覚醒障害
2022年07月13日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
7月13日の水曜日でございます。
毎日のように言ってる気もしますが、祇園祭ですなぁ。
そして夏ですな。
これからさらに気温が上がって寝苦しい毎日ですが、今日のネタはそんな眠りの科学に迫ってみたいと思います。
みなさんは、「覚醒障害」なる言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは、寝起きのことで、上手く覚醒できない人達のお話しです。
よく、小さな子供がご飯を食べながら眠ってしまう動画なんかを目にしますが、子どもは大人に比べて眠気に抵抗する力が弱く、いったん眠くなると、美味しいものを食べていようが、好きなおもちゃで遊んでいる最中だろうが、あっという間に寝落ちをしてしまいます。
大人の場合には、よほどの睡眠不足でもなければ、大事なこと、関心のある事をしている最中に不可抗力的に短時間で寝落ちしてしまうことはありません。
眠気に抗しがたいのは目覚めるときも同様で、大人の場合、目覚ましが鳴れば眠気に抗して目覚めることができるんですが、子どもはそうはいきません。
例えば、普段よりも早い時間に起きなくてはならない時、親が声をかけてもなかなか目覚めず、ボンヤリ状態のまま親が着替えを手伝って、それでもしっかりと目覚めないこともあるでしょう。
このように、子どもは睡眠と覚醒の切り替えに時間がかかり、スイッチを入れるようにパチッと目覚めるのが苦手なわけです。
時にはこの切り替えがうまくいかず、睡眠と覚醒の狭間(はざま)で異常な行動をしてしまうこともあり、睡眠障害の診断が付くこともあります。
そのような疾患の代表が、一般にもよく知られている「夢遊病」ってヤツで、現在の診断基準では「睡眠時遊行症(すいみんじゆうこうしょう)」と命名されています。
睡眠時遊行症の子どもは、見た目は眠りから覚めているように見えるのですが、目的も無くウロウロと動き回ったり、声かけにも反応せずボンヤリしたまま壁を見つめ続けるなど不可解な行動をとります。
ま、本人は寝てるんですから、不可解でも当然なんですがね。
ですがこの病気のメカニズムはまだ十分には解明されてなく、深いノンレム睡眠から異常行動が生じることが多いとされています。
認知機能に関わる脳部位(前頭葉)や記憶を司る海馬などは睡眠状態ですが、運動を司る脳部位(運動野)などは覚醒に近い状態であるなど、まだら状に覚醒している(眠っている)という研究報告もあります。
おそらく睡眠時遊行症では睡眠(特に深い睡眠)から覚醒に移行する機能が弱く、何らかの理由で睡眠が中断した際にしっかりと覚醒に移行できず、半覚醒のまま行動してしまうと考えられています。
同じように、不完全な目覚めが原因で生じる睡眠障害には、「錯乱性覚醒」と「睡眠時驚愕症(夜驚と呼ばれることもある)」があります。
錯乱性覚醒は起床時に周囲の状況がすぐに飲み込めず精神的に混乱するのが特徴で、この困惑状態が1時間も続くことがあります。
睡眠時驚愕症はやはり不完全な覚醒のために恐怖感から絶叫して暴れる、発汗、頻脈などパニック様の行動が見られます。
睡眠時驚愕症の持続時間は数分から10分程度なのですが、毎晩のように出現する子どもさんもおり、なだめても、あやしても全く効果が無く泣き叫ぶため、パパママともに不安と疲労から憔悴してしまうこともあります。
睡眠時遊行症、錯乱性覚醒、睡眠時驚愕症は共通してパチッと目覚める機能に問題があることから、3つ合わせて「覚醒障害」と呼びます。
以前は文字通り睡眠・覚醒移行障害と呼ばれた時期もありました。
こういった覚醒障害は子どもに多く、錯乱性覚醒や睡眠時遊行症は10歳以下の子どもの15%以上、睡眠時驚愕症は5%前後に認められるなど頻度は高いんですが、幸いなことに大部分のケースでは成長とともに自然に消退していきます。
ただし、「子どもの病気」というわけではなく、実は覚醒障害は成人になっても持続する人がそれなりにいます。
大人の覚醒障害についての調査によると、その頻度は年齢とともに減少するようですが、25〜44歳の若年〜中年層でもそれぞれ4.8%、2.1%、2.5%に見られ、45〜64歳の壮年〜初老期でもそれぞれ2%前後で残存しているそうなんです。
最も興味深いのは、これら覚醒障害が残存している人では、適応障害や双極性障害(躁うつ病)などメンタルヘルス問題を抱えている例が多く、双極性障害に至っては覚醒障害が無い人より13倍も罹りやすいという結果が出ているそうです。
双極性障害では睡眠リズムの乱れや日中の眠気など睡眠問題が多いことが以前から知られていましたが、その詳しい原因は分かっていません。
睡眠からスッキリと目覚める力が弱いことがその一因なのかもしれないわけですな。
朝起きて、シャキッと行動できないのは、仕事や学校が嫌だからと言う理由だけではないわけです。
こういう症状がある人は、一度調べてみた方がいいかもしれませんね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
