カブトガニのかにみそ
2021年09月13日 [動物のこと]
お疲れ様です。院長です。
9月13日の月曜日でございます。
さすがに少々秋感を感じる時間も出てきましたかね。
わたくし院長は、まだ暑いと思う時間の方が長いですが…。
もう少し涼しい方が過ごしやすいよねぇ。
てことで今日もネタにいくんですが、今日は歴史を感じるサイエンスなネタでございます。
なんと史上初で、脳が残されたカブトガニの化石が発見されたそうなんです。
そしてその構造は、3億1000万年前から変わっていなかったんだとか…
発見された場所は、アメリカ、イリノイ州にあるメゾン・クリーク化石層で、化石の発見自体はさほど珍しいことではないそうなんですが、今回珍しかったのは、この化石に脳が残されていたことなんです。
カブトガニの脳の化石が発見されたのは史上初めてのことで、その中枢神経の進化について意外な事実を今に伝えているという貴重な発見なわけですな。
てか、カブトガニの脳…
って…
いわゆる「かにみそ」のことか?(笑)
と一瞬思ってしまいましたが、実は我々人間が食している「かにみそ」ってのは、蟹の脳味噌というわけではありません。
あの「かにみそ」は人間で言うところの「肝臓」や「膵臓」にあたるもので、「中腸線(肝膵臓と呼ばれることもあります)」という部位なんです。
ですから、カブトガニの脳味噌は、かにみそではなく、正真正銘の「脳」なわけです。
脳が残された状態で化石化していたのは、「Euproops danae」と呼ばれるすでに絶滅したカブトガニの仲間です。
ちなみに「カニ」といっても、カブトガニはカニではありません。
「クモ綱」に分類されており、むしろクモやサソリに近い生物です。
大昔の生物の姿を今に残す彼らは、4種が現生しており、日本にも佐賀県や岡山県などに繁殖地があります。
「生きている化石」と呼ばれる彼らの化石はそう珍しいものではありません。
しかし腐りやすい軟組織まで残されるには、とてつもない幸運に恵まれなければならないそうなんです。
カブトガニが死んだとき、保存に完璧な条件が整っているか、さもなければ琥珀にでも閉じ込められなければありえないからなんだそうです。
その珍しさについて「100万に1つか、それよりも希少」と、研究の中心人物であるニューイングランド大学のラッセル・ビックネル氏は説明しています。
発掘場所であるメゾン・クリーク化石層の堆積物は、鉱物沈殿してできた「菱鉄鉱」と呼ばれるものです。
こうしたプロセスがあるために、ここで生きていた生物はすぐに閉じ込められて化石になりやすいんだとか…。
発見された脳もこうして化石になったわけなんですが、組織がそのまま残されているわけではありませせん。
脳組織は腐敗して、その隙間を「高陵石(カオリナイト)」という粘土鉱物が埋めていました。
いわば鋳型が残されたようなものでしょうか。
都合がいいことに、菱鉄鉱は灰色で、高陵石は白ですので、余計に目立って見えるのだということです。
発見された太古のカブトガニの脳は、現在の親戚であるカブトガニの脳と非常によく似ているそうで、カブトガニの脳は大昔から変わっていないことがうかがい知れます。
カブトガニの脳の発見は、クモ綱の動物たちの脳の進化を研究する絶好のチャンスとなるようです。
そんなカブトガニですが、その魅力的なフォルムを愛でるだけでなく、彼らが命を賭して大勢の人間の命を救っているという事実もあります。
というのも、カブトガニの血液は特殊なもので、人間の血は、酸素を行き巡らせるヘモグロビンが鉄を含んでおり、そのせいで赤色をしています。
一方、カブトガニは銅を含んだヘモシアニンのせいで青色をしています。
海中はバクテリアでいっぱいなんですが、哺乳類と違ってカブトガニは免疫システムを持っていません。
つまり、感染と戦う白血球がいないわけなんです。
なので、もし殻をすり抜けてバクテリアが体内に侵入すれば、カブトガニの体はめちゃくちゃになってしまいます。
そうならないようカブトガニは自分たちの血球にしかない科学物質を使って、有害なバクテリア、ウイルス、菌類を固めて無効化するんですね。
血球が有害なバクテリアが侵入したことを検知すると、コアグロゲンというタンパク質を放出することで、侵入者をネバネバしたバリアで覆い、拡散しないようにするそうなんです。
さらにそのネバネバは固まって物理的なバリアにもなり、傷口を塞いでさらなる感染を防ぐんだそうです。
驚くべき体内防衛システムを持っているわけです。
さすが生きた化石ですな。
で、1960年代にアメリカの医学者フレデリック・バングが、カブトガニの血が持つ不思議な力を発見して以来、この太古の海中生物は人類の医学分野において、大きな貢献をしてるんです。
注射やワクチンが無菌状態にあるかどうかは、カブトガニによって確かめられているそうなんです。
それは、カブトガニの血球からコアグロゲンを抽出して、注射やワクチンの溶液が使えるかどうかの検査に使用するそうなんです。
抽出したコアグロゲンが注射液の溶液中に雑菌を見つけると、ネバネバした固体に変化していく様子が観察されます。
固体化しなければ、その溶液は無菌で、人体に使っても問題ないというわけです。
LAL(カブトガニ血球抽出成分)テスト、と呼ばれるこの方法は、単純でありながら、即座に結果がわかり、しかも代わりの方法はないそうなんです。
すごいね。
カブトガニ…
余談ですが、このテストをするためにカブトガニの血液は、1リットルあたり、150万円ほどで取引されるんだとか…。
まさしく生きた化石ですな(笑)
今回のカブトガニの脳の化石の発見で、さらにカブトガニの謎が解き明かされるかもしれません。
わたくし院長、個人的には虫みたいなんで彼らは苦手ですけどね(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
