シッポな話し。
2021年11月04日 [動物のこと]
お疲れ様です。院長です。
11月4日の木曜日でございます。
昼間はまだ暑い日もありますが、朝晩は寒くなってきましたねぇ。
やっぱり冬って季節は、生物には生きにくい季節ですな。
冬眠する動物たちの気持ちが分かりますぜ。
もう、ずっと寝てたい、起きたくない(笑)
そう思う、寒い朝です。
ってことで、今日もネタにいきますが、今日は動物の「尻尾」のお話しです。
動物界では、尾というものは基本、標準装備で、その存在にはもっともな理由があります。
魚にとっては推進力になり、ウシにとってはハエたたき代わりになり、ワニは尾に脂肪を蓄えています。
サルは尻尾でバランスをとり、物をつかんだりさえできます。
人間も、実は胎児の頃には尻尾があり、この世に生まれ落ちる頃にはそれが衰退して椎骨と融合し消えてしまいます。
尾てい骨として知られている尾骨が尾の名残とされています。
ではなぜ人間は尻尾を持たなくなったのでしょう?
その理由がわかるかもしれない遺伝子が特定されたんだとか…。
どうやら突然変異による可能性があるそうなんです。
尾てい骨は、進化の過程のどこかでなにかが起こって、人類が尻尾を失うことになったことを示す厳然たる証拠です。
しかし、尾がないのは人間だけではありません。
ゴリラ、オラウータン、チンパンジー、ボノボなど、いわゆる霊長目ヒト科の仲間は皆、尻尾がありません。
さらに、テナガザルのような小型のサルにも尾がないものがいます。
これはどういうことなんでしょう?
霊長類の最古の化石は、およそ6600万年前の恐竜が絶滅したのと同時期のものとされています。
このご先祖さまたちには、本格的な尾があり、木が生い茂る森の中で生活するのに手軽に使うことができたと思われます。
柔軟に動くこの体のパーツの有用性は、長い年月がたってもなお、現存している霊長類のほとんどが相変わらず尾を持っていることから明らかです。
一方で、化石骨格からよく知られている、もっとも原始的な類人猿、プロコンスル(霊長目)がおよそ2000万年前に登場したときには、まったく尾がありませんでした。
なぜ、人類ともっとも近い親戚は尾を失ったのか?
これは以前からずっと議論されてきた謎なんですね。
生物学者が注目したのは、類人猿は尻尾がなくなったことで、腰部が短くなり、直立姿勢で歩くことが可能になったということです。
ですが一方で、新世界ザル(広鼻小目)はいまだに四つん這いで歩きます。
このように、尻尾の喪失はサルの祖先が樹上生活を捨てて、地面に降りて歩き始めたという特定の環境への適応だと見ることができるわけです。
初期の人類は、ちょっとした調整を行いながら、歩くだけでなく、草原を走ることもできるようになりました。
ですが、最新の研究によると、人間に尻尾がない原因は、突然変異のせいかもしれないと…。
ニューヨーク大学グロスマン医学校の幹細胞生物学を専攻する大学院生ボウ・シャーは、なぜ人間に尻尾がないのか、ずっと疑問に思ってきた一人です。
科学者として彼は、分子レベルで注目して、この疑問の答えを見つけようと努めています。
まずは、動物たちの尾の形状を調べるところから始めました。
すると、胚の発達初期に、いくつかの遺伝子のスイッチがオンになって、幹細胞に対して、首や腰、最終的に尾を形成する脊椎や筋肉など一連の重要な骨格構造に成長するよう指示することを発見したそうなんです。
さまざまな種の尾を発達させるのに基礎となる遺伝子は、およそ30あることがわかっています。
そこで、尾のないサル6種と、尾のあるサル9種の遺伝子を比較したところ、霊長目ヒト科(類人猿)と人間には共通しますが、サルにはない突然変異が見つかったらしいんです。
この変異は、TBXTと呼ばれる遺伝子に影響します。
このTBXTは、1世紀以上前に初めて見つかった遺伝子のひとつで、尾や背骨の形成にかかわる重要な遺伝子です。
今回、シャーが発見した変異は、このTBXT遺伝子の真ん中にあり、実質的には人間と他の類人猿でほとんど同じものでした。
マウスを遺伝子操作して、TBXT遺伝子を変異させたところ、驚いたことに、多くの胎児には尻尾がなくなるか、切り株のように非常に短くなったそうなんです。
ヒト科動物の系統で尾の喪失が選択されたのは、神経管欠損の可能性という適応コストと関係があり、この古代の進化上のトレードオフが、今日の人類の健康に影響を与え続けているのはないかと思われます。
およそ2000万年前、古代のサルはこの突然変異をもって生まれ、それにもかかわらず、というよりそのおかげで、著しく繁殖して、それを子孫に伝えてきたわけです。
最終的に、TBXT遺伝子の変異は類人猿のゲノムの顕著な特徴になったわけですが、それだけではないようなんです。
遺伝子操作されたマウスの胎児の短い尾は、さまざまな形をしていました。
しかし、人間の尾てい骨は基本的に個人差はあまりなく、ほかの変異が尾てい骨の形成に関与している可能性も考えられるんだとか…。
まぁ、結論はまだ出てないようですが、こんな事ホントどっちでも良いというか(笑)
この研究者の探求心というものには、いつも感心させられますね。
サルからヒトへ…。
もちろん、進化したんでしょうけど、失ったものもたくさんあるでしょう。
これから、数千年、数万年後の人類にも、何らかの進化がみられるかもしれません。
そっちの方が興味あるけどね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
11月4日の木曜日でございます。
昼間はまだ暑い日もありますが、朝晩は寒くなってきましたねぇ。
やっぱり冬って季節は、生物には生きにくい季節ですな。
冬眠する動物たちの気持ちが分かりますぜ。
もう、ずっと寝てたい、起きたくない(笑)
そう思う、寒い朝です。
ってことで、今日もネタにいきますが、今日は動物の「尻尾」のお話しです。
動物界では、尾というものは基本、標準装備で、その存在にはもっともな理由があります。
魚にとっては推進力になり、ウシにとってはハエたたき代わりになり、ワニは尾に脂肪を蓄えています。
サルは尻尾でバランスをとり、物をつかんだりさえできます。
人間も、実は胎児の頃には尻尾があり、この世に生まれ落ちる頃にはそれが衰退して椎骨と融合し消えてしまいます。
尾てい骨として知られている尾骨が尾の名残とされています。
ではなぜ人間は尻尾を持たなくなったのでしょう?
