動物の個性
2023年04月12日 [動物のこと]
お疲れ様です。院長です。
4月12日の水曜日でございます。
もうすぐゴールデンウイークですなぁ。
今年は1日、2日と休んじゃうと、9連休なんて人もいるでしょうか…。
海外に行く人も増えるでしょうね。
当院は、カレンダー通りってことで、29日、30日そして3日、4日、5日とお休みさせていただきます。
これくらいがちょうど良いですな。
てことで、今日もネタにいきましょう。
今日は動物の「個性」についてのお話しです。
当然ながら人間にも個性があります。
犬好きもいれば猫好きもいますし、犬も猫も苦手だわって人もいます。
それぞれが個性と言うわけです。
じつは動物の研究者たちもこれと似たような問題に直面しているそうなんです。
彼らが日々観察している動物は、思っている以上に個性豊かなのかもしれないと…。
だとしたら、特定の動物を用いた研究結果は正しいといえるのだろうかという疑問が出ますよね。
これを解決するためにとある学者はもっと動物の個性に注目しようと、STRANGE(ストレンジ)と呼ばれる解決策を提唱しているそうなんです。
数年前、英セント・アンドルーズ大学の生物学者クリスチャン・ルッツ氏は、当時研究対象だったカレドニアカラスをきちんと評価できているのか、疑問に思うようになりました。
彼がやっていたのは、丸太にクチバシが届かない深さの穴を開け、そこにエサを隠すという実験でした。
もしも野生で捕獲したカラスが道具を使って見事それを手に入れられたら、課題クリアということになります。
このとき各カラスにつき90分ほど観察し、時間内にできない場合はデータセットから外しました。
そしてルッツ氏は、ふとこう思いました。
「もしや自分が評価しているのは、見慣れぬ丸太に物おじしない勇敢なカラスだけなのではなかろうか?」と…。
そこで実験のやり方を変え、今度はカラスに1〜2日ほど余裕を与えて観察してみることにしました。
すると、これまで躊躇してたカラスも普通に課題をクリアできることがわかったそうなんです。
もっと極端な事例として、とある有名な研究があります。
それは1950年代に心理学者のハリー・ハーロウが行ったアカゲザルの実験です。
この実験ではアカゲザルの赤ちゃんを母親から引き離し、かわりに針金で作った無骨な母親もどきを与えています。
するとアカゲザルの赤ちゃんは母親もどきに愛着をしめしたそうです。
その結果からは、人間などの赤ちゃんにとって愛着がいかに大切か判明したとされています。
ですが母親から無理やり引き離されるというひどい経験をしたサルの赤ちゃんの行動は、本当に赤ちゃん一般について正しいことを語っているのでしょうか?
この実験から言えるのは、せいぜい心に傷を負ったサルの赤ちゃんについてだけなのではないだろうかと…。
人間と同じく、動物にもそれぞれの個性や人生(動生)経験というものがあります。
カラスの事例からもわかるように、それらは実験の結果にも影響します。
だとすれば、これまで発表されてきた動物の行動に関する研究は、種全体については何も述べておらず、かなり偏ったことを指摘しているだけなのかもしれません。
これは、動物の本当の姿を知りたいと願う研究者にとっては大きな問題だと言えます。
そこでルッツ氏と同僚のマイケル・ウェブスター氏が、この問題の解決法として2020年から提唱しているのが「STRANGE(ストレンジ)」というものです。
STRANGEは和訳すると「変」という意味で、これもまた変な名前ですが、「社会的背景(Social background)」「捕まえやすさと自己選択(Trappability and self-selection)」「飼育歴(Rearing history)」「順化と慣れ(Acclimation and habituation)」「反応性の自然変化(Natural changes in responsiveness)」「遺伝的構成(Genetic makeup)」「経験(Experience)」の頭文字をとったものだそうです。
たとえば、実験用の魚をつかまえるのに罠を使った場合、かかるのは怖いもの知らずだったり、経験が少なかったりする個体かもしれません。
これが「捕まえやすさ」ということです。
あるいはキジの場合、大きな群れで暮らしているほど学習課題(どの穴に餌があるのか当てるなど)が得意であるという報告があります。
また、人間が飼育するハエトリグモは、野生の個体に比べてエモノへの関心が低いことも知られています(飼育歴)。
さらにミツバチは朝と夜だと、朝の方がよく学んでくれるんだとか…(反応性の自然変化)。
つまりSTRANGEとは、こうした動物の行動に影響を与えそうなそれぞれの個性を考慮しようというフレームワークなんですね。
動物の研究からあらゆるバイアスをなくすことは無理かもしれない。
それでも研究結果に影響を与えそうな要因をきちんと説明するべきだというのが、STRANGEフレームワークのポイントなわけです。
まぁ、言われてみればそうですよねぇ。
ですが、これ、結局は研究の数なんじゃないですかね?
