2018年02月11日 [からだのこと]
(50)サンデーイルネス(仮)咽頭がんについて
お疲れ様です。院長です。
2月11日のサンデーイルネスでございます。
まだまだ毎日寒いですが、オリンピックも盛り上がってございます。
平昌ってことで近いですから、テレビ中継も普通やもんねぇ。
何か、オリンピック中継っつったら、訳の分からん夜中とかのイメージが強いんですけど、さすがに時差はないですな。
あ、それと今日は、建国記念日なんですよね。
日曜ですからアレですけど、明日が振替休日となるわけです。
ってなことで今日のイルネス、先週から突然「あいうえお」順に病気を解説なんて、シリーズが始まりましたから、今日は「い」でございます。
そして、栄えある「い」の疾患に選ばれたのは「咽頭がん」でございます。
まず、咽頭がんとは、どんな病気かの前に、咽頭の位置を確認しときましょう。
咽頭がんは上咽頭(じょういんとう)がん、中咽頭(ちゅういんとう)がん、下咽頭(かいんとう)がんとに分かれます。
解剖学的には上咽頭は鼻の突き当たりで、上方は頭蓋骨、上外側は眼があり、外側には耳管咽頭孔(じかんいんとうこう)があり、前方は鼻腔になります。
上咽頭がんでは頸部(けいぶ)リンパ節転移も多く、多様な症状を示します。
中咽頭は上咽頭の下方で軟口蓋(なんこうがい)の高さで区切られます。
中咽頭には扁桃腺(へんとうせん)があり、前壁は舌根部(ぜっこんぶ)(舌の付け根の部分)です。
中咽頭がんでは扁桃肥大と間違えられることもあります。また中咽頭には悪性リンパ腫もしばしばみられます。
下咽頭は中咽頭の下方で、食道入口部までが範囲です。下咽頭の前方には喉頭(こうとう)があります。
中咽頭がんや下咽頭がんでは、食道がんとの重複がんが多いのが特徴です。
では、原因をみていきましょう。
まず「がん」である以上、色々な因子が考えられます。
因果関係が明らかでないものも含めると、これといって特定できる原因が見つからないですが、上咽頭がんではEBウイルスの関与が考えられます。
また、中咽頭がんや下咽頭がんではアルコールやたばこ、食物、環境因子などと因果関係があるとも報告されていますし、近年、ヒトパピローマウイルスの関与も注目されています。
では、咽頭がんの初期症状をみていきましょう。
(1)上咽頭がん
頸部腫瘤(けいぶしゅりゅう)と耳症状が最も多い症状です。
耳症状としては詰まる感じや聞こえが悪いなどがあり、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)と診断されている場合があります。
そのほかに、物が重なって見える眼の症状、鼻出血、鼻閉などの鼻症状、がんこな頭痛などいろいろな症状があります。
(2)中咽頭がん
咽頭痛や嚥下痛(えんげつう)、のどのはれた感じなどが多くみられる症状です。頸部リンパ節腫大もあります。
(3)下咽頭がん
のどが詰まった感じや咽頭の違和感に始まり、嚥下痛、咽頭痛、声のかすれなどの症状が出ます。進行すると食事が通らなくなります。頸部リンパ節腫大もあります。
では、これらの咽頭がんの治療の方法をご紹介しましょう。
(1)上咽頭がん
放射線治療と抗がん薬治療(化学療法)を組み合わせて行うのが一般的で、手術が第一選択になることはありません。
放射線治療後に補助化学療法を行う方法や放射線照射に抗がん薬を同時に併用して行う方法、全身的に抗がん薬治療を行い、そのあとに局所の上咽頭を中心に放射線を照射する方法などがありますが、抗がん薬同時併用放射線照射が主流です。
放射線治療と化学療法の2つを組み合わせることにより、治療成績は著しく向上しています。
最近ではIMRT(強度変調放射線治療)により口腔乾燥を軽くすることができます。
(2)中咽頭がん
T期やU期のがんでは放射線治療となります。外照射では治療後の唾液腺の分泌障害による口腔乾燥症が問題となります。
