2017年09月17日 [からだのこと]
(29)サンデーイルネス(仮)肺結核について
お疲れ様です。院長です。
9月17日のサンデーイルネス(仮)でございます。
昨日から世間では3連休って事なんですが、この台風…
今日がピークっぽいので、大人しくしといた方が良さそうですねぇ…。
9月に入り、なかなか秋っぽさも感じていたり、また暑い日があったりとこの寒暖差に身体も悲鳴を上げてる頃じゃおまへんか?
わたくし院長も、何となくですが身体がダルイのか?って思う事があり、ちょっと夏の疲れを引きずってる感がありますねぇ…。
そんな秋の始まりですが、今週のイルネス辞典は「結核」についてお話していこうかと…
まず「結核」と聞くとみなさん何を連想します?
ひどく咳込んで、しまいには血を吐くあれですよね。
でもあれは「肺結核」と言われるこの「結核」の一つの症状にすぎません。
症状と言うと少し違うんですが実は、「結核」とはあらゆる臓器に感染して障害を与える全身の疾患なんです。
で、これの代表的なものが「肺結核」って事なんです。
要するに「結核菌」が肺に入って感染した状態って事です。
まぁ、一番感染率が高いので、結核=「肺結核」と認識されているのもまぁ、仕方ないとこですね。
そして、この「肺結核」以外の結核を「肺外結核」と呼んでいます。
では、他にはどんなとこに感染するかと言うと、おかされる臓器としてはリンパ節が最も多く、とくに多いのが首の脇が腫れるもので、昔は「瘰癧(るいれき)」と呼ばれていました。
また骨や関節にも感染しますが、背骨にできるのが「脊椎カリエス」と呼ばれるものです。
次に腎臓(腎結核)が多く見られます。 場所的に膀胱などを巻き込むこともよくあります。
このほか結核は喉頭、腸、腹膜、また眼や耳、皮膚、生殖器に感染することもあります。
いちばん怖いのは脳にくる場合で、菌が血液の中に入って全身にばらまかれ、脳を包んでいる膜(髄膜)にたどり着き、そこに病巣を作ることによって起こります。
これを「結核性髄膜炎」と呼び、化学療法のない時代には髄膜炎はただちに死を意味していました。
今日では早く発見すればかなり助かりますが、髄膜炎は今でも1/3が死亡、治っても半数近くは脳に重い後遺症を残します。
肺外結核は今日では結核患者全体の約7%程度いうことなんで、ほぼ「肺結核」ということです。
では、何故この「肺結核」が多いかと言うと、活動性肺結核の患者さんが咳をした際、排出された結核菌が空気中に漂い、その空気を身近な人が吸うことで感染するからです。
咳のしぶきは結核菌と水分の小さな塊ですが、水分が蒸発すると結核菌の塊は軽くなり、空気中に長い時間漂い、それだけ感染の機会が増えます。
この菌には乾燥に強く紫外線に弱いという特徴がありますが、結核の感染は空気感染がほとんどです。
欧米や以前の日本では不完全な滅菌操作を受けた牛乳から感染(この場合は腸結核などの消化管結核)した牛型(うしがた)結核感染の例も報告されました。
牛型結核に感染して発症した牛の母乳を飲んだために発病したもので、これを経口感染といいます。
他の感染症と結核とで違っている点は、感染してもすぐに全員が発病するのではないということです。
感染した人のうち、発病するのは約10〜20%です。発病時期は感染後1年以内が約半分、残りは一生の間にですが、発病しない人も80〜90%います。
これが、結核の不思議な点でもあり、また、なかなか根絶できない理由でもあるわけです。
では感染から発病までですが、空気感染によって、結核菌は気道を通って肺胞に達します。
肺胞には肺胞マクロファージという食細胞が待機していて、この結核菌を細胞内に取り込んで消化・殺菌します。
ところが、結核菌が肺胞マクロファージ細胞に殺されないほどの抵抗力を示すと、逆に肺胞マクロファージ細胞のなかで増殖を続けて感染病巣をつくります。
この感染した肺胞マクロファージがリンパ液の流れに乗って肺門リンパ節に移行すると、そこでも病巣をつくります。
これを、肺門リンパ節結核と呼び、また、初期変化群とも呼びます。結核菌の勢いが強いとそのまま発病してしまいます。
通常はこの段階で生体の細胞性免疫能が結核菌に勝って封じ込めに成功します。
しかし、結核菌の一部は死滅せず、増殖もせず、冬眠するような感じで生き続けます。
これを休止菌と呼び、この状態では抗結核薬は効果がなく、これが結核菌感染症を撲滅できない理由のひとつです。
やがて、生体の免疫力が高齢化や生活習慣病などの発症で弱まると結核菌が増殖し始めて、発病します。
これを、二次結核症と呼んでいて、成人結核の多くはこの型です。
では原因ですが、ヒト型抗酸菌と牛型抗酸菌とによって発症します。
