(167)サンデーイルネス(仮)骨髄炎(化膿性骨髄炎)について
2020年05月10日 [からだのこと]
お疲れ様です。院長です。
5月10日のサンデーイルネスでございます。
早いもので、5月も約1/3が過ぎ去りました。
世界中は相も変わらず、新型コロナで騒いでおりますが、季節は確実に移ろっております。
ボチボチ暑い日もありますしね。
しかもこの時期の暑さはカラッとしとりません。
次に来るのは梅雨ですから、当分はコロナと湿度に悩まされるわけです。
梅雨時と言えば、日本では1年で1番過ごしにくいストレスの溜まる時期ですし、不快指数ってな言葉もあるくらい不快な毎日なわけですよ。
そこへ持ってきて、気晴らしにも行けない今年の梅雨は、人々の心を一層病ますでしょうねぇ…。
気持ちは分かりますが、もう少しの辛抱です。
多分…
てな感じの5月10日、今日も本題に入りましょう。
今日のイルネス辞典は、「骨髄炎(化膿性骨髄炎)」について解説していきたいと思います。
まずはどんな病気かと言いますと、骨に細菌が侵入して、化膿性の炎症を起こす病気です。
骨の内部には骨髄がありますが、血流が豊富で、そこに最初の炎症が起こるため、骨髄炎と呼ばれるわけですね。
急に症状が現れる急性化膿性骨髄炎と、慢性化した慢性化膿性骨髄炎があります。
慢性化膿性骨髄炎は、急性のものが治らないまま慢性化する場合と、最初から慢性型で発症する場合があります。
急性化膿性骨髄炎は、現在では、抗生物質の発達によって非常に治療効果が上がっていますが、慢性化すれば、再発を繰り返して治療が難しくなります。
また、抗生物質が効きにくいMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが感染して発病する場合や、抵抗力が落ちている場合は、炎症が全身に波及する「敗血症」(はいけつしょう)を起こすこともまれにあり、現在でもなお重要な疾患のひとつです。
小児では、成長に伴って骨の短縮や過成長などの後遺障害が問題となることもある大変な病気でございます。
では原因は何かってことですが、細菌が骨に侵入する経路には、以下の3つのパターンがあると言われています。
(1)体内の他の部位に感染巣があって(扁桃腺や尿路の感染など)、細菌が血液を介して骨髄に到達する。
(2)化膿した病巣が近くにあって、そこから波及する。
(3)骨折や手術などによって細菌が直接骨髄に侵入する。
急性化膿性骨髄炎は、小児に多く、大腿骨(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ)、上腕骨などの部位に起こりますが、その理由として、骨が成長するために血流が豊富であることや、その末端が細菌がとどまりやすい構造になっていることなどが考えられています。
細菌が骨髄の中で繁殖し、うみがたまると(膿瘍(のうよう))、骨の表面に波及したり、骨の血流を妨げることにより骨壊死(こつえし)(腐骨(ふこつ))を引き起こしたり、骨が吸収され、破壊されることもあります。
そのため、抗生物質がより効きにくい原因にもなります。
慢性骨髄炎では、腐骨の周囲を取り囲むように新しい骨が形成されることにより、炎症の病巣はそれ以上は広がりませんが、長期に細菌がとどまりやすくなり、慢性の感染が持続します。
糖尿病、血液透析(とうせき)、薬物の常用(副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤など)などで治療中の人は、感染に対する抵抗力が落ちているので、化膿性骨髄炎にかかりやすく、さらに症状が慢性化することがあります。
感染は細菌または真菌類によって引き起こされます。原因となる菌は、黄色ブドウ球菌が最も多く、最近ではMRSAの比率が高まっています。
他には、緑膿菌(りょくのうきん)、表皮ブドウ球菌、変形菌、などがあげられます。
症状としましては、上気道炎(じょうきどうえん)や尿路感染などの他の部位の感染症に続いて発症することがありますが、急性化膿性骨髄炎の多くは原因が明らかでなく、発熱、不機嫌、食欲不振、全身倦怠などの全身症状や、局所の痛み、はれ、熱感、発赤などで発症します。
小児の場合、痛みのため動かそうとせず、動かすと泣くことが重要な症状の現れ方となることがあります。
また、小児で大腿骨や上腕骨などに発症した場合、感染が関節内まで及び、化膿性関節炎も引き起こすこともあります。
慢性化膿性骨髄炎では局所症状はみられますが、発熱などの全身症状はあまりみられません。
経過が長くなると、皮膚に孔(あな)があいて(瘻孔(ろうこう))、うみが出てくることもあります。
こういう状態が長期間続くと皮膚に悪性の変化(扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん)を起こすこともあるため注意が必要です。
