ザリガニと抗うつ剤
2022年08月11日 [動物のこと]
お疲れ様です。院長です。
8月11日の木曜日でございます。
もうすぐお盆ですし、まさに夏真っ盛りですな。
昔は、お盆が過ぎれば涼しくなってきたもんですが、まだまだ暑いよねぇ。
では今日のネタですが、アメリカの研究で、人が使う抗うつ剤により、水生生物に影響が出てるってなお話しです。
人間の治療に使われる抗うつ剤は、川や水路に入れば水生動物にも影響を与えるそうなんです。
最新の論文によりますと、川で実際に観察される現実的な濃度の抗うつ剤シタロプラム(一般にセレクサの商品名で販売)にさらされたザリガニは、えさを探す時間が大幅に増え、身を隠している時間が減ったそうなんです。
こうした行動の変化で、ザリガニは捕食者から攻撃されやすくなる可能性があり、また、いずれは河川の生態系に別の影響が及ぶことも考えられるんだとか…。
つまり、ザリガニが大胆になったって事のようです。
実験は、自然環境を模した研究所内で14日間にわたり行われました。
その結果、抗うつ剤にさらされたザリガニは、そうでない個体に比べて、えさを探すために隠れ場所から顔を覗かせる、また外に出てくるまでの時間が約半分になったそうです。
今回の研究は、自然を模した環境下でザリガニと抗うつ剤についての調査を行った初めての試みであり、こうしたタイプの医薬品汚染がどこまで広がり、どの程度の影響力を持っているのかに関して深刻な問題を提示していると、論文では述べられています。
この「シタロプラム」は、世界で最も広く処方されている抗うつ剤で、「選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)」のひとつです。
2015〜2018年の米国では、ほぼ8人に1人がSSRIを服用していたと米疾病対策センター(CDC)は報告しているそうです。
すごい数でdすなぁ。
こうした薬剤は、気分、幸福感、不安などの調整を助ける神経伝達物質であるセロトニンのレベルを高めることによって、脳内の化学反応を変化させるよう設計されています。
しかし、これは人間以外の、特に水中で生活するたくさんの生物たちの神経化学にも影響を与えてしまうわけです。
で、問題はこれらの薬物がいかにして、川などに流れるかって事ですが、人間が錠剤を飲むと、そのうちのごくわずかな量が尿や便と一緒に排出されて、水漏れのある汚水処理設備や、薬剤を除去できない廃水処理施設から環境に入りこんだり、未使用の薬が排水口に捨てられることも少なくないそうなんです。
こうした汚染物質を排出している製薬会社もあるんだとか…。
海や淡水に暮らす生物は、いくつもの薬剤が混ざりあった水にさらされる可能性があるわけです。
これらの化合物の濃度は多くの場合、そう高くはないと考えられますが、付加的な影響が出る場合もあるそうなんです。
過去の研究では、SSRIはさまざまな水生動物の「不安様」行動を減少させ、ときには攻撃性と運動量の両方を増加させることがわかっています。
今回の研究で目指したのは、ザリガニがこうした薬物にどう反応するかを理解することでした。
研究の一環として、SSRIにさらされたザリガニとそうでない比較対照群のザリガニとが、えさのにおいにどれだけ早く反応するかを調べました。
前者のグループは、後者よりも隠れ場所から顔を覗かせるのが2倍早く、外に出てくるのは1分近く早く、またえさが置かれた部分に滞在した時間は3倍以上だったんだとか…。
実験では捕食者の導入は行われませんでしたが、こうした行動をとるザリガニは、野生においてはアライグマ、キツネ、大型の魚、鳥などの捕食者に食べられる可能性が高くなるだろうと、科学者らは考えています。
ザリガニは、川の中の落ち葉や水生昆虫の主要な消費者のひとつであるため、彼らの行動への影響は、生態系の広い範囲に及ぶ可能性があると…。
今回の論文においては、シタロプラムにさらされていた間に、水中の藻類や有機化合物のレベルが上昇したことが指摘されています。
これについて研究者らは、食事をしたザリガニがより多くの栄養分を排泄し、それによって藻類の成長が促された、あるいは、ザリガニの動きが活発になることで、藻類や栄養分が流れの底に沈むのが妨げられたのではないかと推測しています。
この実験は屋内で行われたものであり、そこには現実世界の条件がすべて含まれていたわけではないですが、それでも、ザリガニがさらされた薬剤の濃度は、川や池で遭遇する可能性があり、一部の下水処理施設のすぐ下流では確実に発生するレベルのものだそうです。
抗うつ剤はさまざまな経路を通って生物を汚染します。
ザリガニはエラから、またはえさである有機堆積物を介して化学物質を吸収します。
一方、ザリガニをはじめとする抗うつ剤を吸収した小動物を食べる捕食者にも、そうした汚染物質は蓄積されていきます。
まぁ、微量ではあるんでしょうけど、よく考えたら人間用の薬なわけで、大きさで言えばザリガニなんて一般的なサイズなら、20〜30gほどですし、人間のサイズから考えると微量ってことはないのかもしれませんな。
服用した薬が体内から排出されるって事は仕方ないにしても、未使用の薬を流したりすることには、注意を向ける必要があるでしょうね。
てか、薬って飲まない分、捨てますよね?
