ヒトと尻尾
2024年04月08日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
4月8日の月曜日でございます。
ボチボチ入学式の時期ですねぇ。
新しい環境になりますから、慣れるまでは大変でしょうけど、ま、すぐに慣れるよ。
ワクワクしながら頑張ってね。
てことで、今日もネタにいきましょう。
今日は尻尾についてのお話しです。
人間はなぜ、尻尾がないんでしょう?
大体の動物にはしっぽがついてるんですが、人間にはありません。
なぜ人間は尻尾を失ったのか?
遺伝子からその謎に迫ってみたいと思います。
約2500万年前、旧世界ザルから進化した我々の祖先は、なぜ尾を持たなくなったのでしょうか?
この長年の疑問に答える新たな研究結果が報告されました。
我々人類を含む、尾を持たない類人猿にサルのような尻尾がないのは、祖先の遺伝子に起きた変化が原因であるそうなんです。
ニューヨーク大学ランゴンヘルスをはじめとする研究チームは、尻尾のない類人猿・ヒトと尻尾のあるサルのDNAを比べたところ、サルにはないが、類人猿とヒトには共通してみられるDNAの断片が見つかったそうです。
私たちが進化するのは、DNAが突然変異を起こして変化するからです。
こうした変化は、DNAのねじれたハシゴ構造のたった一段だけに起きるシンプルな変化であることもあれば、もっと複雑な変化であることもあります。
例えば、私たちをはじめとする霊長類のゲノムには、「Alu要素」という何度も繰り返されているDNAの配列があります。
このAlu要素は、ゲノム内を動き回るという驚くべき特徴があります(このタイプの配列を「トランスポゾン」という)。
この”動く遺伝子”は、自分自身のコピーをゲノム内にランダムに挿入して、遺伝子の機能を強化したり、壊したりします。
今回の研究では、T遺伝子にコードされたタンパク質「TBXT(ブラキウリ)」の中に、尻尾のない私たちや類人猿(チンパンジーやゴリラ、オランウータンなど)にはあるが、尻尾のあるサルにはない2つのAlu要素が発見されました。
そのAlu要素は、DNA配列の中でもタンパク質の設計図が書かれていない「イントロン」という部分にあります。
タンパク質の設計図が書かれた「エクソン」に対し、イントロンはまったく役割がないかのように見えるため、"ゲノムの暗黒物質"と呼ばれてきた謎が多い領域です。
DNAが読まれると、その情報はまずRNAに写し取られます。
この時点ではエクソンとイントロンの両方が写し取られています。
ですが「スプライシング」(接合という意味)というプロセスによって、イントロンは切り取られ、エクソンがつなぎ合わされるんですね。
こうして出来上がるのが「成熟mRNA」で、生命活動に必要なタンパク質は、これが携えている情報を元にして作られます。
そこにイントロンからの情報は使われていないんです。
ですが、Alu要素を持つTBXT遺伝子の場合、細胞がこの遺伝子でRNAを作ろうとすると、Alu要素が繰り返されているためにそれらが結合します。
それでもより大きなRNAからは切り取られてしまうのですが、そのときエクソンも道連れにするため、最終的なタンパク質の設計図が変わってしまうわけです。
どうやら、これが私たちの祖先が尻尾を失う結果につながったようだと考えられるんですが、マウスを使った実験では、Alu要素を挿入すると、尻尾がなくなることが確認されているそうです。
なおこのように、特定のエクソンを切り捨ててしまうスプライシングを「選択的スプライシング」というそうですよ。
こうすることで、1つの遺伝子から複数のタンパク質を作ることができ、私たち人間の生理機能が複雑な理由の1つでもあるわけです。
そしてAlu要素が選択的スプライシングを起こすことは、今回初めて判明したことです。
ゴリラ・チンパンジー・ヒトなど、霊長類が尻尾を失ったのは、2500万年前に旧世界ザル(アフリカやアジアに生息するサルのグループ)から進化したときだと考えられています。
尻尾がなくなった理由は不明ですが、樹上ではなく、地上で暮らすにはそのほうが都合が良かったからと考えられています。
そもそも私たちが二足歩行できるようになったのも、尻尾を捨てたからだという仮説もあるそうですからねぇ。
いずれにせよ、そのメリットはかなり大きかったに違いないと推測されます。
遺伝子の多くは複数の機能に影響します。
ですから遺伝子の変化は、メリットもデメリットももたらすのが普通なんです。
例えば今回の研究では、TBXT遺伝子にAlu要素を挿入されたマウスに、「二分脊椎」という背骨がうまく閉じない病気が増えることがわかりました。
この症状は、人間の赤ちゃんでは1000人に1人が発症するそうです。
このような障害を負うリスクにもかかわらず、尻尾を失う変化が広まったということは、それだけ強力なメリットだったと考えられるのだと…。
研究チームは今後、私たちの祖先が尻尾を失った結果、「二分脊椎」が増えたという仮説を検証する予定であるそうです。
まぁ、尻尾がもしもあったら座りにくいだろうなとは思いますね(笑)
この研究も面白そうなので、次報に期待しましょう。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
4月8日の月曜日でございます。
ボチボチ入学式の時期ですねぇ。
新しい環境になりますから、慣れるまでは大変でしょうけど、ま、すぐに慣れるよ。
ワクワクしながら頑張ってね。
てことで、今日もネタにいきましょう。
今日は尻尾についてのお話しです。
人間はなぜ、尻尾がないんでしょう?