また小さいがんでは、口腔内の変形は残りますが、切除もよい治療法です。
一方、V期、W期の進行がんでは手術治療になり、その場合には再建手術も必要になります。
軟口蓋を大きく切除したり、舌根部を大きく切除した場合には嚥下機能障害が術後に生じる場合があるため、嚥下障害に対する手術が必要になります。
また舌根がんが下方に進行している場合には、喉頭も合併切除します。
(3)下咽頭がん
手術治療が第一選択となります。
初診時にすでに進行がんになっていることが多いので、咽頭喉頭食道摘出術という下咽頭とともに喉頭を摘出する手術を行い、空腸(くうちょう)などを用いた遊離皮弁(ゆうりひべん)や大胸筋皮弁(だいきょうきんひべん)などで下咽頭を再建します。
その場合、喉頭がんと同様に喉頭も全摘するので、永久気管孔となり音声機能を失ってしまいます。
ちなみに、音楽家のつんくさんが、患ったのは「喉頭がん」で、喉頭を全適し声を失われたわけですね。
最近では、限局した下咽頭がんでは、がんを部分的に切除して喉頭を温存し再建する方法や、表在がんでは内視鏡で切除する手術方法もあります。
また早期のがんであれば、放射線治療で治癒します。
ということで、重度になれば喉頭切除と言うかなり後遺の残る選択をしなければいけません。
つまり、早期に発見したいわけですね。
まぁ、「がん」の中では生命の危機に晒されることは少ないがんですが、声を無くすというのもこれはかなり辛い事だと思います。
どんな病気でも完全に予防するという事は無理なわけですから、早期発見こそが最良なわけですね。
それには、いつも言ってるように知識を持つことです。
咽頭がんの初期症状をチラッとでも感じたら、まずは受診しましょう。
その一歩が、あなたやあなたの大切な人を救う事になるんですからね。
では、今週は、このへんで…
来週も、イルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
2月11日のサンデーイルネスでございます。
まだまだ毎日寒いですが、オリンピックも盛り上がってございます。
平昌ってことで近いですから、テレビ中継も普通やもんねぇ。
何か、オリンピック中継っつったら、訳の分からん夜中とかのイメージが強いんですけど、さすがに時差はないですな。
あ、それと今日は、建国記念日なんですよね。
日曜ですからアレですけど、明日が振替休日となるわけです。
ってなことで今日のイルネス、先週から突然「あいうえお」順に病気を解説なんて、シリーズが始まりましたから、今日は「い」でございます。
そして、栄えある「い」の疾患に選ばれたのは「咽頭がん」でございます。
まず、咽頭がんとは、どんな病気かの前に、咽頭の位置を確認しときましょう。
咽頭がんは上咽頭(じょういんとう)がん、中咽頭(ちゅういんとう)がん、下咽頭(かいんとう)がんとに分かれます。
解剖学的には上咽頭は鼻の突き当たりで、上方は頭蓋骨、上外側は眼があり、外側には耳管咽頭孔(じかんいんとうこう)があり、前方は鼻腔になります。
上咽頭がんでは頸部(けいぶ)リンパ節転移も多く、多様な症状を示します。
中咽頭は上咽頭の下方で軟口蓋(なんこうがい)の高さで区切られます。
中咽頭には扁桃腺(へんとうせん)があり、前壁は舌根部(ぜっこんぶ)(舌の付け根の部分)です。
中咽頭がんでは扁桃肥大と間違えられることもあります。また中咽頭には悪性リンパ腫もしばしばみられます。
下咽頭は中咽頭の下方で、食道入口部までが範囲です。下咽頭の前方には喉頭(こうとう)があります。
中咽頭がんや下咽頭がんでは、食道がんとの重複がんが多いのが特徴です。
では、原因をみていきましょう。
まず「がん」である以上、色々な因子が考えられます。
因果関係が明らかでないものも含めると、これといって特定できる原因が見つからないですが、上咽頭がんではEBウイルスの関与が考えられます。