血液検査では、白血球数の増加、赤血球沈降速度の亢進、C反応性蛋白(CRP)の陽性など、炎症性の変化がみられますが、慢性化膿性骨髄炎で症状が落ち着いている時は、明らかな異常所見がみられない場合もあります。
急性化膿性骨髄炎の初期段階では、X線像では変化が現れにくく、その場合はエコー(超音波)、CT、MRI、骨シンチグラフィなどによる画像検査が有用です。
小児では、発症後1〜2週あたりからX線像で骨の変化がみられることもあります。
慢性化膿性骨髄炎では、骨の変化がみられる場合が多く、X線検査が有用で、上記の検査に加え、瘻孔造影(うみが出ている孔から造影薬を注入して撮影)で病変部の範囲を確認することもあります。
治療の方法としましては、急性化膿性骨髄炎では、病巣の拡大や慢性化への移行を防止するためにも、診断されれば早急に治療を開始することが重要です。
一般的には、入院、安静のうえ、有効な抗生物質を点滴しますが、細菌培養の検査が未確定の場合は、最も可能性のある抗生物質を使用します。
この治療によっても改善がみられないようであれば、手術による治療が必要となります。
とくに慢性化膿性骨髄炎では腐骨や血行障害により、抗生物質が十分行き届かないため、手術となる場合が多いようです。
手術は、骨に短冊状の窓を開け、中にたまっているうみや壊死した骨をすべて取り除きます。
この部位に再び残った菌が繁殖しないように、抗生物質を含んだ骨セメントや血流の豊富な筋肉を骨の中に入れたり、持続灌流(かんりゅう)(骨の中に入れたチューブで生理的食塩水を持続的に流す)を行ったりします。
これらの操作によって感染がおさまったあと、もし欠損部が大きければ、骨を他の部位から移植するような手術を追加することもあります。
高圧酸素療法も慢性化膿性骨髄炎に有効であり、手術と組み合わせて行われることがあります。
早く治療を開始すれば、それだけ早く治りやすいので、前述のような局所の症状が現れた場合には、すぐに整形外科を受診する必要があります。
とくに小児の場合は、骨の変形などの後遺障害が残る可能性があり、迅速な対応が重要です。
いかがでしたか。
放置すると取り返しのつかないことになりかねませんので、早めの受診が大事ですね。
では、次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
5月10日のサンデーイルネスでございます。
早いもので、5月も約1/3が過ぎ去りました。
世界中は相も変わらず、新型コロナで騒いでおりますが、季節は確実に移ろっております。
ボチボチ暑い日もありますしね。
しかもこの時期の暑さはカラッとしとりません。
次に来るのは梅雨ですから、当分はコロナと湿度に悩まされるわけです。
梅雨時と言えば、日本では1年で1番過ごしにくいストレスの溜まる時期ですし、不快指数ってな言葉もあるくらい不快な毎日なわけですよ。
そこへ持ってきて、気晴らしにも行けない今年の梅雨は、人々の心を一層病ますでしょうねぇ…。
気持ちは分かりますが、もう少しの辛抱です。
多分…
てな感じの5月10日、今日も本題に入りましょう。
今日のイルネス辞典は、「骨髄炎(化膿性骨髄炎)」について解説していきたいと思います。
まずはどんな病気かと言いますと、骨に細菌が侵入して、化膿性の炎症を起こす病気です。
骨の内部には骨髄がありますが、血流が豊富で、そこに最初の炎症が起こるため、骨髄炎と呼ばれるわけですね。
急に症状が現れる急性化膿性骨髄炎と、慢性化した慢性化膿性骨髄炎があります。
慢性化膿性骨髄炎は、急性のものが治らないまま慢性化する場合と、最初から慢性型で発症する場合があります。
急性化膿性骨髄炎は、現在では、抗生物質の発達によって非常に治療効果が上がっていますが、慢性化すれば、再発を繰り返して治療が難しくなります。
また、抗生物質が効きにくいMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが感染して発病する場合や、抵抗力が落ちている場合は、炎症が全身に波及する「敗血症」(はいけつしょう)を起こすこともまれにあり、現在でもなお重要な疾患のひとつです。
小児では、成長に伴って骨の短縮や過成長などの後遺障害が問題となることもある大変な病気でございます。
では原因は何かってことですが、細菌が骨に侵入する経路には、以下の3つのパターンがあると言われています。
(1)体内の他の部位に感染巣があって(扁桃腺や尿路の感染など)、細菌が血液を介して骨髄に到達する。
(2)化膿した病巣が近くにあって、そこから波及する。
(3)骨折や手術などによって細菌が直接骨髄に侵入する。