日本では、牛乳の滅菌が丹念に行われているので、牛型抗酸菌による結核感染症は近年報告されていません。
菌を出している患者さん、もしくは菌を出している患者さんからの検体に接触する機会が多い医療従事者は、結核感染の危険性が高いのです。
細胞性免疫能が弱くなった状態があれば感染が成立しやすくなります。
つまり、HIVに感染した人、長期のステロイド治療を受けている人、免疫抑制薬を使っている人、コントロール不良の糖尿病の人、血液透析を受けている人、慢性肝炎の人などです。
症状としては、発熱、咳、痰、易疲労感、食欲不振、寝汗などの症状が知らぬ間に現れます。
これらの症状は冬季に流行する感冒とまったく同じですが、感冒とは違い、症状が長期間続きます。
病院や診療所で感冒薬を処方してもらい、内服しても2週間以上症状が続けば、気管支喘息か肺結核症が疑われます。
放置すると、血痰、息切れ、体重の減少も加わります。肺結核症の一型である喉頭・気管支結核では、早期にがんこな咳と血痰(けったん)が認められます。
では、この結核、どのように治療していくかなんですが日本ではWHOが推奨している強化治療法を行っています。
それは特性のある数種類の抗結核薬を過程と症状から処方します。
この抗結核薬には、副作用の強いものもあり中には投与できないケースもあるため、この辺がさじ加減の難しいところですが、基本はこの抗結核薬を数か月投与すれば症状は改善していきます。
そして結核治療を開始して3週間は毎週1回、その後月1回は喀痰の検査を行い、結核菌の陰性化を確認します。
と言うような病気ですが、まぁ今は日本では完治する疾患だと思っていいでしょう。
ただ油断は禁物。
ただの風邪だと自分に言い聞かせ、頑張っちゃってその分、菌をばら撒くことのないように、2週間以上咳と痰、微熱が続く場合は結核を疑い、病院に行きましょうね。
いかがでしたか?
今週は「肺結核」を解説しましたが、厄介なのは今までの人生のどこかですでに保菌してる場合、ある日突然発症するって事も考えられますから、そこも知識として持っときましょう。
今のように、急に涼しくなったり寒暖差が激しかったり、夏の疲れが残ってたりと、免疫機能が低下してる時に過去の保菌が動き出すわけですからね。
先ほども書きましたが、成人結核のほとんどがこのタイプなだけに気をつけないとね。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
9月17日のサンデーイルネス(仮)でございます。
昨日から世間では3連休って事なんですが、この台風…
今日がピークっぽいので、大人しくしといた方が良さそうですねぇ…。
9月に入り、なかなか秋っぽさも感じていたり、また暑い日があったりとこの寒暖差に身体も悲鳴を上げてる頃じゃおまへんか?
わたくし院長も、何となくですが身体がダルイのか?って思う事があり、ちょっと夏の疲れを引きずってる感がありますねぇ…。
そんな秋の始まりですが、今週のイルネス辞典は「結核」についてお話していこうかと…
まず「結核」と聞くとみなさん何を連想します?
ひどく咳込んで、しまいには血を吐くあれですよね。
でもあれは「肺結核」と言われるこの「結核」の一つの症状にすぎません。
症状と言うと少し違うんですが実は、「結核」とはあらゆる臓器に感染して障害を与える全身の疾患なんです。
で、これの代表的なものが「肺結核」って事なんです。
要するに「結核菌」が肺に入って感染した状態って事です。
まぁ、一番感染率が高いので、結核=「肺結核」と認識されているのもまぁ、仕方ないとこですね。
そして、この「肺結核」以外の結核を「肺外結核」と呼んでいます。
では、他にはどんなとこに感染するかと言うと、おかされる臓器としてはリンパ節が最も多く、とくに多いのが首の脇が腫れるもので、昔は「瘰癧(るいれき)」と呼ばれていました。
また骨や関節にも感染しますが、背骨にできるのが「脊椎カリエス」と呼ばれるものです。
次に腎臓(腎結核)が多く見られます。 場所的に膀胱などを巻き込むこともよくあります。
このほか結核は喉頭、腸、腹膜、また眼や耳、皮膚、生殖器に感染することもあります。
いちばん怖いのは脳にくる場合で、菌が血液の中に入って全身にばらまかれ、脳を包んでいる膜(髄膜)にたどり着き、そこに病巣を作ることによって起こります。
これを「結核性髄膜炎」と呼び、化学療法のない時代には髄膜炎はただちに死を意味していました。
今日では早く発見すればかなり助かりますが、髄膜炎は今でも1/3が死亡、治っても半数近くは脳に重い後遺症を残します。
肺外結核は今日では結核患者全体の約7%程度いうことなんで、ほぼ「肺結核」ということです。
では、何故この「肺結核」が多いかと言うと、活動性肺結核の患者さんが咳をした際、排出された結核菌が空気中に漂い、その空気を身近な人が吸うことで感染するからです。