その理由がわかるかもしれない遺伝子が特定されたんだとか…。
どうやら突然変異による可能性があるそうなんです。
尾てい骨は、進化の過程のどこかでなにかが起こって、人類が尻尾を失うことになったことを示す厳然たる証拠です。
しかし、尾がないのは人間だけではありません。
ゴリラ、オラウータン、チンパンジー、ボノボなど、いわゆる霊長目ヒト科の仲間は皆、尻尾がありません。
さらに、テナガザルのような小型のサルにも尾がないものがいます。
これはどういうことなんでしょう?
霊長類の最古の化石は、およそ6600万年前の恐竜が絶滅したのと同時期のものとされています。
このご先祖さまたちには、本格的な尾があり、木が生い茂る森の中で生活するのに手軽に使うことができたと思われます。
柔軟に動くこの体のパーツの有用性は、長い年月がたってもなお、現存している霊長類のほとんどが相変わらず尾を持っていることから明らかです。
一方で、化石骨格からよく知られている、もっとも原始的な類人猿、プロコンスル(霊長目)がおよそ2000万年前に登場したときには、まったく尾がありませんでした。
なぜ、人類ともっとも近い親戚は尾を失ったのか?
これは以前からずっと議論されてきた謎なんですね。
生物学者が注目したのは、類人猿は尻尾がなくなったことで、腰部が短くなり、直立姿勢で歩くことが可能になったということです。
ですが一方で、新世界ザル(広鼻小目)はいまだに四つん這いで歩きます。
このように、尻尾の喪失はサルの祖先が樹上生活を捨てて、地面に降りて歩き始めたという特定の環境への適応だと見ることができるわけです。
初期の人類は、ちょっとした調整を行いながら、歩くだけでなく、草原を走ることもできるようになりました。
ですが、最新の研究によると、人間に尻尾がない原因は、突然変異のせいかもしれないと…。
ニューヨーク大学グロスマン医学校の幹細胞生物学を専攻する大学院生ボウ・シャーは、なぜ人間に尻尾がないのか、ずっと疑問に思ってきた一人です。
科学者として彼は、分子レベルで注目して、この疑問の答えを見つけようと努めています。
まずは、動物たちの尾の形状を調べるところから始めました。
すると、胚の発達初期に、いくつかの遺伝子のスイッチがオンになって、幹細胞に対して、首や腰、最終的に尾を形成する脊椎や筋肉など一連の重要な骨格構造に成長するよう指示することを発見したそうなんです。
さまざまな種の尾を発達させるのに基礎となる遺伝子は、およそ30あることがわかっています。
そこで、尾のないサル6種と、尾のあるサル9種の遺伝子を比較したところ、霊長目ヒト科(類人猿)と人間には共通しますが、サルにはない突然変異が見つかったらしいんです。
この変異は、TBXTと呼ばれる遺伝子に影響します。
このTBXTは、1世紀以上前に初めて見つかった遺伝子のひとつで、尾や背骨の形成にかかわる重要な遺伝子です。
今回、シャーが発見した変異は、このTBXT遺伝子の真ん中にあり、実質的には人間と他の類人猿でほとんど同じものでした。
マウスを遺伝子操作して、TBXT遺伝子を変異させたところ、驚いたことに、多くの胎児には尻尾がなくなるか、切り株のように非常に短くなったそうなんです。
ヒト科動物の系統で尾の喪失が選択されたのは、神経管欠損の可能性という適応コストと関係があり、この古代の進化上のトレードオフが、今日の人類の健康に影響を与え続けているのはないかと思われます。
およそ2000万年前、古代のサルはこの突然変異をもって生まれ、それにもかかわらず、というよりそのおかげで、著しく繁殖して、それを子孫に伝えてきたわけです。
最終的に、TBXT遺伝子の変異は類人猿のゲノムの顕著な特徴になったわけですが、それだけではないようなんです。
遺伝子操作されたマウスの胎児の短い尾は、さまざまな形をしていました。
しかし、人間の尾てい骨は基本的に個人差はあまりなく、ほかの変異が尾てい骨の形成に関与している可能性も考えられるんだとか…。
まぁ、結論はまだ出てないようですが、こんな事ホントどっちでも良いというか(笑)
この研究者の探求心というものには、いつも感心させられますね。
サルからヒトへ…。
もちろん、進化したんでしょうけど、失ったものもたくさんあるでしょう。
これから、数千年、数万年後の人類にも、何らかの進化がみられるかもしれません。
そっちの方が興味あるけどね。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院