急性化膿性骨髄炎は、小児に多く、大腿骨(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ)、上腕骨などの部位に起こりますが、その理由として、骨が成長するために血流が豊富であることや、その末端が細菌がとどまりやすい構造になっていることなどが考えられています。
細菌が骨髄の中で繁殖し、うみがたまると(膿瘍(のうよう))、骨の表面に波及したり、骨の血流を妨げることにより骨壊死(こつえし)(腐骨(ふこつ))を引き起こしたり、骨が吸収され、破壊されることもあります。
そのため、抗生物質がより効きにくい原因にもなります。
慢性骨髄炎では、腐骨の周囲を取り囲むように新しい骨が形成されることにより、炎症の病巣はそれ以上は広がりませんが、長期に細菌がとどまりやすくなり、慢性の感染が持続します。
糖尿病、血液透析(とうせき)、薬物の常用(副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤など)などで治療中の人は、感染に対する抵抗力が落ちているので、化膿性骨髄炎にかかりやすく、さらに症状が慢性化することがあります。
感染は細菌または真菌類によって引き起こされます。原因となる菌は、黄色ブドウ球菌が最も多く、最近ではMRSAの比率が高まっています。
他には、緑膿菌(りょくのうきん)、表皮ブドウ球菌、変形菌、などがあげられます。
症状としましては、上気道炎(じょうきどうえん)や尿路感染などの他の部位の感染症に続いて発症することがありますが、急性化膿性骨髄炎の多くは原因が明らかでなく、発熱、不機嫌、食欲不振、全身倦怠などの全身症状や、局所の痛み、はれ、熱感、発赤などで発症します。
小児の場合、痛みのため動かそうとせず、動かすと泣くことが重要な症状の現れ方となることがあります。
また、小児で大腿骨や上腕骨などに発症した場合、感染が関節内まで及び、化膿性関節炎も引き起こすこともあります。
慢性化膿性骨髄炎では局所症状はみられますが、発熱などの全身症状はあまりみられません。
経過が長くなると、皮膚に孔(あな)があいて(瘻孔(ろうこう))、うみが出てくることもあります。
こういう状態が長期間続くと皮膚に悪性の変化(扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん)を起こすこともあるため注意が必要です。
血液検査では、白血球数の増加、赤血球沈降速度の亢進、C反応性蛋白(CRP)の陽性など、炎症性の変化がみられますが、慢性化膿性骨髄炎で症状が落ち着いている時は、明らかな異常所見がみられない場合もあります。
急性化膿性骨髄炎の初期段階では、X線像では変化が現れにくく、その場合はエコー(超音波)、CT、MRI、骨シンチグラフィなどによる画像検査が有用です。
小児では、発症後1〜2週あたりからX線像で骨の変化がみられることもあります。
慢性化膿性骨髄炎では、骨の変化がみられる場合が多く、X線検査が有用で、上記の検査に加え、瘻孔造影(うみが出ている孔から造影薬を注入して撮影)で病変部の範囲を確認することもあります。
治療の方法としましては、急性化膿性骨髄炎では、病巣の拡大や慢性化への移行を防止するためにも、診断されれば早急に治療を開始することが重要です。
一般的には、入院、安静のうえ、有効な抗生物質を点滴しますが、細菌培養の検査が未確定の場合は、最も可能性のある抗生物質を使用します。
この治療によっても改善がみられないようであれば、手術による治療が必要となります。
とくに慢性化膿性骨髄炎では腐骨や血行障害により、抗生物質が十分行き届かないため、手術となる場合が多いようです。
手術は、骨に短冊状の窓を開け、中にたまっているうみや壊死した骨をすべて取り除きます。
この部位に再び残った菌が繁殖しないように、抗生物質を含んだ骨セメントや血流の豊富な筋肉を骨の中に入れたり、持続灌流(かんりゅう)(骨の中に入れたチューブで生理的食塩水を持続的に流す)を行ったりします。
これらの操作によって感染がおさまったあと、もし欠損部が大きければ、骨を他の部位から移植するような手術を追加することもあります。
高圧酸素療法も慢性化膿性骨髄炎に有効であり、手術と組み合わせて行われることがあります。
早く治療を開始すれば、それだけ早く治りやすいので、前述のような局所の症状が現れた場合には、すぐに整形外科を受診する必要があります。
とくに小児の場合は、骨の変形などの後遺障害が残る可能性があり、迅速な対応が重要です。
いかがでしたか。
放置すると取り返しのつかないことになりかねませんので、早めの受診が大事ですね。
では、次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院