマにはメスカリンが含まれていないので、栽培は認可されています。
その他の植物毒(しょくぶつどく)
(1)イヌサフラン
ユリ科の植物で、その成分はアルカロイドのコルヒチンです。
末梢性血管麻痺作用があり、痛風(つうふう)による激痛を特異的に鎮める作用があるので、痛風の治療薬として用いられています。
また、植物の倍数体を作るため、植物の品種改良などにも利用されます。ただし、毒性が強いので一般には使えません。
(2)ウルシ
ウルシ科の植物で、フェノール性のウルシオールを含んでいます。
この化合物はラッカーゼによって酸素と結合し、黒色樹脂状となり急性皮膚炎を起こします。
ウルシオールは大量投与により、脳中枢神経系の原線維を傷める作用があります。
(3)ヤマゴボウ
ヤマゴボウ科の植物で、果実と根に有毒成分のフィトラクシンを含み、食べると嘔吐・下痢を起こし、次いで延髄(えんずい)に作用し、けいれんを起こして死亡します。
いかがでしたか。
では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院