2024年04月02日 [動物のこと]
月とクマムシ
お疲れ様です。院長です。
4月2日の火曜日でございます。
4月に入り、やはり気持ち的にも春めいてきましたね。
何となくですけど…。
もうすぐ桜も見頃になりますし、テンション上がってきますね。
てことで、今日もネタにいきましょう。
今日のネタは久々の「クマムシ」ネタでございます。
クマムシ…。
このブログでも、何度も登場している、地上最強の生物と言われる緩歩動物(かんぽどうぶつ)です。
このクマムシですが、今、月に行ってるんですよ。
今から5年前の2019年4月、イスラエルの民間団体が打ち上げた月探査機「ベレシート」が月面に墜落しました。
この話、2010年の8月にこのブログで紹介しています。
この探査機にはクマムシが数千匹格納されていたのですが、そのまま置き去りの状態になってしまったわけです。
銃で射出されても死なないクマムシですから、もしかしたらこの衝突に耐えて、今も月で生存しているのではないでしょうか?
と期待に胸を膨らませている生物マニアも多いわけなんです。
ですが例えクマムシといえども、空気も水もない月で生き延びることなどできるのでしょうか?
この疑問について、フランス国立自然史博物館の専門家が科学的見地から考察してくれています。
月探査機「ベレシート」は、民間団体として初の月面着陸を目指したミッションで、2019年2月22日に打ち上げられました。
4月4日に月周回軌道への投入に成功したものの、4月11日の着陸時に悪夢に見舞われました。
高速で移動するベレシートは、着陸するために減速しなければならなかったのですが、減速中にジャイロスコープが故障し、主エンジンがブロックされてしまったんですね。
月面から高度150mの高さを飛行していたベレシートの速度は、時速500km。そのまま月面に激突し、木っ端微塵に砕け散ったわけです。
さて、ここで問題になるのが宇宙船に乗っていた数千匹のクマムシの運命なわけです。
クマムシは体長1mmにも満たない小さな生き物ですが、あまりのタフさにしばしば地上最強生物と称されることはご存知の通りです。
一口にクマムシと言っても、合計1265種(うち2種は化石)が報告されている多様な生き物で、熱帯から極地、深海から高地まで、ほぼあらゆる場所に生息しています。
ですが私たち人間と同じく、水がとても大切で、そのほとんどは半ば水中のような環境で生きています。
クマムシが歩き回り、クロレラのような小さな藻類を食べ、成長し、繁殖するためには、水の膜に囲まれている必要があります。
それゆえに、体内の水分が95%も失われると代謝を停止させ乾眠状態に入るわけです。
ただしクマムシの中には、トレハロースという糖を合成して不凍液を作ったり、タンパク質を合成してガラス状のネットワークに組み込み細胞を守る種がいたりします。
いずれにせよ、乾眠状態となったクマムシの体は、普段の半分くらいまで縮んでしまいます。
これがクマムシを地上最強の生物たらしめる秘密なんですね。
乾眠しているクマムシは、ほとんど死んでいるかのように見えますが、きちんと生きており、また水が戻ってくれば復活します。
ただ乾燥に耐えられるだけでなく、この状態ならマイナス272度から150℃までの極端な温度でも数分間生き延びることができるとも言われています。
おまけに放射線にも強くなり、4400グレイのガンマ線にも耐えられるそうです。
ちなみに40〜50000グレイの線量は、ほぼあらゆる物質を殺菌できるもので、人間なら10グレイでも致命的です(笑)
ではこれほどタフなクマムシ、月に墜落した後どうなったのでしょう?
激しい衝撃を生き残り、月という新天地で元気に暮らしているのでしょうか?
と期待してしまいますが、フランス国立自然史博物館のローラン・パルカ氏の考察によれば、その可能性は低いそうです。
クマムシが月で生き延びるには、まず最初の激しい衝突に耐えねばなりません。
ですが、これは問題ないだろうと…。
まるで銃弾のように射出された過去の実験では、クマムシが時速2600kmの衝撃に耐えられることが確認されていますので、月面への激突は、それよりもずっと優しいものだったと推察されるからです。
では、これを切り抜けたとして、宇宙から降り注ぐ放射線はどうでしょう?
地磁気がバリアになる地球とは違い、月に太陽からの粒子や宇宙線から守ってくれるものはありません。
ですがこれも、きっとクマムシなら耐えられると…。
たとえば月面には耐えずガンマ線が降り注いでいるんですが、それを10年間浴びたとしても、総線量は1グレイ程度でしかないそうなんです。
4400グレイに耐えるクマムシには、痛くも痒くもないだろうと…。
問題なのはクマムシが乾眠から復活して、繁栄できるかどうかです。
そのためには水が必要なんですが、月ではそれが簡単には手に入りません。
また月の気温は、夜になればマイナス170〜マイナス190度、昼は100〜120度にもなり、地球とはまるで違います。
しかもそれがいつまでも続きます。
月の昼と夜は、地球での15日弱に相当します。
残念ながらクマムシは、水・酸素・微細藻類の不足を克服することができず、復活することも、子供を作ることもできないだろうと、パルカ氏は予測しています。
でも…。
死んではいないんですよね。
仮死状態で、復活を待ってるわけですから、今後何が起こるか分からないもんねぇ…。
人類が月に自由に行けるようになれば、また環境は変わるかもしれませんしね。
クマムシ…。
それまで寝ててください(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
4月2日の火曜日でございます。
4月に入り、やはり気持ち的にも春めいてきましたね。
何となくですけど…。
もうすぐ桜も見頃になりますし、テンション上がってきますね。
てことで、今日もネタにいきましょう。
今日のネタは久々の「クマムシ」ネタでございます。
クマムシ…。
このブログでも、何度も登場している、地上最強の生物と言われる緩歩動物(かんぽどうぶつ)です。
このクマムシですが、今、月に行ってるんですよ。
今から5年前の2019年4月、イスラエルの民間団体が打ち上げた月探査機「ベレシート」が月面に墜落しました。
この話、2010年の8月にこのブログで紹介しています。
この探査機にはクマムシが数千匹格納されていたのですが、そのまま置き去りの状態になってしまったわけです。
銃で射出されても死なないクマムシですから、もしかしたらこの衝突に耐えて、今も月で生存しているのではないでしょうか?
