遺伝子の争い
2022年02月10日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
2月10日の木曜日でございます。
2月も1/3が過ぎました。
まだ寒いですなぁ…。
春が待ち遠しい日々でございます。
では、今日もネタにいきますが、人間は産れてくる時、基本的に父親と母親の遺伝子を両方受け継ぎます。
ですが、これにはバランスがあり、例えば姿形は父親似でも性格は母親似だったり、もっと言えば、顔は父親似でも体型は母親似とか、色々なパターンがあります。
で、兄弟姉妹でも全く違う受け継ぎ方をする場合が頻繁にあります。
まぁ、性格や体型などは後天的な要素も多分にありますが、こういった遺伝子の「振り分け」ってのは、何を基準に行われてるんでしょう。
つまり、父親の遺伝子と母親の遺伝子、どちらをどう受け継がせるか、これを決定してるものはなんのなか…。
きょうのお話しは、そういった疑問の回答に少し近づいたお話しでございます。
この父母の遺伝子、実はすでに子宮の中にいるときから、戦いが始まっているんだとか…。
英ケンブリッジ大学の研究グループがマウスの胎児が成長する様子を調べてみたところ、母由来の遺伝子と父由来の遺伝子が、しれつな栄養の争奪戦を繰り広げていることが明らかになったんだそうです。
この発見により、子宮内であまり成長できない赤ちゃんがいる理由も説明できるかもしれないという事らしいです。
お腹の中の胎児は、自分と母親、両方の細胞が混ざった「胎盤の血管」を通じて、母体から栄養をもらっています。
そして胎内で、大きくなるにつれ、たくさんの栄養を必要とするわけです。
ですから成長したら、「へその緒(臍帯)」から母親にサインを送って、栄養が欲しいとせがむんだそうです。
で、おねだりされた母体は、我が子にもっと栄養を与えられるよう胎盤の血管を広げ、さらに細胞も変化させるんだとか…。
たとえば人間の場合、胎盤の血管は妊娠中期から後期にかけて一気に拡大し、出産間近になれば総延長320キロにまで広がるそうなんです。
ところが中には発育の悪い胎児もいます。
そうした赤ちゃんでは、胎盤の血管の発育も悪いことがしばしばです。
胎盤の血管の大きさが、胎児の成長にはそれだけ重要であるということなんですね。
ちなみに胎児が出す「おねだりサイン」の正体は、へその緒を介して胎盤に伝えられる「インスリン様成長因子2(IGF2)」というホルモンです。
人間の場合、へその緒に含まれるIGF2濃度は徐々に上昇し、妊娠29週から満期で最大になります。
これは多すぎても、少なすぎてもいけないものなんです。
多すぎれば赤ちゃんが大きくなりすぎますし、少なければ発育が悪くなります。
赤ちゃんは大きすぎても小さすぎても、お産が大変になるわけです。
また大人になってからも糖尿病や心臓病にかかるリスクが高いと言われています。
最新の研究では、遺伝子操作されたマウスを使って、この「おねだりサイン」が観察されました。
そして明らかになったのは、子宮の中で、父方と母方の遺伝子が胎児に与える栄養をめぐって夫婦喧嘩をしているということなんだそうです。
胎児からIGF2が送られてくると、母体は「IGF2受容体(IGF2R)」を媒介にして、その増加に反応します。
IGF2もIGF2Rも、それぞれの情報を保存する遺伝子によって作られているんですが、じつはこれらの遺伝子には父母どちらからもらったのかの記録もあるんだそうです。
そして、母由来か父由来かでスイッチの入り方が違うんだそうです。
IGF2を作る遺伝子でスイッチが入るのは、父親からもらったものだけなんだそうで、その反対にIGF2Rを作る遺伝子でスイッチが入るのは、母親からもらったものだけなんだとか…。
このように母由来か父由来かで発現の仕方が変わることを「ゲノム刷り込み」や「ゲノム・インプリンティング」といいます。
今回の研究の主執筆者ミゲル・コンスタンシア博士は、「一説によると、このようなことが起きるのは、父由来の発現遺伝子が貪欲で、利己的だからであるそうです」と説明しています。
そうした父由来の遺伝子は、母体からできる限り多くの資源を手に入れようとします。
すると母由来の遺伝子が、バランスを取ろうとそれに対抗すると…。
今回の研究からは、父由来の遺伝子が、より大きな血管と多くの栄養を求めるよう胎児にうながす一方、胎盤にある母由来の遺伝子が、母体から提供される栄養の量を調整していることが明らかになったそうなんです。
「ゲノムレベルで男女間の綱引きが行われています」と、コンスタンシア博士は話します。
研究グループによると、こうした発見のおかげで、お腹の中の胎児・胎盤・母体が互いに連絡を取り合う方法について、理解を深めることができるとのことです。
また、胎児が持つIGF2を測定する方法や、薬でIGF2の量を適切に調整し、胎盤の血管の正常な発育をうながす方法を考案できる可能性もあるそうなので、今後の研究に期待しましょう。
遺伝子の謎…
これもまだまだ解明されていないものがたくさんありますが、いつかその全容が分かる日が来るんでしょう。
ですが、それらが「デザイナーベイビー」問題に拍車をかけないか心配ではありますけどね。
どんな親でも、我が子を出来るだけ優秀に生みたいと思うのは当たり前ですからねぇ…。
そもそもそれこそが、生物の一番の目的であり、本能なんですからね。
研究と倫理は表裏一体ですが、ヒトの知識欲はきっとそれらを上回るんでしょうねぇ。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
