2022年01月24日 [動物のこと]
カブトガニの憂鬱
お疲れ様です。院長です。
1月24日の月曜日でございます。
1月も残り1週間程となりましたね。
これから2月は特に寒いですから、気をつけないとね。
以前、このブログでも紹介したことがあるんですが、今日はカブトガニについてのお話しでもしようかと思っております。
いきなりカブトガニってって話ですが、カブトガニの青い血液は、医薬品などの細菌汚染をチェックするための検査薬の原料として非常に重宝されてるって話は前にお伝えした通りです。
読んでない方は、このブログを読んできてください。
で、毎年大量に捕獲されることから絶滅が危惧され、2018年、アメリカの一部の医療会社は代わりに合成化合物の検査薬に段階的に切り替えると発表したんですが、ここ最近、カブトガニの血液の需要が高まり、高値で売買されているそうなんです。
カブトガニを守りたい環境団体とビジネスを続けたい企業や政府との溝はなかなか埋まらないようなんですねぇ。
グラム陰性菌が持つ「エンドトキシン(内毒素)」という成分は、人体に入ると致死性のショックや発熱などを引き起こす危険な毒素です。
その健康被害を防ぐために使われているのが、「カブトガニ血球抽出物(LAL)」なんです。
その名の通り、カブトガニの血液から抽出されたこの検査薬は、エンドトキシンに触れると固まる性質があります。
この性質を利用して、ワクチン・医薬品・医療機器などのエンドトキシン汚染を検査することができるわけなんです。
その需要は高く、1リットルが170万円以上で取引されることもあるそうです。
そのおかげで、カブトガニの血抜きビジネスが大流行りなわけです。
因みに前回、このブログで紹介した時は1リットルあたり150万円ってお伝えしてましたから、値上がりしてんぢゃん(笑)
前回は、9月に紹介してますから、それから高値を更新してるんでしょう。
やはり、ワクチン需要とかありますしねぇ…。
これからさらに高騰する可能性もあるわけですね。
まぁ、そんなに高価ならと、アメリカでは毎年50万匹のカブトガニが捕獲され、血液を抜かれています。
血を抜かれたカブトガニは海に返されますが、体への負担は大きく、最大で3割は死んでしまうと推定されているそうです。
このような捕獲に対する法規制はほとんどなく、アメリカではカブトガニの生息数が急激に減少を続けているそうなんです。
そりゃ規制がなく、1リットル取れば170万でしょ?
抜くよね〜(笑)
捕まえては抜き〜、捕まえては抜き〜ですわ。
そんなこんなで、アメリカ最大のカブトガニ生息地であるデラウェア湾では、1990年に124万匹いたが、2002年には33万4000匹未満にまで減少したそうなんです。
その生息数は一見安定しているように見えますが、カブトガニ(Limulus polyphemus/アメリカカブトガニ)はすでに、IUCNの「準絶滅危惧種」に指定されています。
1
そしてカブトガニの減少は、他の生物にも影響があると考えられています。
カブトガニ血球抽出物の主要な生産企業である「チャールズ・リバー・ラボラトリーズ社」は、5月から6月の産卵期にかけて、海岸のカブトガニを囲い込んで血液を抜きます。
通常ならメスはこの期間に8万個の卵を産むと言われています。
これはコオバシギなどの渡鳥にとっては大切なエサとなります。
ですがコオバシギはここ数十年で8割も生息数が減っているんだとか…。
その原因は、カブトガニの卵の減少と関係があると推測されているそうです。
このような状況の中、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ社とサウスカロライナ州天然資源省は、絶滅危惧種保護法違反の疑いで環境NPOから提訴されています。
じつはカブトガニ血球抽出物の代わりはあるにはあるんです。
人工的に生産できる「遺伝子組換え血液凝固C因子(rFC)」は、カブトガニ血球抽出物と同じ性能があるとされ、EU諸国や中国などではすでに承認されています。
しかしチャールズ・リバー・ラボラトリーズ社は、その安全性を証明するには、まだまだ研究が必要だと主張。
くわえて、釣り餌としてのカブトガニの使用を禁止する取り組みを支援するなど、「健全なカブトガニの生息地を守る」ための活動も行なっていると述べています。
デラウェア湾の生態系について詳しい生物学者のラリー・ナイルズ氏は、こうした企業や政府の態度には本質的な矛盾があると話しています。
彼らは保護種ではないカブトガニなど、まるで価値がないものとみなしています。
その一方で、57兆円の産業にもなったその血液に大きな価値を見出しているんだと…。
こうしたカブトガニ保護の機運の高まりを受けて、アメリカがカブトガニの保護へ向けて舵を切るのかどうか、今のところわかりません。
血液に代わる代替試験薬には、性能とコストの両面でメリットがあることを企業が気づいてくれればと保護派の人たちは期待しているそうです。
日本人にとっては、カブトガニ自体が比較的珍しい生物ですし、保護対象が当然って気もするんですが、カブトガニもややこしい血液さえ持たなければ、好き勝手に生きれたのにねぇ。
気の毒な話ですな。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院