どんな実験でも研究でも誤差はあるわけですし、それを埋めるのは圧倒的な数の力って気がしますが…。
少ないデータだとどうしても偏りが出ますし、個性というより、データの少なさじゃないのかなと言う気はします。
動物のデータでも結局、その動物全てを対象にしないと偏りは出ると思うんですけどね。
てないじわる言いましたけど、これはこれで素晴らしい研究でしょう(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
4月12日の水曜日でございます。
もうすぐゴールデンウイークですなぁ。
今年は1日、2日と休んじゃうと、9連休なんて人もいるでしょうか…。
海外に行く人も増えるでしょうね。
当院は、カレンダー通りってことで、29日、30日そして3日、4日、5日とお休みさせていただきます。
これくらいがちょうど良いですな。
てことで、今日もネタにいきましょう。
今日は動物の「個性」についてのお話しです。
当然ながら人間にも個性があります。
犬好きもいれば猫好きもいますし、犬も猫も苦手だわって人もいます。
それぞれが個性と言うわけです。
じつは動物の研究者たちもこれと似たような問題に直面しているそうなんです。
彼らが日々観察している動物は、思っている以上に個性豊かなのかもしれないと…。
だとしたら、特定の動物を用いた研究結果は正しいといえるのだろうかという疑問が出ますよね。
これを解決するためにとある学者はもっと動物の個性に注目しようと、STRANGE(ストレンジ)と呼ばれる解決策を提唱しているそうなんです。
数年前、英セント・アンドルーズ大学の生物学者クリスチャン・ルッツ氏は、当時研究対象だったカレドニアカラスをきちんと評価できているのか、疑問に思うようになりました。
彼がやっていたのは、丸太にクチバシが届かない深さの穴を開け、そこにエサを隠すという実験でした。
もしも野生で捕獲したカラスが道具を使って見事それを手に入れられたら、課題クリアということになります。
このとき各カラスにつき90分ほど観察し、時間内にできない場合はデータセットから外しました。
そしてルッツ氏は、ふとこう思いました。
「もしや自分が評価しているのは、見慣れぬ丸太に物おじしない勇敢なカラスだけなのではなかろうか?」と…。
そこで実験のやり方を変え、今度はカラスに1〜2日ほど余裕を与えて観察してみることにしました。
すると、これまで躊躇してたカラスも普通に課題をクリアできることがわかったそうなんです。
もっと極端な事例として、とある有名な研究があります。
それは1950年代に心理学者のハリー・ハーロウが行ったアカゲザルの実験です。
この実験ではアカゲザルの赤ちゃんを母親から引き離し、かわりに針金で作った無骨な母親もどきを与えています。
するとアカゲザルの赤ちゃんは母親もどきに愛着をしめしたそうです。
その結果からは、人間などの赤ちゃんにとって愛着がいかに大切か判明したとされています。
ですが母親から無理やり引き離されるというひどい経験をしたサルの赤ちゃんの行動は、本当に赤ちゃん一般について正しいことを語っているのでしょうか?
この実験から言えるのは、せいぜい心に傷を負ったサルの赤ちゃんについてだけなのではないだろうかと…。
人間と同じく、動物にもそれぞれの個性や人生(動生)経験というものがあります。
カラスの事例からもわかるように、それらは実験の結果にも影響します。
だとすれば、これまで発表されてきた動物の行動に関する研究は、種全体については何も述べておらず、かなり偏ったことを指摘しているだけなのかもしれません。
これは、動物の本当の姿を知りたいと願う研究者にとっては大きな問題だと言えます。
そこでルッツ氏と同僚のマイケル・ウェブスター氏が、この問題の解決法として2020年から提唱しているのが「STRANGE(ストレンジ)」というものです。
STRANGEは和訳すると「変」という意味で、これもまた変な名前ですが、「社会的背景(Social background)」「捕まえやすさと自己選択(Trappability and self-selection)」「飼育歴(Rearing history)」「順化と慣れ(Acclimation and habituation)」「反応性の自然変化(Natural changes in responsiveness)」「遺伝的構成(Genetic makeup)」「経験(Experience)」の頭文字をとったものだそうです。
たとえば、実験用の魚をつかまえるのに罠を使った場合、かかるのは怖いもの知らずだったり、経験が少なかったりする個体かもしれません。
これが「捕まえやすさ」ということです。
あるいはキジの場合、大きな群れで暮らしているほど学習課題(どの穴に餌があるのか当てるなど)が得意であるという報告があります。
また、人間が飼育するハエトリグモは、野生の個体に比べてエモノへの関心が低いことも知られています(飼育歴)。
さらにミツバチは朝と夜だと、朝の方がよく学んでくれるんだとか…(反応性の自然変化)。
つまりSTRANGEとは、こうした動物の行動に影響を与えそうなそれぞれの個性を考慮しようというフレームワークなんですね。
動物の研究からあらゆるバイアスをなくすことは無理かもしれない。
それでも研究結果に影響を与えそうな要因をきちんと説明するべきだというのが、STRANGEフレームワークのポイントなわけです。
まぁ、言われてみればそうですよねぇ。
ですが、これ、結局は研究の数なんじゃないですかね?
どんな実験でも研究でも誤差はあるわけですし、それを埋めるのは圧倒的な数の力って気がしますが…。
少ないデータだとどうしても偏りが出ますし、個性というより、データの少なさじゃないのかなと言う気はします。
動物のデータでも結局、その動物全てを対象にしないと偏りは出ると思うんですけどね。
てないじわる言いましたけど、これはこれで素晴らしい研究でしょう(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院