と期待に胸を膨らませている生物マニアも多いわけなんです。
ですが例えクマムシといえども、空気も水もない月で生き延びることなどできるのでしょうか?
この疑問について、フランス国立自然史博物館の専門家が科学的見地から考察してくれています。
月探査機「ベレシート」は、民間団体として初の月面着陸を目指したミッションで、2019年2月22日に打ち上げられました。
4月4日に月周回軌道への投入に成功したものの、4月11日の着陸時に悪夢に見舞われました。
高速で移動するベレシートは、着陸するために減速しなければならなかったのですが、減速中にジャイロスコープが故障し、主エンジンがブロックされてしまったんですね。
月面から高度150mの高さを飛行していたベレシートの速度は、時速500km。そのまま月面に激突し、木っ端微塵に砕け散ったわけです。
さて、ここで問題になるのが宇宙船に乗っていた数千匹のクマムシの運命なわけです。
クマムシは体長1mmにも満たない小さな生き物ですが、あまりのタフさにしばしば地上最強生物と称されることはご存知の通りです。
一口にクマムシと言っても、合計1265種(うち2種は化石)が報告されている多様な生き物で、熱帯から極地、深海から高地まで、ほぼあらゆる場所に生息しています。
ですが私たち人間と同じく、水がとても大切で、そのほとんどは半ば水中のような環境で生きています。
クマムシが歩き回り、クロレラのような小さな藻類を食べ、成長し、繁殖するためには、水の膜に囲まれている必要があります。
それゆえに、体内の水分が95%も失われると代謝を停止させ乾眠状態に入るわけです。
ただしクマムシの中には、トレハロースという糖を合成して不凍液を作ったり、タンパク質を合成してガラス状のネットワークに組み込み細胞を守る種がいたりします。
いずれにせよ、乾眠状態となったクマムシの体は、普段の半分くらいまで縮んでしまいます。
これがクマムシを地上最強の生物たらしめる秘密なんですね。
乾眠しているクマムシは、ほとんど死んでいるかのように見えますが、きちんと生きており、また水が戻ってくれば復活します。
ただ乾燥に耐えられるだけでなく、この状態ならマイナス272度から150℃までの極端な温度でも数分間生き延びることができるとも言われています。
おまけに放射線にも強くなり、4400グレイのガンマ線にも耐えられるそうです。
ちなみに40〜50000グレイの線量は、ほぼあらゆる物質を殺菌できるもので、人間なら10グレイでも致命的です(笑)
ではこれほどタフなクマムシ、月に墜落した後どうなったのでしょう?
激しい衝撃を生き残り、月という新天地で元気に暮らしているのでしょうか?
と期待してしまいますが、フランス国立自然史博物館のローラン・パルカ氏の考察によれば、その可能性は低いそうです。
クマムシが月で生き延びるには、まず最初の激しい衝突に耐えねばなりません。
ですが、これは問題ないだろうと…。
まるで銃弾のように射出された過去の実験では、クマムシが時速2600kmの衝撃に耐えられることが確認されていますので、月面への激突は、それよりもずっと優しいものだったと推察されるからです。
では、これを切り抜けたとして、宇宙から降り注ぐ放射線はどうでしょう?
地磁気がバリアになる地球とは違い、月に太陽からの粒子や宇宙線から守ってくれるものはありません。
ですがこれも、きっとクマムシなら耐えられると…。
たとえば月面には耐えずガンマ線が降り注いでいるんですが、それを10年間浴びたとしても、総線量は1グレイ程度でしかないそうなんです。
4400グレイに耐えるクマムシには、痛くも痒くもないだろうと…。
問題なのはクマムシが乾眠から復活して、繁栄できるかどうかです。
そのためには水が必要なんですが、月ではそれが簡単には手に入りません。
また月の気温は、夜になればマイナス170〜マイナス190度、昼は100〜120度にもなり、地球とはまるで違います。
しかもそれがいつまでも続きます。
月の昼と夜は、地球での15日弱に相当します。
残念ながらクマムシは、水・酸素・微細藻類の不足を克服することができず、復活することも、子供を作ることもできないだろうと、パルカ氏は予測しています。
でも…。
死んではいないんですよね。
仮死状態で、復活を待ってるわけですから、今後何が起こるか分からないもんねぇ…。
人類が月に自由に行けるようになれば、また環境は変わるかもしれませんしね。
クマムシ…。
それまで寝ててください(笑)
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院