2023年11月26日 [からだのこと]
(352)サンデーイルネス(仮)メンデル遺伝と疾患について前
お疲れ様です。院長です。
11月26日のサンデーイルネスでございます。
11月最後のサンデーイルネスでございますな。
ついに12月、慌ただしくなりますねぇ…。
てことで、とっとと本題に入りましょう。
今日はちょっと趣向を変えて、「メンデル遺伝と疾患」についてお話ししたいと思いいます。
ちょっと長くなりそうなんで、2回に分けてお送りしますよ。
メンデルの遺伝の法則を基に病気を遺伝形式に従って分類すると、常染色体優性(じょうせんしょくたいゆうせい)遺伝病、常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)遺伝病、X連鎖(れんさ)優性遺伝病、X連鎖劣性遺伝病、Y連鎖遺伝病があげられます。
ここでは頻度が比較的高い、常染色体優性遺伝病、常染色体劣性遺伝病、X連鎖劣性遺伝病を取り上げて説明します。
常染色体優性遺伝病(じょうせんしょくたいゆうせいいでんびょう)
常染色体優性遺伝の形式によって起こる病気はたくさんの種類が知られていますが、それらの遺伝形式には共通する特徴があります。
発病する人の遺伝子型はヘテロ接合、すなわちAaがほとんどです。
もちろん、変異した対立遺伝子がホモ接合する遺伝子型AAの状態も病気になることが考えられますが、この場合は極めて重症になるか、この世に生を受けることができない場合が多いと考えられています。
両親のどちらかが患者さんであれば、その子どもは50%の確率で同じ表現型を示し、病気になる可能性があります。
家系をみわたすと、各世代に同じ病気になった人が何人かいる場合があります。
発病した人は同じヘテロ接合であると考えられ、次の世代に変異のある対立遺伝子を伝える可能性があります。
実際に、遺伝子検査が可能になった現在では、家系調査から実証されています。
しかし、同じ家系内では同じ遺伝子型であっても症状の程度に個人差があり、重症から軽症まで一定しない傾向があります。
常染色体に関係する遺伝疾患は、男女比に発生頻度差がないのが通常です。
家族性高コレステロール血症、ハンチントン病、家族性腺腫性(せんしゅせい)ポリポーシスなどが知られています。
常染色体劣性遺伝病(じょうせんしょくたいれっせいいでんびょう)
変異のある対立遺伝子がホモ接合して初めて発病します。
ヘテロ接合の状態では発病せず、保因者になります。これは、ヘテロ接合で発病する常染色体優性遺伝病とまったく違うところです。
両親がヘテロ接合の保因者の時、その子どもがホモ接合になって発病する確率は25%です。
逆にいえば、患者さんの両親は保因者と考えることができます。
したがって、患者さんの兄弟姉妹は同じ病気になる可能性が25%であることを念頭におく必要があります。
とくに、両親がいとこ婚、ふたいとこ(またいとこ)婚などの近親婚の場合、発症率が高くなることが知られています。
常染色体劣性遺伝病はフェニルケトン尿症(にょうしょう)、アルカプトン尿症など代謝性疾患(たいしゃせいしっかん)に多いことが知られています。
同じ家系内の患者間では、症状の程度はほぼ同じでばらつきが少ないことは、常染色体優性遺伝病と違う点です。
男女で発症率が同じであることは、常染色体に由来する疾患では共通しています。
X連鎖劣性遺伝病(エックスれんされっせいいでんびょう)
X染色体に存在する遺伝子に関係するため、男子と女子で異なる発症率を示す特徴があります。また、父親のX染色体上の遺伝子は娘に伝えられますが、息子に伝わることはありません。一方、母親はX染色体を2本もっていますが、子どもが男児であろうと女児であろうと、どちらかのX染色体上の対立遺伝子を伝えることになります。
X染色体上の野生型対立遺伝子をXAとし、その変異型遺伝子をXaとすると、男性が変異遺伝子Xaを受け継ぎ、Xaの遺伝子型になった場合、Xa自身は劣性遺伝子であっても、X染色体が1本のヘミ接合のため、その影響を反映して発病することになります。そのため、X連鎖劣性遺伝病の患者はほとんど男性です。
女性の遺伝子型はXAXAが正常、XAXaは保因者になり、通常は発病しません。XaXaでは、劣性遺伝子のホモ接合であるため男性と同じように発病しますが、父親が遺伝子型XaYの患者である条件を満たす場合に限られるため、実際は極めて少ないといえます。ただ、女性の2本のX染色体のうち1本は機能を停止し、不活性化した状態にあることが原因になって、XAXaの女性でも軽症で発病することがまれにあります。
一般に、男性の患者さんの母親は保因者である可能性が高くなります。また、その父親や男兄弟に発病した人がいることがしばしばあります。血友病(けつゆうびょう)はX連鎖劣性遺伝をし、英国のヴィクトリア女王を中心とするヨーロッパ王室間の遺伝はよく知られています。
てことで、続きは来週おおくりします。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
