ネアンデルタール人は痛いのキライ。
2021年11月26日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
11月26日の金曜日でございます。
だいぶ寒さが本格的になってきましたね。
やはり人間、寒いと色々身体に不具合が生じます。
寒さから痛みが出たり、乾燥するんで肌荒れなんかも起きやすいです。
肌荒れなんかも、カサカサするだけならまだいいですが、アカギレになって割れてきたりすると、こりゃもう鬱陶しいくらい痛いです(笑)
わたくし院長も、結構冬場はこのアカギレに悩まされて、しょっちゅう血が出てます。
てな、辛い冬ですが、今日は冬に関係なく痛みに関するお話しでもしてみようかと思います。
そもそも痛みとは、自分が勝手に痛いと思う事であって、特にいわゆる「傷」がない痛みの場合、他人からは分かり辛いものです。
腰が痛い、膝が痛い、肩が痛い…。
この3つは、接骨院に来られる患者さんのビッグ3ですが、外傷がない場合、本人申告の痛みです。
ですから、痛みに強い人、弱い人によって申告具合が違うので、なかなか微妙な場合があるんですよね。
では、この痛みに対する閾値(ある反応を起こさせる、最低の刺激量)の違いとはなんなんでしょう?
この問題について面白い研究がありましたので、ご紹介したいと思います。
ヨーロッパで行われた共同研究によると、すでに絶滅してしまったネアンデルタール人の遺伝子が変異し、痛みに対してより敏感になってしまったことがわかったそうなんです。
しかも、この遺伝子は一部の現代人に引き継がれており、通常より痛みに敏感な可能性があるんだとか…。
ネアンデルタール人は、体が頑丈でタフだと一般的には思われているようなんですが、どうやらちょっと違ったようなんです。
ドイツのマックスプランク研究所、スウェーデンのカロリンスカ研究所の進化遺伝学者たちが、ロシアやクロアチアの洞窟で発見されたネアンデルタール人の遺骨から、最先端技術を使ったゲノム研究を行ないました。
古代人のゲノムから、変異を特定するのは大変な作業ですが、これらのサンプルが非常に高品質なゲノムだったので、現代人にも通じる痛みに関する遺伝子の珍しい変異を見つけ出すことができたそうなんです。
研究者たちは、Nav1.7というタンパク質を暗号化する遺伝子SCN9Aを特定しました。
Nav1.7は、痛みの信号を伝えるチャンネルのようなもので、ネアンダルタール人は、このタンパク質の形状を変化させる3つの変異を持っていたことがわかりました。
これは、ネアンデルタール人の中では一般的だったようで、タンパク質はメッセージを伝える大切なもので、痛みの信号を脳や脊髄に送ります。
Nav1.7は、神経線維の痛みの強さを伝える、いわば、ボリュームのつまみのようなものらしく、人がもつそれぞれの変異によって、常に痛みを感じる人と、まったく痛みを感じない人の違いが出てくるそうなんです。
痛みは、体のどこかに痛みや不快感を感じると刺激される特殊な神経細胞を通して、伝達されます。
ネアンデルタール人がもっていた3つの変異は、Nav1.7を攻撃的なチャンネルに変えてしまい、変異がない人よりもずっと早く痛みのインパルスをスタートさせることができるそうなんです。
今回突きとめた変異が、ネアンデルタール人が現代人よりもより痛みを感じやすかったことを示しているってことのようなんですな。
そしてこれは、いきあたりばったりのでたらめな変異ではなく、進化による結果のようなんです。
がっしりした体躯をもつネアンデルタール人でも、かなり過酷な環境で怪我を負うことはしょっちゅうだったんでしょう。
痛みのボリュームつまみを上げることは、怪我に対処するのに役にたった可能性があります。
つまり、痛みの感受性が低いと、生き延びる確率が下がるわけですね。
この発見は、現代人の痛みの体験を理解する上で重要な意味をもちます。
ネアンデルタール人と現代人は、共通の祖先をもちますが、30万年前から8万年前の間に枝分かれしました。
ネアンデルタール人はおもにユーラシア大陸に住み、ホモサピエンスと頻繁に交わっていました。
その結果、現代でも多くの人がネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいることがわかっています。
ネアンデルタール人の変異遺伝子を受け継いだ現代のイギリス人は、生活の中でより痛みに敏感であることが報告されています。
彼らのイオンチャンネルは、簡単に活性化し、痛いという信号をやたら脳に送ってしまいます。
現代人でも、3つのアミノ酸置換をもつ完全なネアンデルタール変異体をもつ人たちは、とくに痛みに過剰に反応する傾向にあるようで、歯医者や注射を異様に嫌がったりするそうです。
とはいえ、負傷やわずかな体調の変化にも早めに対処できるということもあり、痛みを感じやすいことは必ずしも悪いことではありません。
痛くないから放置するということは往々にしてありますからね。
では、このネアンデルタール人の遺伝子ですが、我々日本人が受け継いでいる事はあるのでしょうか?