9月13日の月曜日でございます。
さすがに少々秋感を感じる時間も出てきましたかね。
わたくし院長は、まだ暑いと思う時間の方が長いですが…。
もう少し涼しい方が過ごしやすいよねぇ。
てことで今日もネタにいくんですが、今日は歴史を感じるサイエンスなネタでございます。
なんと史上初で、脳が残されたカブトガニの化石が発見されたそうなんです。
そしてその構造は、3億1000万年前から変わっていなかったんだとか…
発見された場所は、アメリカ、イリノイ州にあるメゾン・クリーク化石層で、化石の発見自体はさほど珍しいことではないそうなんですが、今回珍しかったのは、この化石に脳が残されていたことなんです。
カブトガニの脳の化石が発見されたのは史上初めてのことで、その中枢神経の進化について意外な事実を今に伝えているという貴重な発見なわけですな。
てか、カブトガニの脳…
って…
いわゆる「かにみそ」のことか?(笑)
と一瞬思ってしまいましたが、実は我々人間が食している「かにみそ」ってのは、蟹の脳味噌というわけではありません。
あの「かにみそ」は人間で言うところの「肝臓」や「膵臓」にあたるもので、「中腸線(肝膵臓と呼ばれることもあります)」という部位なんです。
ですから、カブトガニの脳味噌は、かにみそではなく、正真正銘の「脳」なわけです。
脳が残された状態で化石化していたのは、「Euproops danae」と呼ばれるすでに絶滅したカブトガニの仲間です。
ちなみに「カニ」といっても、カブトガニはカニではありません。
「クモ綱」に分類されており、むしろクモやサソリに近い生物です。
大昔の生物の姿を今に残す彼らは、4種が現生しており、日本にも佐賀県や岡山県などに繁殖地があります。
「生きている化石」と呼ばれる彼らの化石はそう珍しいものではありません。
しかし腐りやすい軟組織まで残されるには、とてつもない幸運に恵まれなければならないそうなんです。
カブトガニが死んだとき、保存に完璧な条件が整っているか、さもなければ琥珀にでも閉じ込められなければありえないからなんだそうです。
その珍しさについて「100万に1つか、それよりも希少」と、研究の中心人物であるニューイングランド大学のラッセル・ビックネル氏は説明しています。
発掘場所であるメゾン・クリーク化石層の堆積物は、鉱物沈殿してできた「菱鉄鉱」と呼ばれるものです。
こうしたプロセスがあるために、ここで生きていた生物はすぐに閉じ込められて化石になりやすいんだとか…。
発見された脳もこうして化石になったわけなんですが、組織がそのまま残されているわけではありませせん。
脳組織は腐敗して、その隙間を「高陵石(カオリナイト)」という粘土鉱物が埋めていました。
いわば鋳型が残されたようなものでしょうか。
都合がいいことに、菱鉄鉱は灰色で、高陵石は白ですので、余計に目立って見えるのだということです。
発見された太古のカブトガニの脳は、現在の親戚であるカブトガニの脳と非常によく似ているそうで、カブトガニの脳は大昔から変わっていないことがうかがい知れます。
カブトガニの脳の発見は、クモ綱の動物たちの脳の進化を研究する絶好のチャンスとなるようです。
そんなカブトガニですが、その魅力的なフォルムを愛でるだけでなく、彼らが命を賭して大勢の人間の命を救っているという事実もあります。
というのも、カブトガニの血液は特殊なもので、人間の血は、酸素を行き巡らせるヘモグロビンが鉄を含んでおり、そのせいで赤色をしています。
一方、カブトガニは銅を含んだヘモシアニンのせいで青色をしています。
海中はバクテリアでいっぱいなんですが、哺乳類と違ってカブトガニは免疫システムを持っていません。
つまり、感染と戦う白血球がいないわけなんです。
なので、もし殻をすり抜けてバクテリアが体内に侵入すれば、カブトガニの体はめちゃくちゃになってしまいます。
そうならないようカブトガニは自分たちの血球にしかない科学物質を使って、有害なバクテリア、ウイルス、菌類を固めて無効化するんですね。
血球が有害なバクテリアが侵入したことを検知すると、コアグロゲンというタンパク質を放出することで、侵入者をネバネバしたバリアで覆い、拡散しないようにするそうなんです。
さらにそのネバネバは固まって物理的なバリアにもなり、傷口を塞いでさらなる感染を防ぐんだそうです。
驚くべき体内防衛システムを持っているわけです。
さすが生きた化石ですな。
で、1960年代にアメリカの医学者フレデリック・バングが、カブトガニの血が持つ不思議な力を発見して以来、この太古の海中生物は人類の医学分野において、大きな貢献をしてるんです。
注射やワクチンが無菌状態にあるかどうかは、カブトガニによって確かめられているそうなんです。
それは、カブトガニの血球からコアグロゲンを抽出して、注射やワクチンの溶液が使えるかどうかの検査に使用するそうなんです。
抽出したコアグロゲンが注射液の溶液中に雑菌を見つけると、ネバネバした固体に変化していく様子が観察されます。
固体化しなければ、その溶液は無菌で、人体に使っても問題ないというわけです。
LAL(カブトガニ血球抽出成分)テスト、と呼ばれるこの方法は、単純でありながら、即座に結果がわかり、しかも代わりの方法はないそうなんです。
すごいね。
カブトガニ…
余談ですが、このテストをするためにカブトガニの血液は、1リットルあたり、150万円ほどで取引されるんだとか…。
まさしく生きた化石ですな(笑)
今回のカブトガニの脳の化石の発見で、さらにカブトガニの謎が解き明かされるかもしれません。
わたくし院長、個人的には虫みたいなんで彼らは苦手ですけどね(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院