11月26日のサンデーイルネスでございます。
11月最後のサンデーイルネスでございますな。
ついに12月、慌ただしくなりますねぇ…。
てことで、とっとと本題に入りましょう。
今日はちょっと趣向を変えて、「メンデル遺伝と疾患」についてお話ししたいと思いいます。
ちょっと長くなりそうなんで、2回に分けてお送りしますよ。
メンデルの遺伝の法則を基に病気を遺伝形式に従って分類すると、常染色体優性(じょうせんしょくたいゆうせい)遺伝病、常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)遺伝病、X連鎖(れんさ)優性遺伝病、X連鎖劣性遺伝病、Y連鎖遺伝病があげられます。
ここでは頻度が比較的高い、常染色体優性遺伝病、常染色体劣性遺伝病、X連鎖劣性遺伝病を取り上げて説明します。
常染色体優性遺伝病(じょうせんしょくたいゆうせいいでんびょう)
常染色体優性遺伝の形式によって起こる病気はたくさんの種類が知られていますが、それらの遺伝形式には共通する特徴があります。
発病する人の遺伝子型はヘテロ接合、すなわちAaがほとんどです。
もちろん、変異した対立遺伝子がホモ接合する遺伝子型AAの状態も病気になることが考えられますが、この場合は極めて重症になるか、この世に生を受けることができない場合が多いと考えられています。
両親のどちらかが患者さんであれば、その子どもは50%の確率で同じ表現型を示し、病気になる可能性があります。
家系をみわたすと、各世代に同じ病気になった人が何人かいる場合があります。
発病した人は同じヘテロ接合であると考えられ、次の世代に変異のある対立遺伝子を伝える可能性があります。
実際に、遺伝子検査が可能になった現在では、家系調査から実証されています。
しかし、同じ家系内では同じ遺伝子型であっても症状の程度に個人差があり、重症から軽症まで一定しない傾向があります。
常染色体に関係する遺伝疾患は、男女比に発生頻度差がないのが通常です。
家族性高コレステロール血症、ハンチントン病、家族性腺腫性(せんしゅせい)ポリポーシスなどが知られています。
常染色体劣性遺伝病(じょうせんしょくたいれっせいいでんびょう)
変異のある対立遺伝子がホモ接合して初めて発病します。
ヘテロ接合の状態では発病せず、保因者になります。これは、ヘテロ接合で発病する常染色体優性遺伝病とまったく違うところです。
両親がヘテロ接合の保因者の時、その子どもがホモ接合になって発病する確率は25%です。
逆にいえば、患者さんの両親は保因者と考えることができます。
したがって、患者さんの兄弟姉妹は同じ病気になる可能性が25%であることを念頭におく必要があります。
とくに、両親がいとこ婚、ふたいとこ(またいとこ)婚などの近親婚の場合、発症率が高くなることが知られています。
常染色体劣性遺伝病はフェニルケトン尿症(にょうしょう)、アルカプトン尿症など代謝性疾患(たいしゃせいしっかん)に多いことが知られています。
同じ家系内の患者間では、症状の程度はほぼ同じでばらつきが少ないことは、常染色体優性遺伝病と違う点です。
男女で発症率が同じであることは、常染色体に由来する疾患では共通しています。
X連鎖劣性遺伝病(エックスれんされっせいいでんびょう)
X染色体に存在する遺伝子に関係するため、男子と女子で異なる発症率を示す特徴があります。また、父親のX染色体上の遺伝子は娘に伝えられますが、息子に伝わることはありません。一方、母親はX染色体を2本もっていますが、子どもが男児であろうと女児であろうと、どちらかのX染色体上の対立遺伝子を伝えることになります。
X染色体上の野生型対立遺伝子をXAとし、その変異型遺伝子をXaとすると、男性が変異遺伝子Xaを受け継ぎ、Xaの遺伝子型になった場合、Xa自身は劣性遺伝子であっても、X染色体が1本のヘミ接合のため、その影響を反映して発病することになります。そのため、X連鎖劣性遺伝病の患者はほとんど男性です。
女性の遺伝子型はXAXAが正常、XAXaは保因者になり、通常は発病しません。XaXaでは、劣性遺伝子のホモ接合であるため男性と同じように発病しますが、父親が遺伝子型XaYの患者である条件を満たす場合に限られるため、実際は極めて少ないといえます。ただ、女性の2本のX染色体のうち1本は機能を停止し、不活性化した状態にあることが原因になって、XAXaの女性でも軽症で発病することがまれにあります。
一般に、男性の患者さんの母親は保因者である可能性が高くなります。また、その父親や男兄弟に発病した人がいることがしばしばあります。血友病(けつゆうびょう)はX連鎖劣性遺伝をし、英国のヴィクトリア女王を中心とするヨーロッパ王室間の遺伝はよく知られています。
てことで、続きは来週おおくりします。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院