なにもわざわざ流さなくてもいいのになぁと、普通に思いますが…。
日本はそこまで抗うつ剤を使用する頻度は高くないと思いますが、こういったことがあると知っておくことは大事ですよね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
8月11日の木曜日でございます。
もうすぐお盆ですし、まさに夏真っ盛りですな。
昔は、お盆が過ぎれば涼しくなってきたもんですが、まだまだ暑いよねぇ。
では今日のネタですが、アメリカの研究で、人が使う抗うつ剤により、水生生物に影響が出てるってなお話しです。
人間の治療に使われる抗うつ剤は、川や水路に入れば水生動物にも影響を与えるそうなんです。
最新の論文によりますと、川で実際に観察される現実的な濃度の抗うつ剤シタロプラム(一般にセレクサの商品名で販売)にさらされたザリガニは、えさを探す時間が大幅に増え、身を隠している時間が減ったそうなんです。
こうした行動の変化で、ザリガニは捕食者から攻撃されやすくなる可能性があり、また、いずれは河川の生態系に別の影響が及ぶことも考えられるんだとか…。
つまり、ザリガニが大胆になったって事のようです。
実験は、自然環境を模した研究所内で14日間にわたり行われました。
その結果、抗うつ剤にさらされたザリガニは、そうでない個体に比べて、えさを探すために隠れ場所から顔を覗かせる、また外に出てくるまでの時間が約半分になったそうです。
今回の研究は、自然を模した環境下でザリガニと抗うつ剤についての調査を行った初めての試みであり、こうしたタイプの医薬品汚染がどこまで広がり、どの程度の影響力を持っているのかに関して深刻な問題を提示していると、論文では述べられています。
この「シタロプラム」は、世界で最も広く処方されている抗うつ剤で、「選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)」のひとつです。
2015〜2018年の米国では、ほぼ8人に1人がSSRIを服用していたと米疾病対策センター(CDC)は報告しているそうです。
すごい数でdすなぁ。
こうした薬剤は、気分、幸福感、不安などの調整を助ける神経伝達物質であるセロトニンのレベルを高めることによって、脳内の化学反応を変化させるよう設計されています。
しかし、これは人間以外の、特に水中で生活するたくさんの生物たちの神経化学にも影響を与えてしまうわけです。
で、問題はこれらの薬物がいかにして、川などに流れるかって事ですが、人間が錠剤を飲むと、そのうちのごくわずかな量が尿や便と一緒に排出されて、水漏れのある汚水処理設備や、薬剤を除去できない廃水処理施設から環境に入りこんだり、未使用の薬が排水口に捨てられることも少なくないそうなんです。
こうした汚染物質を排出している製薬会社もあるんだとか…。
海や淡水に暮らす生物は、いくつもの薬剤が混ざりあった水にさらされる可能性があるわけです。
これらの化合物の濃度は多くの場合、そう高くはないと考えられますが、付加的な影響が出る場合もあるそうなんです。
過去の研究では、SSRIはさまざまな水生動物の「不安様」行動を減少させ、ときには攻撃性と運動量の両方を増加させることがわかっています。
今回の研究で目指したのは、ザリガニがこうした薬物にどう反応するかを理解することでした。
研究の一環として、SSRIにさらされたザリガニとそうでない比較対照群のザリガニとが、えさのにおいにどれだけ早く反応するかを調べました。
前者のグループは、後者よりも隠れ場所から顔を覗かせるのが2倍早く、外に出てくるのは1分近く早く、またえさが置かれた部分に滞在した時間は3倍以上だったんだとか…。
実験では捕食者の導入は行われませんでしたが、こうした行動をとるザリガニは、野生においてはアライグマ、キツネ、大型の魚、鳥などの捕食者に食べられる可能性が高くなるだろうと、科学者らは考えています。
ザリガニは、川の中の落ち葉や水生昆虫の主要な消費者のひとつであるため、彼らの行動への影響は、生態系の広い範囲に及ぶ可能性があると…。
今回の論文においては、シタロプラムにさらされていた間に、水中の藻類や有機化合物のレベルが上昇したことが指摘されています。
これについて研究者らは、食事をしたザリガニがより多くの栄養分を排泄し、それによって藻類の成長が促された、あるいは、ザリガニの動きが活発になることで、藻類や栄養分が流れの底に沈むのが妨げられたのではないかと推測しています。
この実験は屋内で行われたものであり、そこには現実世界の条件がすべて含まれていたわけではないですが、それでも、ザリガニがさらされた薬剤の濃度は、川や池で遭遇する可能性があり、一部の下水処理施設のすぐ下流では確実に発生するレベルのものだそうです。
抗うつ剤はさまざまな経路を通って生物を汚染します。
ザリガニはエラから、またはえさである有機堆積物を介して化学物質を吸収します。
一方、ザリガニをはじめとする抗うつ剤を吸収した小動物を食べる捕食者にも、そうした汚染物質は蓄積されていきます。
まぁ、微量ではあるんでしょうけど、よく考えたら人間用の薬なわけで、大きさで言えばザリガニなんて一般的なサイズなら、20〜30gほどですし、人間のサイズから考えると微量ってことはないのかもしれませんな。
服用した薬が体内から排出されるって事は仕方ないにしても、未使用の薬を流したりすることには、注意を向ける必要があるでしょうね。
てか、薬って飲まない分、捨てますよね?
なにもわざわざ流さなくてもいいのになぁと、普通に思いますが…。
日本はそこまで抗うつ剤を使用する頻度は高くないと思いますが、こういったことがあると知っておくことは大事ですよね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院