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2024年11月24日 [からだのこと]

(404)サンデーイルネス(仮)有毒植物による食中毒について2話

お疲れ様です。院長です。

11月24日のサンデーイルネスでございます。

冬が始まりました。

当分の間は寒い寒いと騒がないといけません。

ですが、まだこの冬の前半は楽しいイベントもたくさんありますし、寒さもまだ余裕がありますんで、年内に寒さに慣れるようにしておいてくださいね。

年明けたらもう、寒いだけの冬ですから…。

では本題に行きましょう。

今日は、「有毒植物による食中毒」の2話目です。


心臓障害を起こす植物毒


(1)ジギタリス

強心および利尿薬として有名なゴマノハグサ科の植物で、葉は毒性も強く、量をとりすぎると嘔吐、下痢を伴う中毒を引き起こします。

かつてはコンフリーと誤って食べた中毒が多く報告されたことがあります。

成分的には、ステロイド系の配糖体ラナトシド、プルプレアグルコシド、ジギトキシンなどです。同系のステロイドを含む植物として、キョウチクトウ科のストロファンツスがあり、G‐ストロファンチン(ワバイン)を含みます。

ガマ毒のブホトキシンと構造的に似ています。

地中海地方に産するユリ科のカイソウも、ガマ毒に似た成分を含み、強心利尿薬の原料となっています。


(2)キョウチクトウ、スズラン、オモト、フクジュソウ、クリスマスローズ

これらの植物も似たような系統の化合物を含んでいます。

そのほか、ガガイモ科のイケマは北海道に自生し、アイヌ民族の万能薬として用いられていましたが、根にシナンコゲニンを含み、強心利尿作用があります。

以上の対処法としては、まず胃洗浄、医薬用活性炭の胃内投与を行い、症状に応じてカリウム、不整脈の場合はフェニトイン、心室の期外収縮にはリドカイン、部分的心房障害にはアトロピンなどを投与します。

一般の人にできるのはまず吐かせることで、あとは医師に任せます。


けいれん・麻痺を起こす植物毒


呼吸麻痺作用をもつ植物毒のなかで、青酸以外のものはいずれも中枢あるいは末梢神経にはたらき、呼吸困難を引き起こす作用があります。

したがって、呼吸困難を起こす植物毒のなかにも、激しいけいれんや麻痺を伴うものが少なくありません。

ツヅラフジ科のアナミルタ属植物から得られるセスキテルペン系化合物のピクロトキシンは、実験動物にけいれんを起こさせる標準物質として用いられることもあります。

また、ドクゼリのシクトキシンやドクウツギのコリアミルチン、キンポウゲのアネモニンも強烈なけいれん毒です。


(1)シキミ

シキミ科に属し、セスキテルペン系のアニサチンを含み、強い嘔吐、けいれんを起こします。果実の形が大茴香(だいういきょう)に似ているので、間違えて問題が起きたことがあります。

ミヤマシキミやツルシキミは、名前は似ていますがミカン科に属する植物で、アルカロイドのスキミアニンやジクタムニンを含み、強烈なけいれんを伴う中毒を引き起こします。


(2)アセビ

ツツジ科で山野に自生する有毒植物です。

牛馬が誤ってこの葉を食べると麻痺するというので馬酔木(あせび)の名があります。

有毒成分は苦味質のアセボトキシンで、葉を食べるとよだれ、嘔吐、下痢、手足の麻痺を伴い、酩酊(めいてい)状態になります。

同科のネジキ、ハナヒリノキ、シャクナゲ、レンゲツツジなどもグラヤノトキシン系のジテルペンを含み、似たような作用を示し、激しい時は呼吸麻痺で死に至ることがあります。


(3)ヒガンバナ(マンジュシャゲ)

ヒガンバナ科の植物で、お彼岸の時期に赤い美しい花を咲かせます。

全草とくに根にアルカロイドのリコリンを含み、嘔吐、よだれ、下痢を起こします。これは、リコリンが強い中枢神経麻痺作用をもっているためです。

同科のキツネノカミソリやハマオモトも同様の中毒症状を示し、けいれん、麻痺を起こします。


(4)サワギキョウ、ロベリア

キキョウ科の植物で、アルカロイドのロベリンを含みます。

医薬品としては呼吸中枢興奮薬として用いられますが、小量で呼吸興奮、嘔吐、下痢に続いて虚脱状態に陥り、多量でけいれん、呼吸麻痺、心臓麻痺を起こして死に至ります。


(5)クラーレ

南米でクラーレとして有名な矢毒は、ツヅラフジ科およびマチン科の植物を原料にしています。産地によって3種類のクラーレがありますが、有毒成分はいずれもインドール系およびビスコクラウリン系のアルカロイドです。

医薬品のツボクラリンは、インドール系はマチン科の植物、ビスコクラウリン系はツヅラフジ科の植物から作られる、末梢性筋弛緩薬(きんしかんやく)です。

また、マチン科のホミカはインド、スリランカに産しますが、やはりインドール系のストリキニーネを含んでいて猛毒性を現します。

ホミカは苦味健胃剤(くみけんいざい)に配合されますが、量を誤ると全身の筋肉の強直性けいれんを起こします。

ホミカの種子1個で、致死量に近いアルカロイドを含んでいます。

いかがでしたか。

では次回のイルネス辞典をお楽しみに〜。









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