大体の動物にはしっぽがついてるんですが、人間にはありません。
なぜ人間は尻尾を失ったのか?
遺伝子からその謎に迫ってみたいと思います。
約2500万年前、旧世界ザルから進化した我々の祖先は、なぜ尾を持たなくなったのでしょうか?
この長年の疑問に答える新たな研究結果が報告されました。
我々人類を含む、尾を持たない類人猿にサルのような尻尾がないのは、祖先の遺伝子に起きた変化が原因であるそうなんです。
ニューヨーク大学ランゴンヘルスをはじめとする研究チームは、尻尾のない類人猿・ヒトと尻尾のあるサルのDNAを比べたところ、サルにはないが、類人猿とヒトには共通してみられるDNAの断片が見つかったそうです。
私たちが進化するのは、DNAが突然変異を起こして変化するからです。
こうした変化は、DNAのねじれたハシゴ構造のたった一段だけに起きるシンプルな変化であることもあれば、もっと複雑な変化であることもあります。
例えば、私たちをはじめとする霊長類のゲノムには、「Alu要素」という何度も繰り返されているDNAの配列があります。
このAlu要素は、ゲノム内を動き回るという驚くべき特徴があります(このタイプの配列を「トランスポゾン」という)。
この”動く遺伝子”は、自分自身のコピーをゲノム内にランダムに挿入して、遺伝子の機能を強化したり、壊したりします。
今回の研究では、T遺伝子にコードされたタンパク質「TBXT(ブラキウリ)」の中に、尻尾のない私たちや類人猿(チンパンジーやゴリラ、オランウータンなど)にはあるが、尻尾のあるサルにはない2つのAlu要素が発見されました。
そのAlu要素は、DNA配列の中でもタンパク質の設計図が書かれていない「イントロン」という部分にあります。
タンパク質の設計図が書かれた「エクソン」に対し、イントロンはまったく役割がないかのように見えるため、"ゲノムの暗黒物質"と呼ばれてきた謎が多い領域です。
DNAが読まれると、その情報はまずRNAに写し取られます。
この時点ではエクソンとイントロンの両方が写し取られています。
ですが「スプライシング」(接合という意味)というプロセスによって、イントロンは切り取られ、エクソンがつなぎ合わされるんですね。
こうして出来上がるのが「成熟mRNA」で、生命活動に必要なタンパク質は、これが携えている情報を元にして作られます。
そこにイントロンからの情報は使われていないんです。
ですが、Alu要素を持つTBXT遺伝子の場合、細胞がこの遺伝子でRNAを作ろうとすると、Alu要素が繰り返されているためにそれらが結合します。
それでもより大きなRNAからは切り取られてしまうのですが、そのときエクソンも道連れにするため、最終的なタンパク質の設計図が変わってしまうわけです。
どうやら、これが私たちの祖先が尻尾を失う結果につながったようだと考えられるんですが、マウスを使った実験では、Alu要素を挿入すると、尻尾がなくなることが確認されているそうです。
なおこのように、特定のエクソンを切り捨ててしまうスプライシングを「選択的スプライシング」というそうですよ。
こうすることで、1つの遺伝子から複数のタンパク質を作ることができ、私たち人間の生理機能が複雑な理由の1つでもあるわけです。
そしてAlu要素が選択的スプライシングを起こすことは、今回初めて判明したことです。
ゴリラ・チンパンジー・ヒトなど、霊長類が尻尾を失ったのは、2500万年前に旧世界ザル(アフリカやアジアに生息するサルのグループ)から進化したときだと考えられています。
尻尾がなくなった理由は不明ですが、樹上ではなく、地上で暮らすにはそのほうが都合が良かったからと考えられています。
そもそも私たちが二足歩行できるようになったのも、尻尾を捨てたからだという仮説もあるそうですからねぇ。
いずれにせよ、そのメリットはかなり大きかったに違いないと推測されます。
遺伝子の多くは複数の機能に影響します。
ですから遺伝子の変化は、メリットもデメリットももたらすのが普通なんです。
例えば今回の研究では、TBXT遺伝子にAlu要素を挿入されたマウスに、「二分脊椎」という背骨がうまく閉じない病気が増えることがわかりました。
この症状は、人間の赤ちゃんでは1000人に1人が発症するそうです。
このような障害を負うリスクにもかかわらず、尻尾を失う変化が広まったということは、それだけ強力なメリットだったと考えられるのだと…。
研究チームは今後、私たちの祖先が尻尾を失った結果、「二分脊椎」が増えたという仮説を検証する予定であるそうです。
まぁ、尻尾がもしもあったら座りにくいだろうなとは思いますね(笑)
この研究も面白そうなので、次報に期待しましょう。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院