2月10日の木曜日でございます。
2月も1/3が過ぎました。
まだ寒いですなぁ…。
春が待ち遠しい日々でございます。
では、今日もネタにいきますが、人間は産れてくる時、基本的に父親と母親の遺伝子を両方受け継ぎます。
ですが、これにはバランスがあり、例えば姿形は父親似でも性格は母親似だったり、もっと言えば、顔は父親似でも体型は母親似とか、色々なパターンがあります。
で、兄弟姉妹でも全く違う受け継ぎ方をする場合が頻繁にあります。
まぁ、性格や体型などは後天的な要素も多分にありますが、こういった遺伝子の「振り分け」ってのは、何を基準に行われてるんでしょう。
つまり、父親の遺伝子と母親の遺伝子、どちらをどう受け継がせるか、これを決定してるものはなんのなか…。
きょうのお話しは、そういった疑問の回答に少し近づいたお話しでございます。
この父母の遺伝子、実はすでに子宮の中にいるときから、戦いが始まっているんだとか…。
英ケンブリッジ大学の研究グループがマウスの胎児が成長する様子を調べてみたところ、母由来の遺伝子と父由来の遺伝子が、しれつな栄養の争奪戦を繰り広げていることが明らかになったんだそうです。
この発見により、子宮内であまり成長できない赤ちゃんがいる理由も説明できるかもしれないという事らしいです。
お腹の中の胎児は、自分と母親、両方の細胞が混ざった「胎盤の血管」を通じて、母体から栄養をもらっています。
そして胎内で、大きくなるにつれ、たくさんの栄養を必要とするわけです。
ですから成長したら、「へその緒(臍帯)」から母親にサインを送って、栄養が欲しいとせがむんだそうです。
で、おねだりされた母体は、我が子にもっと栄養を与えられるよう胎盤の血管を広げ、さらに細胞も変化させるんだとか…。
たとえば人間の場合、胎盤の血管は妊娠中期から後期にかけて一気に拡大し、出産間近になれば総延長320キロにまで広がるそうなんです。
ところが中には発育の悪い胎児もいます。
そうした赤ちゃんでは、胎盤の血管の発育も悪いことがしばしばです。
胎盤の血管の大きさが、胎児の成長にはそれだけ重要であるということなんですね。
ちなみに胎児が出す「おねだりサイン」の正体は、へその緒を介して胎盤に伝えられる「インスリン様成長因子2(IGF2)」というホルモンです。
人間の場合、へその緒に含まれるIGF2濃度は徐々に上昇し、妊娠29週から満期で最大になります。
これは多すぎても、少なすぎてもいけないものなんです。
多すぎれば赤ちゃんが大きくなりすぎますし、少なければ発育が悪くなります。
赤ちゃんは大きすぎても小さすぎても、お産が大変になるわけです。
また大人になってからも糖尿病や心臓病にかかるリスクが高いと言われています。
最新の研究では、遺伝子操作されたマウスを使って、この「おねだりサイン」が観察されました。
そして明らかになったのは、子宮の中で、父方と母方の遺伝子が胎児に与える栄養をめぐって夫婦喧嘩をしているということなんだそうです。
胎児からIGF2が送られてくると、母体は「IGF2受容体(IGF2R)」を媒介にして、その増加に反応します。
IGF2もIGF2Rも、それぞれの情報を保存する遺伝子によって作られているんですが、じつはこれらの遺伝子には父母どちらからもらったのかの記録もあるんだそうです。
そして、母由来か父由来かでスイッチの入り方が違うんだそうです。
IGF2を作る遺伝子でスイッチが入るのは、父親からもらったものだけなんだそうで、その反対にIGF2Rを作る遺伝子でスイッチが入るのは、母親からもらったものだけなんだとか…。
このように母由来か父由来かで発現の仕方が変わることを「ゲノム刷り込み」や「ゲノム・インプリンティング」といいます。
今回の研究の主執筆者ミゲル・コンスタンシア博士は、「一説によると、このようなことが起きるのは、父由来の発現遺伝子が貪欲で、利己的だからであるそうです」と説明しています。
そうした父由来の遺伝子は、母体からできる限り多くの資源を手に入れようとします。
すると母由来の遺伝子が、バランスを取ろうとそれに対抗すると…。
今回の研究からは、父由来の遺伝子が、より大きな血管と多くの栄養を求めるよう胎児にうながす一方、胎盤にある母由来の遺伝子が、母体から提供される栄養の量を調整していることが明らかになったそうなんです。
「ゲノムレベルで男女間の綱引きが行われています」と、コンスタンシア博士は話します。
研究グループによると、こうした発見のおかげで、お腹の中の胎児・胎盤・母体が互いに連絡を取り合う方法について、理解を深めることができるとのことです。
また、胎児が持つIGF2を測定する方法や、薬でIGF2の量を適切に調整し、胎盤の血管の正常な発育をうながす方法を考案できる可能性もあるそうなので、今後の研究に期待しましょう。
遺伝子の謎…
これもまだまだ解明されていないものがたくさんありますが、いつかその全容が分かる日が来るんでしょう。
ですが、それらが「デザイナーベイビー」問題に拍車をかけないか心配ではありますけどね。
どんな親でも、我が子を出来るだけ優秀に生みたいと思うのは当たり前ですからねぇ…。
そもそもそれこそが、生物の一番の目的であり、本能なんですからね。
研究と倫理は表裏一体ですが、ヒトの知識欲はきっとそれらを上回るんでしょうねぇ。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院