脳ペースメーカー
2021年10月29日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
10月29日の金曜日でございます。
長かったコロナ禍も、ちょっと下火になってきております。
もちろん、油断は禁物ですが、それでも日常が戻りつつある喜びは隠しきれませんな。
かれこれ2年以上続いていますし、この間、体調を崩したり、経済の圧迫からうつ病になる患者が増えたと言う事は、よく耳にすると思います。
このうつ病というもの、目に見える症状があるわけではないので、なかなか発見もしにくいですし、日本では特に社会的に認知されにくい部分もあります。
一昔前までは、「怠け病」なんて呼ばれてたこともあったようですからね。
で、このうつ病を患う多くの人にとって、抗うつ剤は重要な役割を果たします。
ですが、薬を使った標準的な治療を一定期間行っても、病気が改善しない患者も多く存在するんです。
そこで今回、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、脳に電気刺激を与え、特定部位の活動を抑えるデバイスを埋め込むという、新たな治療法を開発しました。
まだまだ開発初期の医療技術ですが、抗うつ剤の患者の症状が改善されたという報告もあるようです。
うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある気分障がいの一種です。
その症状のあらわれ方で、大きく2つに分類されています。
抑うつ状態だけが起こる「うつ病(大うつ病性障害)」と、抑うつ状態と躁(そう)状態の両方が起こる「双極性障害」です。
うつ病は、成人の5%が抱えていると言われるほど一般的な病気にもかかわらず、薬や治療が効きにくい治療抵抗性(TRD)を示す患者は3分の1も存在しています。
今回、最新の電気刺激デバイスの移植手術を受けたサラさんもそんな1人だったそうです。
子供の頃からうつ病を患っており、もう限界だったという話しです。
「こんな状態が続いて、ずっとこの先に進めないのなら、もうダメだと思いました。生きる価値ある人生ではありませんでした」と彼女は当時の状態を語っています。
ですが、サラさんは幸いにも、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校で行われていた研究に参加することができました。
研究グループが行なっていたのは、脳の奥へ電極を差し込み、電気刺激でうつ症状を緩和する治療法(「脳深部刺激法」)です。
いわば「脳のペースメーカー」を装着するようなもので、「パーキンソン病」や「てんかん」などの治療では実際に効果がある技術ではあります。
ただし、うつ病はそうした病気よりもずっと複雑と言われています。
これまでも脳深部刺激法が試されたことはありましたが、結果はまちまちで、期待外れに終わること多かったんだとか…。
そこで今回の研究グループは、脳の特定の領域をターゲットにするのではなく、サラさん個人にあわせた移植部位を探すことにしました。
彼女の脳を手作業で追跡して、うつ病が生じていることを示す脳波パターン、すなわち「バイオマーカー」を探し出します。
そしてバイオマーカーが発生したタイミングで、患部に電気刺激を与えるような脳ペースメーカーを開発したそうなんです。
脳ペースメーカーの電極は2本あります。
1本はバイオマーカーが発生する領域へと挿入されます。
これはうつ病の発生を検出するためのものです。
もう1本は、うつ病を引き起こしている「うつ回路」へと挿入されます。
バイオマーカーが検出されると、こちらの電極からうつ回路へ6秒間微弱な電流が流され、その電流の刺激によって、うつ症状が抑えられるという仕組みなんだそうです。
なんか、文章にしちゃうと簡単そうに見えますが、これを脳の中にデバイスとして埋め込むわけですから、結果は置いておいたとしても、大変な技術でしょう。
今のところ、脳ペースメーカーの成功例は、サラさん1人しかいません。
脳深部刺激法でうつを治療する試みはほかにもありますが、結果は確実なものではないようですし、今回の成果が今後もずっと続くとは限らないそうです。
それでも、移植手術は、サラさんに計り知れない変化をもたらしたそうなんです。
最初の数か月は、症状の改善があまりにも突然で、このまま続くのか不安だったそうですが、ちゃんと続いているようですし、脳ペースメーカーが、治療やセルフケアを補強してくれていると実感できるんだそうです。
なお、サラさんで検出されたバイオマーカーは、人によってそれぞれ異なるものである可能性が濃厚なため、ほかの患者に脳ペースメーカーを試すには、その人それぞれのバイオマーカーを突き止めなければならないという作業があります。
研究グループはすでに患者を募集し、個人向けにカスタマイズされた脳ペースメーカーの有効性を検証しているとのことですから、近い将来、うつ病のスタンダード治療になるかもしれませんね。
まだまだ奥が深いうつ病ですが、これからも患者数は増えていくでしょう。
そうした人が少しでも苦しみを抑えられるよう、この研究も応援したいですね。
ま、出来ることは何もないですが(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