7月13日の水曜日でございます。
毎日のように言ってる気もしますが、祇園祭ですなぁ。
そして夏ですな。
これからさらに気温が上がって寝苦しい毎日ですが、今日のネタはそんな眠りの科学に迫ってみたいと思います。
みなさんは、「覚醒障害」なる言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは、寝起きのことで、上手く覚醒できない人達のお話しです。
よく、小さな子供がご飯を食べながら眠ってしまう動画なんかを目にしますが、子どもは大人に比べて眠気に抵抗する力が弱く、いったん眠くなると、美味しいものを食べていようが、好きなおもちゃで遊んでいる最中だろうが、あっという間に寝落ちをしてしまいます。
大人の場合には、よほどの睡眠不足でもなければ、大事なこと、関心のある事をしている最中に不可抗力的に短時間で寝落ちしてしまうことはありません。
眠気に抗しがたいのは目覚めるときも同様で、大人の場合、目覚ましが鳴れば眠気に抗して目覚めることができるんですが、子どもはそうはいきません。
例えば、普段よりも早い時間に起きなくてはならない時、親が声をかけてもなかなか目覚めず、ボンヤリ状態のまま親が着替えを手伝って、それでもしっかりと目覚めないこともあるでしょう。
このように、子どもは睡眠と覚醒の切り替えに時間がかかり、スイッチを入れるようにパチッと目覚めるのが苦手なわけです。
時にはこの切り替えがうまくいかず、睡眠と覚醒の狭間(はざま)で異常な行動をしてしまうこともあり、睡眠障害の診断が付くこともあります。
そのような疾患の代表が、一般にもよく知られている「夢遊病」ってヤツで、現在の診断基準では「睡眠時遊行症(すいみんじゆうこうしょう)」と命名されています。
睡眠時遊行症の子どもは、見た目は眠りから覚めているように見えるのですが、目的も無くウロウロと動き回ったり、声かけにも反応せずボンヤリしたまま壁を見つめ続けるなど不可解な行動をとります。
ま、本人は寝てるんですから、不可解でも当然なんですがね。
ですがこの病気のメカニズムはまだ十分には解明されてなく、深いノンレム睡眠から異常行動が生じることが多いとされています。
認知機能に関わる脳部位(前頭葉)や記憶を司る海馬などは睡眠状態ですが、運動を司る脳部位(運動野)などは覚醒に近い状態であるなど、まだら状に覚醒している(眠っている)という研究報告もあります。
おそらく睡眠時遊行症では睡眠(特に深い睡眠)から覚醒に移行する機能が弱く、何らかの理由で睡眠が中断した際にしっかりと覚醒に移行できず、半覚醒のまま行動してしまうと考えられています。
同じように、不完全な目覚めが原因で生じる睡眠障害には、「錯乱性覚醒」と「睡眠時驚愕症(夜驚と呼ばれることもある)」があります。
錯乱性覚醒は起床時に周囲の状況がすぐに飲み込めず精神的に混乱するのが特徴で、この困惑状態が1時間も続くことがあります。
睡眠時驚愕症はやはり不完全な覚醒のために恐怖感から絶叫して暴れる、発汗、頻脈などパニック様の行動が見られます。
睡眠時驚愕症の持続時間は数分から10分程度なのですが、毎晩のように出現する子どもさんもおり、なだめても、あやしても全く効果が無く泣き叫ぶため、パパママともに不安と疲労から憔悴してしまうこともあります。
睡眠時遊行症、錯乱性覚醒、睡眠時驚愕症は共通してパチッと目覚める機能に問題があることから、3つ合わせて「覚醒障害」と呼びます。
以前は文字通り睡眠・覚醒移行障害と呼ばれた時期もありました。
こういった覚醒障害は子どもに多く、錯乱性覚醒や睡眠時遊行症は10歳以下の子どもの15%以上、睡眠時驚愕症は5%前後に認められるなど頻度は高いんですが、幸いなことに大部分のケースでは成長とともに自然に消退していきます。
ただし、「子どもの病気」というわけではなく、実は覚醒障害は成人になっても持続する人がそれなりにいます。
大人の覚醒障害についての調査によると、その頻度は年齢とともに減少するようですが、25〜44歳の若年〜中年層でもそれぞれ4.8%、2.1%、2.5%に見られ、45〜64歳の壮年〜初老期でもそれぞれ2%前後で残存しているそうなんです。
最も興味深いのは、これら覚醒障害が残存している人では、適応障害や双極性障害(躁うつ病)などメンタルヘルス問題を抱えている例が多く、双極性障害に至っては覚醒障害が無い人より13倍も罹りやすいという結果が出ているそうです。
双極性障害では睡眠リズムの乱れや日中の眠気など睡眠問題が多いことが以前から知られていましたが、その詳しい原因は分かっていません。
睡眠からスッキリと目覚める力が弱いことがその一因なのかもしれないわけですな。
朝起きて、シャキッと行動できないのは、仕事や学校が嫌だからと言う理由だけではないわけです。
こういう症状がある人は、一度調べてみた方がいいかもしれませんね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院