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2024年05月08日 [からだのこと]

プラセボ効果の謎

お疲れ様です。院長です。

5月8日の水曜日でございます。

だいぶ、暑くなってきましたねぇ…。

では今日も元気にネタいきましょう。

今日は「プラセボ効果」についてのお話です。

「プラセボ効果」や「偽薬効果」は、 本当はなんの効果もないただの砂糖の錠剤だったとしても、よく効く薬として処方されると、本当に改善効果をもたらすというものです。

実際に医療におけるプラセボ効果は単なる錯覚ではありません。

近年の研究により、プラセボ効果が有効な治療手段としての可能性を秘めていることが明らかになっています。

私たちの体は想像以上に心理的影響を受けているようで、同じプラセボ(偽薬)でも、色やブランドイメージ、値段などで効果も変わってくるそうなんですよ。

てことで、プラセボ効果の不思議な力を深ぼってみましょう。

心理学者のクリスチャン・ジャレット氏によると、プラセボ(偽薬)の色やブランドイメージだけでその効果が左右されると…。

実際に青いプラセボはピンクのものより優れた鎮静効果を発揮するそうですし、ブランド物のプラセボはノーブランドのものより良く効くんだとか…。

最も興味深いのは値段によってプラセボ効果が変わってくることでしょう。

高価なものほど良いものに思えくるのは人の性ですが、それはプラセボも同様で、同じプラセボでも高価なものほどより効果的なんだそうです。

医学化学者のデレク・ロウ氏は、パーキンソン病の患者を対象とした2015年の研究について解説しています。

その研究では、パーキンソン病の患者に新しい治療薬をテストしていると告げて、2種類の薬を注射しました。

じつはどちらもただの生理食塩水だったのですが、高価と説明された薬と安価と説明された薬とでは、前者の方が症状が改善されたそうなんです。

高価なものは安物やノーブランドより高品質という考えは、想像以上に私たちの心に刷り込まれているようです。

そしてプラセボと似たような効果は医学以外の分野でも見られます。

たとえばスポーツブランドのナイキの製品を使っていると言われると、ノーブランドの製品よりもパフォーマンスが上がるという研究結果も報告されているそうです。

3Mが作った耳栓は、ノーブランドの耳栓より音の遮断効果が高いと感じる人も多いんだとか…。

同様に、高価なワインを飲んでいると言われれば、まったく同じワインでも、安物のワインよりもおいしいとの感想が多くなるそうです。

こうしたとき、たとえ科学的根拠のない思い込みであっても、その人は確かにおいしく感じており、”客観的な味”と”心で感じる味”を区別することはできません。

プラセボにもこれと似たところがあります。

プラセボ効果は薬だけのものではありません。

誰でも体を傷つけたくはありませんが、それでも手術や注射など、痛みを伴う治療法がよく効くと考えている人は多いでしょう。

その思い込みがプラセボ効果をアップさせるわけです。

オックスフォード大学のジェレミー・ハウィック氏によるThe Conversationの記事によると、同じプラセボでも「錠剤よりも注射の方が効果的という証拠」があるそうです。

生理食塩水の注射が砂糖の錠剤よりも効果的であるべき明白な理由はもちろんありません。

それでも私たちは錠剤より注射の方がよく効くと思い込んでいるらしく、それがプラセボ効果を増幅させているようなんですね。

この認知バイアスは非常に強力で、場合によってはニセ注射の方が本物の薬よりも効果があることもあるんだとか…。

そして最強のプラセボ効果を求めるのなら、「メス」の出番だ。

つまりたとえニセ手術だったとしても、きちんとした手術を受けたと思った患者の4分の3は症状が改善するそうです。

ジャレット氏によると、同氏がもっとも驚愕したプラセボ効果は、なんとニセの脳手術によるものだったそうです。

パーキンソン病患者を対象に、脳に幹細胞を移植するというプラセボ脳手術を受けてもらったところ、幹細胞の移植はないと説明された患者よりも大きな効果があったそうです。

このように効果があるのは明白なんですが、ではなぜ効くのか?ってことですよね。

まずは、思い込みってこともあるんでしょうけど、それだけではここまで効果が出るとも思えません。

ある説では治療といういわば儀式によって、脳が体内の病気のレベルを再調整すると説明しています。

また別の説は、治療における認知の不協和によって引き起こされる自己認識の高まりがプラセボ効果をもたらすと説明しています。

2022年の研究によれば、「症状を治療するために無意味な錠剤を処方されるという逆説的な難問に直面することで、プラセボ効果についてだけでなく、自分自身の症状や習慣、気分への個人的な影響についても真剣に熟慮するようになった」ことが背景にあるらしいです。

もちろん、プラセボは万能ではないですし、全く効果が出ない人もいます。

それでも医療の現場において、プラセボを無視することはできないそうです。

プラセボにはきちんとした臨床的な効果があり、統計的に有意で、しかも患者を安心させることもできると…。

まぁ、結果的に症状が少しでも緩和されるなら、なんでもアリなんですけどね。

このプラセボ効果、全容が解明される日はくるんでしょうか…。

ではまた〜。












京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院


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