10月29日の金曜日でございます。
長かったコロナ禍も、ちょっと下火になってきております。
もちろん、油断は禁物ですが、それでも日常が戻りつつある喜びは隠しきれませんな。
かれこれ2年以上続いていますし、この間、体調を崩したり、経済の圧迫からうつ病になる患者が増えたと言う事は、よく耳にすると思います。
このうつ病というもの、目に見える症状があるわけではないので、なかなか発見もしにくいですし、日本では特に社会的に認知されにくい部分もあります。
一昔前までは、「怠け病」なんて呼ばれてたこともあったようですからね。
で、このうつ病を患う多くの人にとって、抗うつ剤は重要な役割を果たします。
ですが、薬を使った標準的な治療を一定期間行っても、病気が改善しない患者も多く存在するんです。
そこで今回、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、脳に電気刺激を与え、特定部位の活動を抑えるデバイスを埋め込むという、新たな治療法を開発しました。
まだまだ開発初期の医療技術ですが、抗うつ剤の患者の症状が改善されたという報告もあるようです。
うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、眠れない、疲れやすい、体がだるいといった身体的な症状が現れることのある気分障がいの一種です。
その症状のあらわれ方で、大きく2つに分類されています。
抑うつ状態だけが起こる「うつ病(大うつ病性障害)」と、抑うつ状態と躁(そう)状態の両方が起こる「双極性障害」です。
うつ病は、成人の5%が抱えていると言われるほど一般的な病気にもかかわらず、薬や治療が効きにくい治療抵抗性(TRD)を示す患者は3分の1も存在しています。
今回、最新の電気刺激デバイスの移植手術を受けたサラさんもそんな1人だったそうです。
子供の頃からうつ病を患っており、もう限界だったという話しです。
「こんな状態が続いて、ずっとこの先に進めないのなら、もうダメだと思いました。生きる価値ある人生ではありませんでした」と彼女は当時の状態を語っています。
ですが、サラさんは幸いにも、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校で行われていた研究に参加することができました。
研究グループが行なっていたのは、脳の奥へ電極を差し込み、電気刺激でうつ症状を緩和する治療法(「脳深部刺激法」)です。
いわば「脳のペースメーカー」を装着するようなもので、「パーキンソン病」や「てんかん」などの治療では実際に効果がある技術ではあります。
ただし、うつ病はそうした病気よりもずっと複雑と言われています。
これまでも脳深部刺激法が試されたことはありましたが、結果はまちまちで、期待外れに終わること多かったんだとか…。
そこで今回の研究グループは、脳の特定の領域をターゲットにするのではなく、サラさん個人にあわせた移植部位を探すことにしました。
彼女の脳を手作業で追跡して、うつ病が生じていることを示す脳波パターン、すなわち「バイオマーカー」を探し出します。
そしてバイオマーカーが発生したタイミングで、患部に電気刺激を与えるような脳ペースメーカーを開発したそうなんです。
脳ペースメーカーの電極は2本あります。
1本はバイオマーカーが発生する領域へと挿入されます。
これはうつ病の発生を検出するためのものです。
もう1本は、うつ病を引き起こしている「うつ回路」へと挿入されます。
バイオマーカーが検出されると、こちらの電極からうつ回路へ6秒間微弱な電流が流され、その電流の刺激によって、うつ症状が抑えられるという仕組みなんだそうです。
なんか、文章にしちゃうと簡単そうに見えますが、これを脳の中にデバイスとして埋め込むわけですから、結果は置いておいたとしても、大変な技術でしょう。
今のところ、脳ペースメーカーの成功例は、サラさん1人しかいません。
脳深部刺激法でうつを治療する試みはほかにもありますが、結果は確実なものではないようですし、今回の成果が今後もずっと続くとは限らないそうです。
それでも、移植手術は、サラさんに計り知れない変化をもたらしたそうなんです。
最初の数か月は、症状の改善があまりにも突然で、このまま続くのか不安だったそうですが、ちゃんと続いているようですし、脳ペースメーカーが、治療やセルフケアを補強してくれていると実感できるんだそうです。
なお、サラさんで検出されたバイオマーカーは、人によってそれぞれ異なるものである可能性が濃厚なため、ほかの患者に脳ペースメーカーを試すには、その人それぞれのバイオマーカーを突き止めなければならないという作業があります。
研究グループはすでに患者を募集し、個人向けにカスタマイズされた脳ペースメーカーの有効性を検証しているとのことですから、近い将来、うつ病のスタンダード治療になるかもしれませんね。
まだまだ奥が深いうつ病ですが、これからも患者数は増えていくでしょう。
そうした人が少しでも苦しみを抑えられるよう、この研究も応援したいですね。
ま、出来ることは何もないですが(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院