また、中咽頭がんや下咽頭がんではアルコールやたばこ、食物、環境因子などと因果関係があるとも報告されていますし、近年、ヒトパピローマウイルスの関与も注目されています。
では、咽頭がんの初期症状をみていきましょう。
(1)上咽頭がん
頸部腫瘤(けいぶしゅりゅう)と耳症状が最も多い症状です。
耳症状としては詰まる感じや聞こえが悪いなどがあり、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)と診断されている場合があります。
そのほかに、物が重なって見える眼の症状、鼻出血、鼻閉などの鼻症状、がんこな頭痛などいろいろな症状があります。
(2)中咽頭がん
咽頭痛や嚥下痛(えんげつう)、のどのはれた感じなどが多くみられる症状です。頸部リンパ節腫大もあります。
(3)下咽頭がん
のどが詰まった感じや咽頭の違和感に始まり、嚥下痛、咽頭痛、声のかすれなどの症状が出ます。進行すると食事が通らなくなります。頸部リンパ節腫大もあります。
では、これらの咽頭がんの治療の方法をご紹介しましょう。
(1)上咽頭がん
放射線治療と抗がん薬治療(化学療法)を組み合わせて行うのが一般的で、手術が第一選択になることはありません。
放射線治療後に補助化学療法を行う方法や放射線照射に抗がん薬を同時に併用して行う方法、全身的に抗がん薬治療を行い、そのあとに局所の上咽頭を中心に放射線を照射する方法などがありますが、抗がん薬同時併用放射線照射が主流です。
放射線治療と化学療法の2つを組み合わせることにより、治療成績は著しく向上しています。
最近ではIMRT(強度変調放射線治療)により口腔乾燥を軽くすることができます。
(2)中咽頭がん
T期やU期のがんでは放射線治療となります。外照射では治療後の唾液腺の分泌障害による口腔乾燥症が問題となります。
また小さいがんでは、口腔内の変形は残りますが、切除もよい治療法です。
一方、V期、W期の進行がんでは手術治療になり、その場合には再建手術も必要になります。
軟口蓋を大きく切除したり、舌根部を大きく切除した場合には嚥下機能障害が術後に生じる場合があるため、嚥下障害に対する手術が必要になります。
また舌根がんが下方に進行している場合には、喉頭も合併切除します。
(3)下咽頭がん
手術治療が第一選択となります。
初診時にすでに進行がんになっていることが多いので、咽頭喉頭食道摘出術という下咽頭とともに喉頭を摘出する手術を行い、空腸(くうちょう)などを用いた遊離皮弁(ゆうりひべん)や大胸筋皮弁(だいきょうきんひべん)などで下咽頭を再建します。
その場合、喉頭がんと同様に喉頭も全摘するので、永久気管孔となり音声機能を失ってしまいます。
ちなみに、音楽家のつんくさんが、患ったのは「喉頭がん」で、喉頭を全適し声を失われたわけですね。
最近では、限局した下咽頭がんでは、がんを部分的に切除して喉頭を温存し再建する方法や、表在がんでは内視鏡で切除する手術方法もあります。
また早期のがんであれば、放射線治療で治癒します。
ということで、重度になれば喉頭切除と言うかなり後遺の残る選択をしなければいけません。
つまり、早期に発見したいわけですね。
まぁ、「がん」の中では生命の危機に晒されることは少ないがんですが、声を無くすというのもこれはかなり辛い事だと思います。
どんな病気でも完全に予防するという事は無理なわけですから、早期発見こそが最良なわけですね。
それには、いつも言ってるように知識を持つことです。
咽頭がんの初期症状をチラッとでも感じたら、まずは受診しましょう。
その一歩が、あなたやあなたの大切な人を救う事になるんですからね。
では、今週は、このへんで…
来週も、イルネス辞典をお楽しみに〜
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院