基本的には、ネアンデルタール人はヨーロッパ人に、ジャワ原人はオーストラリアの先住民のアボリジニに、北京原人は東アジア人にと、それぞれの地域の現代人に移行しました。
ですから、この遺伝子は日本人にはないんじゃないのかなぁ…。
とは言え、ネアンデルタール人の遺伝子が絶対にないとは言い切れません。
人より痛みに敏感で、いわゆる「痛がり」だと思う人は、ひょっとしてこの遺伝子をもってるのかもしれませんねぇ。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
11月26日の金曜日でございます。
だいぶ寒さが本格的になってきましたね。
やはり人間、寒いと色々身体に不具合が生じます。
寒さから痛みが出たり、乾燥するんで肌荒れなんかも起きやすいです。
肌荒れなんかも、カサカサするだけならまだいいですが、アカギレになって割れてきたりすると、こりゃもう鬱陶しいくらい痛いです(笑)
わたくし院長も、結構冬場はこのアカギレに悩まされて、しょっちゅう血が出てます。
てな、辛い冬ですが、今日は冬に関係なく痛みに関するお話しでもしてみようかと思います。
そもそも痛みとは、自分が勝手に痛いと思う事であって、特にいわゆる「傷」がない痛みの場合、他人からは分かり辛いものです。
腰が痛い、膝が痛い、肩が痛い…。
この3つは、接骨院に来られる患者さんのビッグ3ですが、外傷がない場合、本人申告の痛みです。
ですから、痛みに強い人、弱い人によって申告具合が違うので、なかなか微妙な場合があるんですよね。
では、この痛みに対する閾値(ある反応を起こさせる、最低の刺激量)の違いとはなんなんでしょう?
この問題について面白い研究がありましたので、ご紹介したいと思います。
ヨーロッパで行われた共同研究によると、すでに絶滅してしまったネアンデルタール人の遺伝子が変異し、痛みに対してより敏感になってしまったことがわかったそうなんです。
しかも、この遺伝子は一部の現代人に引き継がれており、通常より痛みに敏感な可能性があるんだとか…。
ネアンデルタール人は、体が頑丈でタフだと一般的には思われているようなんですが、どうやらちょっと違ったようなんです。
ドイツのマックスプランク研究所、スウェーデンのカロリンスカ研究所の進化遺伝学者たちが、ロシアやクロアチアの洞窟で発見されたネアンデルタール人の遺骨から、最先端技術を使ったゲノム研究を行ないました。
古代人のゲノムから、変異を特定するのは大変な作業ですが、これらのサンプルが非常に高品質なゲノムだったので、現代人にも通じる痛みに関する遺伝子の珍しい変異を見つけ出すことができたそうなんです。
研究者たちは、Nav1.7というタンパク質を暗号化する遺伝子SCN9Aを特定しました。
Nav1.7は、痛みの信号を伝えるチャンネルのようなもので、ネアンダルタール人は、このタンパク質の形状を変化させる3つの変異を持っていたことがわかりました。
これは、ネアンデルタール人の中では一般的だったようで、タンパク質はメッセージを伝える大切なもので、痛みの信号を脳や脊髄に送ります。
Nav1.7は、神経線維の痛みの強さを伝える、いわば、ボリュームのつまみのようなものらしく、人がもつそれぞれの変異によって、常に痛みを感じる人と、まったく痛みを感じない人の違いが出てくるそうなんです。
痛みは、体のどこかに痛みや不快感を感じると刺激される特殊な神経細胞を通して、伝達されます。
ネアンデルタール人がもっていた3つの変異は、Nav1.7を攻撃的なチャンネルに変えてしまい、変異がない人よりもずっと早く痛みのインパルスをスタートさせることができるそうなんです。
今回突きとめた変異が、ネアンデルタール人が現代人よりもより痛みを感じやすかったことを示しているってことのようなんですな。
そしてこれは、いきあたりばったりのでたらめな変異ではなく、進化による結果のようなんです。
がっしりした体躯をもつネアンデルタール人でも、かなり過酷な環境で怪我を負うことはしょっちゅうだったんでしょう。
痛みのボリュームつまみを上げることは、怪我に対処するのに役にたった可能性があります。
つまり、痛みの感受性が低いと、生き延びる確率が下がるわけですね。
この発見は、現代人の痛みの体験を理解する上で重要な意味をもちます。
ネアンデルタール人と現代人は、共通の祖先をもちますが、30万年前から8万年前の間に枝分かれしました。
ネアンデルタール人はおもにユーラシア大陸に住み、ホモサピエンスと頻繁に交わっていました。
その結果、現代でも多くの人がネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいることがわかっています。
ネアンデルタール人の変異遺伝子を受け継いだ現代のイギリス人は、生活の中でより痛みに敏感であることが報告されています。
彼らのイオンチャンネルは、簡単に活性化し、痛いという信号をやたら脳に送ってしまいます。
現代人でも、3つのアミノ酸置換をもつ完全なネアンデルタール変異体をもつ人たちは、とくに痛みに過剰に反応する傾向にあるようで、歯医者や注射を異様に嫌がったりするそうです。
とはいえ、負傷やわずかな体調の変化にも早めに対処できるということもあり、痛みを感じやすいことは必ずしも悪いことではありません。
痛くないから放置するということは往々にしてありますからね。
では、このネアンデルタール人の遺伝子ですが、我々日本人が受け継いでいる事はあるのでしょうか?
基本的には、ネアンデルタール人はヨーロッパ人に、ジャワ原人はオーストラリアの先住民のアボリジニに、北京原人は東アジア人にと、それぞれの地域の現代人に移行しました。
ですから、この遺伝子は日本人にはないんじゃないのかなぁ…。
とは言え、ネアンデルタール人の遺伝子が絶対にないとは言い切れません。
人より痛みに敏感で、いわゆる「痛がり」だと思う人は、ひょっとしてこの遺伝子をもってるのかもしれませんねぇ。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院