咳のしぶきは結核菌と水分の小さな塊ですが、水分が蒸発すると結核菌の塊は軽くなり、空気中に長い時間漂い、それだけ感染の機会が増えます。
この菌には乾燥に強く紫外線に弱いという特徴がありますが、結核の感染は空気感染がほとんどです。
欧米や以前の日本では不完全な滅菌操作を受けた牛乳から感染(この場合は腸結核などの消化管結核)した牛型(うしがた)結核感染の例も報告されました。
牛型結核に感染して発症した牛の母乳を飲んだために発病したもので、これを経口感染といいます。
他の感染症と結核とで違っている点は、感染してもすぐに全員が発病するのではないということです。
感染した人のうち、発病するのは約10〜20%です。発病時期は感染後1年以内が約半分、残りは一生の間にですが、発病しない人も80〜90%います。
これが、結核の不思議な点でもあり、また、なかなか根絶できない理由でもあるわけです。
では感染から発病までですが、空気感染によって、結核菌は気道を通って肺胞に達します。
肺胞には肺胞マクロファージという食細胞が待機していて、この結核菌を細胞内に取り込んで消化・殺菌します。
ところが、結核菌が肺胞マクロファージ細胞に殺されないほどの抵抗力を示すと、逆に肺胞マクロファージ細胞のなかで増殖を続けて感染病巣をつくります。
この感染した肺胞マクロファージがリンパ液の流れに乗って肺門リンパ節に移行すると、そこでも病巣をつくります。
これを、肺門リンパ節結核と呼び、また、初期変化群とも呼びます。結核菌の勢いが強いとそのまま発病してしまいます。
通常はこの段階で生体の細胞性免疫能が結核菌に勝って封じ込めに成功します。
しかし、結核菌の一部は死滅せず、増殖もせず、冬眠するような感じで生き続けます。
これを休止菌と呼び、この状態では抗結核薬は効果がなく、これが結核菌感染症を撲滅できない理由のひとつです。
やがて、生体の免疫力が高齢化や生活習慣病などの発症で弱まると結核菌が増殖し始めて、発病します。
これを、二次結核症と呼んでいて、成人結核の多くはこの型です。
では原因ですが、ヒト型抗酸菌と牛型抗酸菌とによって発症します。
日本では、牛乳の滅菌が丹念に行われているので、牛型抗酸菌による結核感染症は近年報告されていません。
菌を出している患者さん、もしくは菌を出している患者さんからの検体に接触する機会が多い医療従事者は、結核感染の危険性が高いのです。
細胞性免疫能が弱くなった状態があれば感染が成立しやすくなります。
つまり、HIVに感染した人、長期のステロイド治療を受けている人、免疫抑制薬を使っている人、コントロール不良の糖尿病の人、血液透析を受けている人、慢性肝炎の人などです。
症状としては、発熱、咳、痰、易疲労感、食欲不振、寝汗などの症状が知らぬ間に現れます。
これらの症状は冬季に流行する感冒とまったく同じですが、感冒とは違い、症状が長期間続きます。
病院や診療所で感冒薬を処方してもらい、内服しても2週間以上症状が続けば、気管支喘息か肺結核症が疑われます。
放置すると、血痰、息切れ、体重の減少も加わります。肺結核症の一型である喉頭・気管支結核では、早期にがんこな咳と血痰(けったん)が認められます。
では、この結核、どのように治療していくかなんですが日本ではWHOが推奨している強化治療法を行っています。
それは特性のある数種類の抗結核薬を過程と症状から処方します。
この抗結核薬には、副作用の強いものもあり中には投与できないケースもあるため、この辺がさじ加減の難しいところですが、基本はこの抗結核薬を数か月投与すれば症状は改善していきます。
そして結核治療を開始して3週間は毎週1回、その後月1回は喀痰の検査を行い、結核菌の陰性化を確認します。
と言うような病気ですが、まぁ今は日本では完治する疾患だと思っていいでしょう。
ただ油断は禁物。
ただの風邪だと自分に言い聞かせ、頑張っちゃってその分、菌をばら撒くことのないように、2週間以上咳と痰、微熱が続く場合は結核を疑い、病院に行きましょうね。
いかがでしたか?
今週は「肺結核」を解説しましたが、厄介なのは今までの人生のどこかですでに保菌してる場合、ある日突然発症するって事も考えられますから、そこも知識として持っときましょう。
今のように、急に涼しくなったり寒暖差が激しかったり、夏の疲れが残ってたりと、免疫機能が低下してる時に過去の保菌が動き出すわけですからね。
先ほども書きましたが、成人結核のほとんどがこのタイプなだけに気をつけないとね。
では、来週のイルネス辞典をお楽しみに〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院