1月24日の月曜日でございます。
1月も残り1週間程となりましたね。
これから2月は特に寒いですから、気をつけないとね。
以前、このブログでも紹介したことがあるんですが、今日はカブトガニについてのお話しでもしようかと思っております。
いきなりカブトガニってって話ですが、カブトガニの青い血液は、医薬品などの細菌汚染をチェックするための検査薬の原料として非常に重宝されてるって話は前にお伝えした通りです。
読んでない方は、このブログを読んできてください。
で、毎年大量に捕獲されることから絶滅が危惧され、2018年、アメリカの一部の医療会社は代わりに合成化合物の検査薬に段階的に切り替えると発表したんですが、ここ最近、カブトガニの血液の需要が高まり、高値で売買されているそうなんです。
カブトガニを守りたい環境団体とビジネスを続けたい企業や政府との溝はなかなか埋まらないようなんですねぇ。
グラム陰性菌が持つ「エンドトキシン(内毒素)」という成分は、人体に入ると致死性のショックや発熱などを引き起こす危険な毒素です。
その健康被害を防ぐために使われているのが、「カブトガニ血球抽出物(LAL)」なんです。
その名の通り、カブトガニの血液から抽出されたこの検査薬は、エンドトキシンに触れると固まる性質があります。
この性質を利用して、ワクチン・医薬品・医療機器などのエンドトキシン汚染を検査することができるわけなんです。
その需要は高く、1リットルが170万円以上で取引されることもあるそうです。
そのおかげで、カブトガニの血抜きビジネスが大流行りなわけです。
因みに前回、このブログで紹介した時は1リットルあたり150万円ってお伝えしてましたから、値上がりしてんぢゃん(笑)
前回は、9月に紹介してますから、それから高値を更新してるんでしょう。
やはり、ワクチン需要とかありますしねぇ…。
これからさらに高騰する可能性もあるわけですね。
まぁ、そんなに高価ならと、アメリカでは毎年50万匹のカブトガニが捕獲され、血液を抜かれています。
血を抜かれたカブトガニは海に返されますが、体への負担は大きく、最大で3割は死んでしまうと推定されているそうです。
このような捕獲に対する法規制はほとんどなく、アメリカではカブトガニの生息数が急激に減少を続けているそうなんです。
そりゃ規制がなく、1リットル取れば170万でしょ?
抜くよね〜(笑)
捕まえては抜き〜、捕まえては抜き〜ですわ。
そんなこんなで、アメリカ最大のカブトガニ生息地であるデラウェア湾では、1990年に124万匹いたが、2002年には33万4000匹未満にまで減少したそうなんです。
その生息数は一見安定しているように見えますが、カブトガニ(Limulus polyphemus/アメリカカブトガニ)はすでに、IUCNの「準絶滅危惧種」に指定されています。
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そしてカブトガニの減少は、他の生物にも影響があると考えられています。
カブトガニ血球抽出物の主要な生産企業である「チャールズ・リバー・ラボラトリーズ社」は、5月から6月の産卵期にかけて、海岸のカブトガニを囲い込んで血液を抜きます。
通常ならメスはこの期間に8万個の卵を産むと言われています。
これはコオバシギなどの渡鳥にとっては大切なエサとなります。
ですがコオバシギはここ数十年で8割も生息数が減っているんだとか…。
その原因は、カブトガニの卵の減少と関係があると推測されているそうです。
このような状況の中、チャールズ・リバー・ラボラトリーズ社とサウスカロライナ州天然資源省は、絶滅危惧種保護法違反の疑いで環境NPOから提訴されています。
じつはカブトガニ血球抽出物の代わりはあるにはあるんです。
人工的に生産できる「遺伝子組換え血液凝固C因子(rFC)」は、カブトガニ血球抽出物と同じ性能があるとされ、EU諸国や中国などではすでに承認されています。
しかしチャールズ・リバー・ラボラトリーズ社は、その安全性を証明するには、まだまだ研究が必要だと主張。
くわえて、釣り餌としてのカブトガニの使用を禁止する取り組みを支援するなど、「健全なカブトガニの生息地を守る」ための活動も行なっていると述べています。
デラウェア湾の生態系について詳しい生物学者のラリー・ナイルズ氏は、こうした企業や政府の態度には本質的な矛盾があると話しています。
彼らは保護種ではないカブトガニなど、まるで価値がないものとみなしています。
その一方で、57兆円の産業にもなったその血液に大きな価値を見出しているんだと…。
こうしたカブトガニ保護の機運の高まりを受けて、アメリカがカブトガニの保護へ向けて舵を切るのかどうか、今のところわかりません。
血液に代わる代替試験薬には、性能とコストの両面でメリットがあることを企業が気づいてくれればと保護派の人たちは期待しているそうです。
日本人にとっては、カブトガニ自体が比較的珍しい生物ですし、保護対象が当然って気もするんですが、カブトガニもややこしい血液さえ持たなければ、好き勝手に生きれたのにねぇ。
気の毒な話ですな。
ではまた〜。
京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院